終日暖気

雑記

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ぼくを葬る

2006-10-19 | 映画

『LE TEMPS QUI RESTE』2005年フランス

初見。この映画、確か『ブロークン・フラワーズ』を観に行った際に予告を見て、(これは苦手そう・・)と結局観ないままだったのですけど。
想像していたのとは随分違う、好きなタイプのお話でした。映画館で見ればよかったー。
ある日突然余命三ヶ月と宣告されたガン患者の死に様。昔から幾人か身近で接してきただけに、変な描写やセリフがあったら白けてたまらないだろーなーと思ったのですけど
、オゾン監督さすがにいろんな人をみてきたご様子・・。
一種のファンタジーですけど、ひとりの人間の美学を淡々と静かに見せてくれたいい作品だと思いました。
ある評には「センチメンタリズムを退け、きれいごとではない真実を描写」とあったけれど、私には十分に感傷的なお話だったなあ。
主人公ロマン(メルヴィル・プポー)は、予告を見た時はてっきり傲慢なナルシストという役柄だと思ったのに、なんだ、実にセンシティブで優しい男ではありませんか。
崩壊している家族の一員である彼は、病気以前は家族については吹っ切れていたのでしょう。それなりにきちんと自立し(31歳だし)、彼らから距離を置き、フォトグラファーとしても成功して・・。
でも、こんなことになってしまい一体どう切り出したらいいのか。別に彼は、傲慢さから家族や恋人に自分のことを告白しないわけではなく、それぞれが個々のことで手一杯なあまり精神的に余裕がないのを知っているから、悩んだ末に言わずにおいたのだと感じました。
母親と姉は少々エキセントリックすぎるし、父親のことは人一倍愛してるから苦しめたくない。恋人はこれまた坊やだからパニックになるのが目に見えている。何より自分には残されている時間がない。ならば言わずに消える方に賭けようと決めたのに違いありません。
一言も辛いなどと言わない彼を、唯一きちんと理解してくれているのが父方の祖母(ジャンヌ・モロー)。
ロマンは「なぜ?」なんて絶対に言ったりしない彼女にだけは甘えることができる。辛辣に聞こえる言葉は、単におばあちゃんに甘えているのだと思いました。彼女もそれを知っていて、あえて「幼稚で身勝手ね」なんて答えたりして。彼等は同じ美学を持つ、同士なのですねー。
だから、「今夜あなたと・・」というセリフは、言われる前から自然にこちらの胸に湧きだしてしまい、鼻の奥が痛かった・・。彼女が居てくれて本当に良かったよねぇ、ロマン~(涙)
無理に遠ざけるように仕向けていた恋人とどうしても最後に愛を交したいロマンが、言いたいのに言えなくてぐっと我慢する様、和解した姉とその子どものすぐそばに居ていくらでも声をかけられるのに、あえて我慢する様など、あくまでも美学を貫く姿が痛々しい・・。彼は、彼等に気付かれないまま静かにそっと写真を撮ることで想いを胸にしまうのです。それだけに、依頼されたお仕事を終え何とも言えない幸せそうな表情を浮かべる彼の姿は、見ていてホっとしてしまいました。
別にしなくても他に方法が・・とかいう問題じゃなく、きちんと触れ合うことが大事だったんだと。何度も出てくる幼い頃の自分の幻影と同じで、ナルシシズムというよりは自分の生の手ごたえを再確認しているのじゃないかなーと・・・。生の新鮮な歓び。
家族や恋人にしたら、なぜ哀しみを共有し最後の別れをさせてくれなかったかと怒りそう・・とも考えられますけど、精神的にきちんとつながって互いに思いやっているような仲なら、最初から彼も迷わずそうしたに違いなく・・。たとえつながっていても、だからこそ告知は難しいとも言えるし・・。自分と周囲を見つめ直す最後の時間くらい、自由にさせてやってほしいといったら身勝手になってしまうのだろうか・・とか、ちょっと色々思ってしまいました。

ラスト、彼が優しく穏やかな気持ちで消えていくことができて本当によかった。
(とはいっても、あのシーン、私の理想とはちょーっと違っていたのですけど・・。人間、海からきて海に還るのは自然の理に適っているけれど、私はちょっとあれはなぁ・・・



今回、役者もみんなよかったです。
オゾン監督には、あえて醜いものを画に入れるような趣味はないのか、あくまでもどこまでも美しく、また綺麗な男性ばかりが映ってました。
で、やっぱりロマンを演じるメルヴィル・プポー!お恥ずかしや、私は初めて見る俳優さんだったのですけど、近頃稀にみる上品さのあるとても素敵なひとですねー。
微妙な心理も、深みのある眼差しと陰影に富んだ美しい表情で、きちんと丁寧に表していてとても良かった。まだ、完全に完成されてしまった大人の男ではない、というところもよいのです。
これまたすっかりファンですワ。今後は、出演作品をきちんとチェックしようー

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8 コメント

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オゾン作品 ()
2006-10-19 21:14:59
これは観なくてはなぁ~と思っていたのですが・・・



>近頃稀にみる上品さのあるとても素敵なひとですねー



の文に釘付け!!イイ男センサーがピピピット動きました(笑)

早く観なくては!!!
連日お邪魔しております。。 (ルカ)
2006-10-19 23:21:43
こんばんは!

私もこの作品、予告編を見てから気になってはいたもののまだ手を出せずにおりました。

でも武田さんの感想を読んで、自分で想像していたものとちょっと違い、早く見たくなりましたよー。



メルヴィル・プポーもやはりいい男だったのですね!

フランス人の美形俳優には独特の美しさがありますよね~。

嵌ったケースは数知れずでございます(笑)



最近若い時のヒースの画像を見ていて、「ポーラX」の時のギョーム・ドパルデューに似てるかも・・と思い、つい再見してしまいました

やっぱりちょっと似てましたよ、美しかった~

ブノワ・マジメルにロマン・デュリス、ギャスパー・ウリエルと、まだまだいい男が出てきてくれるので目が離せません!



・・・と、関係ない話になってしまいましたね

ではでは失礼しました~。
Dさま♪ (武田)
2006-10-20 00:23:21
こんばんは~♪

コメントいただき、嬉しいです。



おお!イイ男センサーが激しく反応されましたか♪

そうなんですよ~、プポー君絶対に見てほしいです。

最近珍しいくらいの正統派で、品があって穏やかなのです~。

ご覧になられましたら、ぜひぜひレビューを読ませてくださいね♪

楽しみにお待ちしておりまーす
ルカさま♪ (武田)
2006-10-20 00:49:37
こんばんは~♪

連日のお越し、ますます嬉しいです

『ぼくを葬る』、想像していたのとだいぶ違っていましたけど良かったです。ルカさんには、ぜひぜひご覧になっての感想を教えていただきたいです♪楽しみに待ってますね~

で、そうなんです!メルヴィル・プポーったら、ひじょうに男前で♪まだ時々幼さを残したような可愛らしい表情になるときもあって、うっふっふでした



ブノワ・マジメルもいいですよねぇ。立派な顎が男らしいし。ロマン君もやっぱりいいし♪

ギョーム・ドパルデューは恥ずかしながら出演作をひとつも見たことがないのですけど、まぁ!ヒースの若い頃に似てるんですか!

「ポーラX」というと、「汚れた血」の監督作品でしたよね?うわぁ、ぜひぜひ借りて見てみますね。楽しみです~♪

そして、ギャスパー・ウリエル!!

「ロング・エンゲージメント」未見のままだったのを思い出しました!!これも絶対に見てみなくては~。彼、とってもいい男ですよね♪



ほんと、いい男を映画で見つけたときの嬉しさったらないですね~♪

お、これは!と、ルカさんのセンサーにひっかかった男性がいたら、ぜひご一報くださいませ
TBさせていただきました。 (真紅)
2007-01-22 12:44:36
武田さま、こんにちは。
私もメルヴィル・プポー氏は初見だったのですが、もう、むっちゃ好みでした。
男前感知センサーがオーバーヒートしましたわ(笑)。
作品自体もとっても好きです。
それから、拙宅からもリンクさせていただきました(もちろん引越し先のお宅です)。
今後ともよろしくお願いいたします♪
真紅さま♪ (武田)
2007-01-22 22:12:13
真紅さま、こんばんは♪
tbとコメントをいただき、ありがとうございます。
メルヴィル・プポーいいですよね!!
こういう佇まいの男性は、私もむっちゃ好みです。
あはは、オーバーヒートですか。
早速tbさせていただきますね~。
それと、リンクもありがとうございます。
こちらこそ、今後とも宜しくお願い申し上げます。
Unknown (fizz♪)
2007-01-23 00:47:33
武田さん、こんにちは♪
真紅さんのところへ伺って、武田さんが既にご覧になってると知り、飛んで来ました。
TBさせて頂きました。
心に残る作品でしたね。
それに、美しい男性が主役ですもん、何度も観ちゃいそうです(笑)
fizz♪さま (武田)
2007-01-23 23:30:25
fizz♪さま、こんばんは。
TBとコメントをいただきましてありがとうございました。
これ、イメージとは全然違っていて、とてもいい作品で余韻が残りましたよね♪
そうそう!
美しい男性が主役というのが、もうとっても貴重(笑)
メルヴィル・プポーは、エレガントでいいですねえ。
早速お邪魔させていただきますね。

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