竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

鮭食う旅へ空の肛門となる夕陽  金子兜太

2018-10-16 | 秋の季語から



鮭食う旅へ空の肛門となる夕陽  金子兜太

大きな景を自身の旅への期待感で纏めた作品だ。加藤楸邨は隠岐への旅の直前に「さえざえと雪後の天の怒濤かな」と詠んだ。楸邨の句はまだ東京にあってこれから行く隠岐への期待感に満ちている。兜太の句も北海道に鮭を食いに行く旅への期待と欲望に満ちている。雪後の天に怒濤を感じるダイナミズムと夕焼け空の色と形に肛門を感じる兜太のそれにはやはり師弟の共通点を感じる。言うまでもなく肛門はシモネタとしての笑いや俳諧の味ではない。食うがあって肛門が出てくる。体全体で旅への憧れを詠った句だ。こういうのをほんとうの挨拶句というのではないか。『蜿蜿』(1968)所収。(今井 聖)

【鮭】 さけ
◇「初鮭」 ◇「秋味」 ◇「鮭の秋」 ◇「鼻曲り鮭」
サケ科。体長約1メートル。9月ころから産卵のため群れをなして故郷の川を遡ってくる。上流で産卵し、孵化した稚魚は海に下って成長する。北日本、特に北海道西海岸に多い。肉は鮮紅色で、東京ではしゃけ、北海道では秋味(あきあじ)と呼ばれる。

例句 作者

一番鮭溯るや早瀬又荒瀬 水原秋櫻子
石狩の怒りのにごり鮭の秋 加藤蛙水子
阿武隈に雲満ちきたり鮭のぼる 加倉井秋を
垂直に鮭が顔出す酒溜 千葉 仁
橋上を婚の荷過ぎる鮭の川 石川文子
月高く産卵の鮭寝静まり 藤田右丞子

尖る歯を剥き出しの鮭下り簗  たけし
月光に尖る鮭の歯下り簗    たけし
泪目の大鮭一尾簗終い     たけし
鮭遡る龍門の滝冬に入る    たけし
   
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