竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

腹の立つ人にはマスクかけて逢ふ   岡本 眸

2018-12-29 | 
  
   

腹の立つ人にはマスクかけて逢ふ   岡本 眸

一句の中の季語の扱いが従来的な季節感を踏襲しているか、そうだとすれば、その中にどう作者の色が付加されているかいないか、或いは、季語を季節感と切り離して用いているか、ならば季節感がないのに季語を用いるところに伝統詩型の要件に対する作者の理解や工夫がどう生かされているか。そういう点も俳句評価の一角度だと僕は思うのだが、例えばハナから無季肯定の評者にはこういう角度は評価の外なのであろう。この句のマスクには冬期の季節感はありや。顔を隠すという意味においては、例えばコンビニ強盗の目出し帽と同じではないだろうか。その用途は四季を問わない。冬季の風邪を予防し自らの菌の飛散を防ぐというマスクの本意をどう「自分の事情」に引きつけてこなすか、そこに季語必須派の工夫、すなわち真の実力が見えてくる。新潮文庫『新改訂版俳諧歳時記』(1983)所載。(今井 聖)

 
マスク】
寒気、寒風を防ぐため、鼻から口にかけて包むもの。風邪予防の目的もある。

例句                作者

マスクして黒瞳のうるみひたすらに 中島斌雄
マスクしてしろぎぬの喪の夫人かな 飯田蛇笏
マスクして我を見る目の遠くより 高浜虚子
美しき人美しくマスクとる 京極杞陽
遠くよりマスクを外す笑みはれやか 富安風生
マスクして人の背なかが前にある 加倉井秋を
眼はうごき眉はしづかにマスクの上 山口誓子
マスクしてすでにその眼の語ること 小松 幸
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