温故知新~温新知故?

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善と悪の経済学、トーマス・セドラチェク著 読了〜自動運転でより安全は難しいかな?〜

2018-05-11 19:02:00 | 

欲望の資本主義を見て、ずっと気になっていた「善と悪の経済学 トーマス・セドラチェク著」を読んだ。素晴らしい本だ。
以下に示すように神話時代の経済学から旧約聖書、キリスト教、哲学、現代のいわゆる経済学まで幅広い。
経済学の物語―詩から学問へ
第1部 古代から近代へ(ギルガメシュ叙事詩;旧約聖書;古代ギリシャ;キリスト教;デカルトと機械論 ほか)
第2部 無礼な思想(強欲の必要性―欲望の歴史;進歩、ニューアダム、安息日の経済学;善悪軸と経済学のバイブル;市場の見えざる手とホモ・エコノミクスの歴史;アニマルスピリットの歴史 ほか)
内容は簡単に言うと、悪は経済の発展に必要だということ。それは神話の時代のギルガメシュ叙事詩にも書かれている。そして哲学においては各派でいや悪はよくない、やはり人間は善を目指して進化するのだという時代を経て現在は見えざる手の概念ですべてを説明しようとするというもの。壮大な話ですよね。内容は難しい。

また、人間は欲望を満たすために行動し、決して理性の判断をしている(善をなす)わけではない、感情で行動するのであるということを示す。これは全くそのとおりだと思う。
だから、環境のためCO2削減、安全機能が充実したクルマを選ぶという理性的な行動ではないとおもう。このような文脈にしたがって、コメントするジャーナリスト、コメンテーターは偽善だと思う。
だから、クルマは基本的に人間が運転する限り感情で判断し、それにしたがってクルマは動く。自動運転がいくら進んでも、それは理性や合理性を元にプログラミングされたロジックで動くことになる。しかし、全部自動運転車に慣ればいいが、そうではない限り周辺には、感情で判断した車が動いていることになる。すなわち、感情で動く他車の動きを理性的、合理的なプログラムでいくら判断しようとしても、事前に避けることは大変難しいと言わざるをえない。人間同士の判断なら相手の感情を読むなどが多少とも可能なはずだと思う。よって、全車両が自動運転にならない限り、私は永遠に自動運転車のほうが安全な交通社会になるとは思えない。たしかに技術はどんどん進歩していくだろう、でも、コンピュータが感情を持つあるいは判断しない限り、実現は難しいだろうと思う。そんなことをかんがえさせられた1冊であった。ギルガメッシュ叙事詩は悪こそが進化と言うか進歩には必要と書いてあるらしい、一度ぜひ読んでみたい。

この本に関する感想はネット上にたくさんあるようだ。しかし、このセドラチェック氏は若くしてチェコの政策顧問になったのがうなずけるほど、凄い人だ。神話や宗教、もちろん経済書も全て読んでいる感じだ。また、それぞれの本のエッセンスを1行で示していると思う。彼は今後歴史に名を残すような経済学者になりそうな気がする。
また、すごく知的好奇心を刺激してくれるし、現代のいろいろな現象を説明してくれるようなきがする。また、いわゆる一般の経済学に対する痛烈な批判である。良い本でした。図書館で借りたけど、買ったほうが良いかな?

以下にいろいろな感想を貼っておく。
善と悪の経済学 | トーマス・セドラチェク, 村井 章子 |本 | 通販 | Amazon
つ星のうち5.0伝統的な一味違う経済学
2016年9月6日
形式: 単行本|Amazonで購入
知的鍛錬になる良書です。読んでいる間 幸せでした。
経済や社会を新しい観点で見る視点を学ぶことができました。
考えながら読む時間のある人にお奨めです。

善と悪の経済学 トーマス・セドラチェク著 哲学、宗教史から経済学見直す :日本経済新聞
本書は、2012年にドイツのベスト経済書賞を受賞したベストセラーで、金融界で活躍する気鋭のエコノミストが、哲学や宗教に関する深い造詣を駆使して、現代の経済学の欠点を浮き彫りにした力作である。

下の方が非常のよくまとめた感想を書かれている。以下は抜粋。
中庸こそ現代に欠けているもの(P.322)
2018年4月1日
形式: 単行本|Amazonで購入
現代人はあまりに富の魅力に眩惑されている。(P.322)
2018年1月~2月放送の、NHKのEテレ「欲望の経済史 ルールが変わる時」という番組で、インタビューに答えていたゼトラチェク氏の派手な手振りを交えた面白いたとえ話と、個性的なファッションに目が釘付けになり、本書を購入した。
面白いたとえ話は、本書の本文の中でも健在で、巻末の注の方でも読むことができる。
説の繰り返しもあり、長く感じられるが、ポイントは5つあると思う。
① 経済学に倫理を取り入れよ。
② アダム・スミスの「見えざる手」、ケインズの「アニマルスピリット」の解釈の誤りを正せ。
③ 数学に偏重するな。
④ 経済学者は将来の予測はできない。
⑤ ゼロ成長に備えよ。

善と悪の経済学 / セドラチェク,トーマス【著】〈Sedlacek,Tomas〉/村井 章子【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア
目次
経済学の物語―詩から学問へ
第1部 古代から近代へ(ギルガメシュ叙事詩;旧約聖書;古代ギリシャ;キリスト教;デカルトと機械論 ほか)
第2部 無礼な思想(強欲の必要性―欲望の歴史;進歩、ニューアダム、安息日の経済学;善悪軸と経済学のバイブル;市場の見えざる手とホモ・エコノミクスの歴史;アニマルスピリットの歴史 ほか)


経済成長への「病的な執着」は日本を滅ぼす | 国内経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
いまの経済は、「躁うつ病」的だ
現代を支配する主流派経済学は、とんでもない問題を抱えている。失われた経済思想の魂を鮮やかによみがえらせた衝撃の話題作
――セドラチェクさんは、今の経済をどのように見ていますか。
私は、いまの経済は「躁うつ病」的になっていると考えています。経済がいいときは、どんどん調子に乗って加速しようとし、落ち込むときはその落ち込み幅がすごくなる。成長、成長と追求して、ものすごいスピードで壁に衝突する。

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