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TRIPS協定52条~54条の解説(18.4.27)

2006-04-27 11:32:48 | Weblog
TRIPS協定52条~54条の解説

★第52条 申立て

 本条は、権利者が通関停止措置をとることを申し立てる場合には、侵害の事実を疎明等することを義務づけたものです。

 通関停止措置の申立てを行う権利者は、権利侵害の事実を疎明しなければなりません。
 また、権利者は、通関停止措置の対象となる物品を特定できる記述を提出しなければなりません。

 権限のある当局は、申立ての受理又は不受理の結果と、権限のある当局によって決定される場合には、税関当局が措置をとる期間(通関停止の存続期間)を申立人に通知しなければなりません。


★第53条 担保又は同等の保証

 本条は、申立ての濫用を防止するための担保制度を規定しています。

☆第1項
 1項は、権限のある当局は、申立人に対して、被申立人及び権限のある当局を保護し、申立ての濫用を防止するために、十分な担保又は同等の保証を提供するよう要求することができる旨が規定されています。
 申立人の言い分のみで安易に通関停止措置を講ずることは被申立人に不当な不利益を与えるおそれがあるからです。
 なお、1項は、担保又は保証を要求することを義務づけるものではありませんので、要求するかどうかは、権限のある当局の裁量となります。

☆第2項
 2項は、意匠権や特許権等を侵害する物品の通関が、司法当局その他の独立した当局以外の権限のある当局(例えば税関長)の決定によって停止された場合には、当該物品の所有者、輸入者又は荷受人が担保を提供することを条件として、当該物品を通関させなければならない義務を課しています。
 司法当局ではない税関長の権限で誤った判断により通関停止措置がとられる場合には、被申立人が不当な不利益を受けるおそれがあるからです。
 2項ただし書は、通関させる物品はその他の理由により輸入が禁止されている物品でないことが条件となる旨を規定しています。


★第54条 物品の解放の停止の通知

 本条は、各加盟国に対して、通関停止措置をとる場合には迅速に通知する義務を課しています。

 すなわち、輸入者及び申立人は、第51条の規定による物品の解放の停止について速やかに通知を受ける旨が規定されています。
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