Life in Oslo.

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ノルウェーでの異文化体験

2011年05月11日 | 日記
オスロでの単身赴任生活も1ヶ月が経過し、完全に落ち着きました。日常生活でいくつか驚いたこと、感心したこと、疑問をもったことがありましたので、今回はいくつかご紹介します。

 まず、ノルウェー生活で最も驚いた出来事が、昨日起こりました。申請していた就労滞在ビザが、なんとリジェクト(却下)されました。今までもらったリジェクト通知の中で最も驚きました。招待しておいてビザは発給しないなんて、古典的な嫌がらせです。しかも、原因は「年収が博士号保持者に見合っていない」ことでした。そっちが提示した金額だろ!

 原因は、所得税でした。僕は、通常なら36%-50%も取られる所得税を免除されているので、いわゆる「手取り額」は、まぁ平均並です。しかし、間違って「税込み支給額」として見ると、その額はずいぶんと少ないわけです。つまり、事情を知らない担当者が間違ってリジェクトしたわけです。事情を丁寧に説明して、もう一度審査をやり直してくれ!という手紙を書く羽目になりました。事情が全て記載された文書も、すでに送ったはずなんですけどね・・・そんなの、そっちでうまいことやってよ!と言いたいところですが、ノルウェーの公務関係は、日本以上に「お役所仕事」のようです。僕のスーパーバイザーは呆れ顔で「ノルウェーでは良くある時間の浪費」と嘆いていました。のんびりし過ぎるのも困ったものです。このままでは、来月末から、まさかの不法滞在者です。


 さて、近頃はオスロにも暖かい春が訪れ、気温は20度まで上がることもあります。街は急激に緑で覆われ、人々は日差しを浴びようと躍起になっています。暖かいといっても、せいぜい18度くらいで、最低気温は10度を下回るにもかかわらずところ構わず、平日休日を問わず、人々は半裸です。



5月初旬から半裸男子とビキニ女子だらけです。真夏はどんなことになっちゃうのでしょうか。完全に他人事ながら、少し心配です。


 4月から5月にかけて、街には変なツナギを着た若者が大量に出没します。あえて言いますが、変なツナギです。お腹のあたりにデカデカとノルウェー国旗があり、白いペンで友人からの寄せ書きや"ポリ公上等!"みたいな反社会的な言葉が所狭しと書き殴られています。暴走族の特攻服みたいな、変なツナギです。







これは"RUSS"というノルウェー独自の風習で、高校を卒業する生徒がお揃いの変なツナギを着て、無礼講でどんちゃん騒ぎする風習です。ツナギの色は、普通科卒業生は赤、商業科は青、というように分かれているそうです。埼玉が誇るカラーギャングみたいなものですね。しかも、この変なツナギは、RUSSの間(約1ヶ月)は絶対に洗濯してはいけないそうです。アイスをこぼそうが、飲み過ぎてゲロ吐こうが、う○こ踏もうが、絶対に洗ってはいけません。万が一洗ったことがばれると、罰として片方の膝下を切り取られて格好悪いツナギにされちゃいます。つまり、変なツナギを、ますます変なツナギにされてしまいます。大変な厳罰です。

彼らは揃いの変なツナギを着るだけでなく、バスを貸し切って変なペイントを施し、ダンスミュージックを爆音で流しながら、車内で酒を飲んで大暴れします。このバスが派手なほどcoolな卒業生らしく、反社会的な言葉や卑猥な言葉が書き殴られている下品なバスが、街中を爆走します。しかし、RUSSの間は、高校卒業生は社会的に無礼講が認められるので、上記のようなギャング行為をたしなめる無粋な大人はいません。これは、ノルウェー人以外にとっては、全く理解できない異文化です。僕のスーパーバイザー(イタリア人)も「さっぱり意味が分からない」と呆れていました。

 しかも、3枚目の写真を良く見てください。赤いツナギの女の子たちに、ちょっとたっぷりした黒服の男の子が何かをせびっていますね。RUSSの変なツナギを着た高校生は、写真入り名刺(悪ふざけたっぷり)を持っています。RUSSの期間中、小さな子ども達の間では、その名刺を集めるのが流行ります。大騒ぎする高校生達も、子どもが近寄って来ると、素直に名刺をあげます
(このへんは可愛いものです)。中には100枚近くの名刺を見せ合って自慢する子ども達もいました。

このRUSS騒ぎは、来週火曜(5月17日)の憲法記念日がフィナーレだそうで、今から楽しみです。そのうちまたレポートします。


 もう一つ、この時期のノルウェーに特有の風習がありました。4月末に、日本のゴールデンウィークに相当するイースター連休があります。ノルウェーには「イースター・クライム」と呼ばれる
イースター期間中にクライム(=犯罪)に親しむ、という変な風習があります。スーパーや書店では推理小説が並び、テレビでもサスペンス物が放映されます。そのクライムっぷりは相当なもので、牛乳パックにまで推理マンガが描かれます



これも、ノルウェー人以外にとっては、全く理解できない異文化です。


 以上の2つはノルウェー独自の風習でしたが、次はノルウェー限定かは分からないけれど、面白かった事をいくつかご紹介します。

まず、オスロは路上駐車のテクニックが極めて高度です。



写真は我が家の玄関前ですが、驚異的な車間間隔(数センチ)で縦列駐車をします。しかも、信じられないことに、車の向きがバラバラです。手前の2台は向き合っていますね。どうやって出車するのでしょうか。


次に、我が家の家電です。永住するわけではないので、安値重視で買い揃えました。ヨーロッパには"MATSUI"(松井?)という、聞いたこともない日本風のメーカーがあります。日本製であると錯覚させるために名付けられたイギリス発祥のメーカーだそうですが、文字通り「桁違い」の安さで、これまた桁違いのちゃっちい家電を提供しています。我が家の電子レンジと掃除機はMATSUI製で揃えてみましたがレンジは399NOK(=5985円)、掃除機に至っては199NOK(=2985円!)という、もはや薄気味悪い値段でした。



電子レンジは意外に使い勝手が良く、解凍モードを含めて5段階の強度調節が可能です。タイマーや庫内電灯も完備で、(今のところ)全く問題ありません。面白かったのは、2985円の掃除機です。他社の掃除機はハンディタイプでも600NOK(=9000円)、一般サイズで900NOK(=13500円)する中で、この価格はズバ抜けて低価格です。

 このMATSUIさん、一見ただの掃除機ですが「掃除機の原点」と言えるほどシンプルな構造です。簡単に言うと、バキュームマシンにホースがついています。本体には電源を物理的に制御する大型"ボタン"が1つ。電気的に制御する"スイッチ"ではありません。本体から延びる吸引部はただのホースですのでもちろんスイッチやリモコンなんかついていません。しかし、このホース、ただのホースのくせに、なんと吸引パワーの強弱を制御する装置がついています。電子部品が一切無いホースで、どうやって吸引力を調節するのでしょうか。不思議ですねぇ。

 答えは、ホース中央付近にあるスライド部分にありました。



良く見ると「下にスライドせよ」と言わんばかりの矢印がありますね。これをスライドさせると、なんと穴が出てきます。



つまり、スライドさせて穴を露出させることで吸い上げた空気をわざと漏らして、吸引力を弱める仕組みです。掃除機の常識を越える斬新なシステムですね。もちろん、空気と共に吸い上げたゴミも漏れ放題です。斬新すぎます。掃除機の常識を越え、もはや掃除機ではなくなってしまいました。


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6 コメント

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Unknown (いけがめ)
2011-05-11 11:23:21
不法滞在という衝撃的な内容から始まって掃除機の話で終わるとは。笑

早く堂々と滞在できるようになるといいですね!
Unknown (しょう)
2011-05-12 19:56:20
>いけがめ先生
ビザの却下はよくあることらしく、同僚に話しても、全く驚きませんでした。今月の生活費もまだもらってないし、ほんっとお役所仕事!ビザの再申請したけど、受け付けたかどうかの返事すらないので、直接乗り込んで直談判しかないみたい。嫌でも日常英会話力がつきます。
Unknown (ねーさん)
2011-05-14 13:45:49
毎日楽しそう!

路駐の件ですが、イタリアやスペインも同じだった気が。。。
現地ガイドの話によると、前後の車にぶつけてスペースを作って出るらしいです。
ちなみに元愛車のミニクーパーは、縁の部分が黒の強化樹脂のようなものでできていました。
理由を聞くと、ヨーロッパではあまりにもしょっちゅう傷つくからそこだけ簡単に取り換えられるようにとのことだったよ~。

Unknown (しょう)
2011-05-15 23:23:04
>ねーさん
なるほど、スペースはこじ開けるのか!
ワイルドだなぁ。
でも一般的に日本人ほど車を大事に扱わないよね。
縁石にも乗り上げ放題だし、ドアもボディもボコボコで汚いけど、気にしない御様子だよね。
Unknown (ゆうた)
2011-05-29 00:08:45
基本的に、日本以外の国では、バンパーはぶつけるためのものです。
ボディの凹み、キズ、汚れもなんのそのです。
日本だけが、あれほどまでに外面の美しさを大切にします。
海外に行くと、バンパーのないクルマも走っています。

ちなみに、バンパーとボディの色差に対する感覚も、日本が一番うるさいです。
ということで、日本の検査基準が、一番うるさくなっております。
Unknown (しょう)
2011-05-29 07:30:03
>ゆうたさん
そうですよね、海外の車のきったないこと!!
日本では車は財産感覚ですが、こっちでは車は単なる移動手段なので、ちゃんと動けば問題なし!という感じですね。
車を常にピカピカにしておくのは、トレッキングシューズを常にピカピカにしておくようで、むしろ違和感すら感じるでしょうね。

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