竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
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龍の玉独りよがりは生き生きと  瀧澤宏司

2019-01-05 | 現代俳句鑑賞


龍の玉独りよがりは生き生きと  瀧澤宏司

龍の玉のあの小さな美しい紫の玉に独りよがりの生き方を喩えている。或いは龍の玉で深い切れを想定するなら、龍の玉の前で、そこにいる「私」や人間の独りよがりの生き方を思っている。どちらにしてもここには独りよがりということに対する肯定がある。俳句に自分にしか感じ得ない、自分にしか見えない何事かを表現するという態度こそ表現者の態度だというと、時に、私はそこまで俳句に期待しませんという反応が返ってくる。俳句は誰のものでもないのだからいろいろな考え方があっていい。みんなが感じたのと同じことを感じるという安堵感を表現したいひとには類型感など取るに足らぬ問題だろう。自分だけのものを得ようとする創作は荒野に独り踏み出すようなものでそこに歓喜も絶望も存する。この句の作者はその両者を知ってしまった人だ。『諠(よしみ)』(2010)所収。(今井 聖)

【竜の玉】 りゅうのたま
◇「蛇の髯の実」(じゃのひげのみ) ◇「竜の髯の実」

ジャノヒゲ(別称リュウノヒゲ)の実を指す。公園の花壇や歩道の縁などによく植えられているが、冬になると艶やかなコバルト色の種子が目に付く。直径7mmほどの種子は、床に落すとよく弾むので「はずみ玉」の名もある。

例句             作者

故郷はいつも夕暮れ竜の玉 今城知子
少年の夢老年の夢竜の玉 森 澄雄
わが胸のうちにもあるぞ竜の玉 青柳志解樹
人の手に惜しみ返しぬ竜の玉 皆吉爽雨
竜の玉深く蔵すといふことを 高浜虚子
深々と沈みて碧し竜の玉 野村喜舟
人ごゑの坂下りて来る龍の玉 小笠原和男
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