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日中友好アニメ「カードキャプターさくら」が鳴らす清和会政治終焉の鐘

2019-05-01 22:49:14 | アニメ
○アニメーションに存在する言論の自由空間
 自宅ではテレビが見れないのだが、実家にはある。稀に肩揉み機を動かしながらテレビを見ることが有る。NHKはネットでは散々な言われようで、実際その通りにNHKは「アベちゃんねる化」している。2011年頃には優れたドキュメンタリー作品を放送していたが、良質な映像作品が減少しつつある。そんな最中2年くらい前にNHK-BSで「ベルサイユのばら」が放送されているのを見た。を?っと思った。あの「アベちゃんねる」が「ベルばら」ですか?と。 

 日本ではメジャーメディアは反米を煽るような内容の放送は難しい。特に報道においては一定の統制が行われていると推定されるし、報道関係者の不審死の事例は多い。だが、創作分野、つまりフィクション世界における、政治弾圧はそれほど聞いたことがない。どうやら、宗教批判系アニメ作品は圧力がかかった形跡があるが、それ以外では取り立てて仄聞しない。

 GHQが情報統制を行っていた頃から、漫画やアニメは所詮は子供向けの絵空事だということでお目溢しというのが通例なのか、大きな枠組みで言えばWar Guilt Information Programの一環で日本人を娯楽漬けにしておけ、ということで、放置なのか良くわからないが、日本の漫画やアニメでは言論の自由が存在する。それでも、放射能被曝を扱った手塚治虫のマンガ「きりひと讃歌」は版が進むごとに台詞の書き換えが行われていた。

 政治的意図という観点から言えば、悲劇的事象を描く路線もあれば、融和を謳う路線もある。私はどちらの路線に優劣をつけるつもりはないが、私の性格柄、歴史上であったり空想世界での惨劇を描く事によって発せられる政治的言論というものを極めて強く尊重する姿勢を取ってきた。

 だが、よくよく観察すると、著名人で政治弾圧や暗殺が加えられた事例には、連帯や融和的メッセージを発した事に対する、統治機構側の防御的な行動である事が多い。
 アベ政権下で「はだしのゲン」閉架問題が勃発した。これの政治的意図はよく分かる。「はだしのゲン」には内部被曝の描写があるし、「戦後の」日本統治機構の問題にも踏み込んだ描写がある。よって、広く人民に読まれたくないから閉架しろ、ということだ。
 ところが最近では唐突にジョン・レノンの「イマジン」叩きが始まった。歌詞は宗教や国境がない世界を想像し、人類の融和を理想とする世界観である。おそらく歌詞の内容の宗教批判という観点よりも、人類の融和は平和を宣言しているという点が、「奥の院」は気に入らないのであろう。


○カードキャプターさくらの続編から見えてくる日中友好路線の重要性
 話は飛ぶが、2018年「カードキャプターさくら クリアカード編」の放送が始まった。前作「カードキャプターさくらTV版・劇場版」(1998年-2000年)は、熱狂的なブームが起きた。ひねくれ者の私はリアルタイムには見ておらず、浅香守生氏が監督したGUNSLINGER GIRL(2003年-2004年)に衝撃を受けて、同監督作品をさかのぼって見たのである。浅香監督の少女の心理状態を丹念にビジュアル化、動画化する執念が作品から感じられた。
 登場人物達は前作クロウカード編・さくらカード編は小学生5・6年生だが、クリアカード編では中学生になっている。基本的には、主人公・木之本桜と香港から転校して来た李小狼(リ・シャオラン)や李苺鈴達と共に、魔力が宿るカードが繰り出す障壁を乗り越える形で物語は進んでいく。
 
 原作者であるCLAMPに政治的な意図は無いと思われるが、よくよく見てみると、日中友好を意図する演出が随所に感じられる。特に最新作であるクリアカード編では登場人物は中学生になったというのもあって、中国語や英語がポンポン発せられて、国際色が豊かに感じられる演出のみならず、さくらとシャオランの恋愛物が語という点が強く押し出されている。
 前作の原作連載やアニメ放送が始まった1990年代では、近未来では中国が覇権を握っていたり、個性的な中国人系キャラクターが登場するアニメ作品が増えてきた。それはSF色を強く押し出すための演出の一環であったのであり、特に中国を持ち上げるというものではなかったと思う。例えて言えば、リドリー・スコットのブレードランナーが近未来色を映像化するために日本人や日本文化を作中に登用したものと同じ意図であったと推測される。であるから、特にCLAMPが中国押しということではなかったのだろう。
 私も2000年代にはそのように考えてきた。
だが、石原慎太郎-前原誠司-野田佳彦らの尖閣問題に端を発した日中間の諍いや、アベ政権下のおける排外主義の横行で、日本の世相は経世会政治が紡いできたアジア融和路線から暗転する様相を見せてきた。
 製作関係者の意図とは別に、日中友好色が強く、広く国内外で視聴されるアニメ作品が存在するだけで政治的な意味が発生しえた、と私は感じたのである。
 つまり、日中関係が米国の指図に従う政治家によって、狙い通りに険悪化する中で、日中友好を物語として紡ぐアニメ作品はその政治的存在価値が増大したのである。

 前作のカードキャプターさくらのアニメ化に当たって、当時マッドハウスの社長であった丸山正雄は浅香守生へ監督の依頼をしている。(1) 放送するNHKの側もアニメーションとしては最大規模の予算編成を行ったとされる。
 丸山は1983年の「はだしのゲン劇場アニメ版」に設定で参加している。以後「政治的にややこしい作品」を意図的にプロデュースしてきている。最近話題の『この世界の片隅に』の映像化も丸山の力量に負うところが大きいとされる。荒っぽく言えば、私が勝手に規定する「アニメ思想史」なるものが存在するとすれば、丸山正雄は宮崎・高畑に次ぐ存在である、と評しようか。 
 その丸山はアニメがもたらす良い意味での「ソフトパワー」を使って日中の関係を良好なものにするべくアニメ化を行ったのかもしれない。
 当時、NHKの会長は海老沢勝二であり、新シルクロードなどを肝いりで製作するなど親中派の人物であったことも影響していると考える。

 2000年は政治的に激動の年であった。森喜朗を首相とする清和会政権が誕生し、日本の財政危機を訴えていた石井紘基議員が刺殺された。

 2000年、丸山が企画に携わった『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』をもって、主人公を演じていた丹下桜が事実上の引退をした(2005年から声優業に復帰)。カードキャプターさくらシリーズのアニメ化もそこでストップした。また、同年に丸山はマッドハウスの代表取締役を退いている。

 文字通り人気絶頂だったカードキャプターさくら自体が封印されてしまったのである。私には舞台裏を知る由も無いが、清和会政権の誕生と同じ時期に、続編の製作の望みは絶たれてしまったかに見えた。

 丸山は2011年6月にマッドハウスを退社してMAPPAを設立している。MAPPAの社長は後進に譲り、現在は会長職にある。そのMAPPAは、2016年には日露友好アニメとも言える「ユーリ!!! on ICE」を製作し、2017年の覇権アニメ(パッケージソフト販売の商業的成功)と称された。

 2018年、丸山の古巣のマッドハウスは2016年からCLAMP原作マンガの連載が開始されていた「カードキャプターさくら クリアカード編」のアニメ化を行ったのである。
 「クリアカード編」は最新のデジタル技術を多様して、セルアニメ作品の最高峰と賞賛された前作品群を凌ぐ圧倒的情報量を持ってして、元来持っている淡い色彩が放つ世界観を劇的に彩っている。
丸山の関わった作品は数多いが、インフルエンサー的な役割でアジア諸国民を揺り動かした観点から言えば、「カードキャプターさくら」こそが最も政治的に重要な役割を果たした作品と言えようか。

 暗い話が多い世相だが、私は本作が含有する輝ける映像と台詞を通じて、アジアの融和と平和を維持する心因的礎(いしずえ)とならんことを願うものである。

(1)浅香守生監督インタビュー/【カードキャプターさくら】制作裏話
https://matome.naver.jp/odai/2143749648540949101
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