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19.4.23 短答H18〔35〕

2007-04-23 22:25:36 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔35〕特許法に規定する国際特許出願に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 国際公開がされた後、所定の翻訳文が提出された外国語特許出願が、その後取り下げられたため、国内公表されなかった。この場合、当該外国語特許出願の明細書に記載された発明について当該外国語特許出願がいわゆる拡大された先願の地位(特許法第29条の2)を得ることはない。
〔解答〕誤り
 特許法184条の13において、29条の2の他の出願から除外されるのは、「第184条の4第3項又は実用新案法第48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた第184条の4第1項の外国語特許出願又は同法第48条の4第1項の外国語実用新案登録出願」である。
 したがって、所定の翻訳文を提出しているので、その後自発的に外国語特許出願を取り下げたとしても、外国語特許出願は、国際公開によって、29条の2の他の出願としての地位を有することとなる。


2 外国語特許出願の出願人が、当該出願の国際公開の後に、当該出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告したときは常に、その警告後特許権の設定登録前に業としてその発明を実施した者に対し、補償金請求権を有する。
 ただし、出願人と発明者は同一であり、発明を実施した者は先使用権を有しておらず、また、取下げなどにより補償金請求権がはじめから生じなかったものとみなされることはないものとする。
〔解答〕誤り
 特許法184条の10第1項は、「国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、」と規定している。
 そうすると、外国語特許出願について補償金請求権が発生するのは、早くても国内公表後である。国際公開がされているとしても、国内公表がされる前の行為については、補償金請求権は発生しない。


3 出願人が、特許協力条約第23条(2)の規定に基づき、国際公開の前に指定官庁である特許庁長官に対し審査を開始するよう明示の請求を行った国際特許出願については、特許法第184条の5第1項に規定する書面(該当する場合には、併せて特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文)が提出され、所定の手数料が納付され、出願審査の請求が行われた場合、特許庁長官は、審査官に当該国際特許出願を直ちに審査させなければならない。
〔解答〕誤り
 特許法には優先審査制度(48条の6)や運用で早期審査制度があるが、国際特許出願について早期に出願審査の請求がされたことを理由として、当該国際特許出願について直ちに審査官に審査させるとする規定はない。審査の開始時期は、特許庁内部の運用で変動するものである。

4 外国語特許出願の出願人が、特許協力条約第34条(2)(b)の規定に基づいて、図面中に説明のない図面のみを補正した場合、国内処理基準時の属する日までに、その補正書の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなくても、その図面について特許法第17条の2第1項の規定による補正がされたものとみなされる場合がある。
〔解答〕誤り
 特許法184条の8第1項は、「国際特許出願の出願人は、条約第34条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。」と規定している。
 補正書の翻訳文とは、図面の補正をした場合は、図面の差替え用紙の全部を意味するので、図面の中の説明がない場合であっても、補正書の翻訳文として提出しなければならない。特許法184条の4第1項では、「図面(図面の中の説明に限る。)」とあるので、図面の中の説明の翻訳文は提出する必要がないが、特許法184条の8第1項では、「補正書の日本語による翻訳文」とあり、図面の線図の部分を翻訳文の対象から除外していない。


5 国内書面提出期間内又は翻訳文提出特例期間内に、外国語特許出願の国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出しなかったにもかかわらず、当該外国語特許出願が取り下げられたものとみなされない場合がある。
(解答)正しい
 特許法184条の4第2項は、「前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。」と規定している。
 特許法184条の4第3項は、「国内書面提出期間(第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。次項において同じ。)内に第1項に規定する明細書の翻訳文及び前2項に規定する請求の範囲の翻訳文の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。」と規定している。
 したがって、国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出しなくても、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文を所定期間内に提出している場合には、外国語特許出願はみなし取下げとならない。
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