燈子の部屋

さまざまなことをシリアスかつコミカルかつエッセイ風に(?)綴る独り言的日記サイトです

そんな一日

2001-04-22 00:00:00 | 母の病気のこと(完)
今日は先週に続いて母の見舞いに行って来た。
起きたとき、怪しい空模様だったのでちょっとためらったのだが、約束したことだし・…。

しかし!

起きるのは辛かった。

実は、ゆうべ、打ち上げ&送別会で帰宅したのは午前零時過ぎだったのだ。
で、翌朝。
本当に起きるのが辛かったが、どうせ電車に乗れば熟睡できるのだし、
と自分を騙してやっとのことで起きた。
こんな気分で起きたときに天気がどよーんとしていると、
なんだか余計にどよーんとした気分になる。
いつもの私なら、こういう今にも嵐が来そうな灰色の空なんか大好きなんだけれど。

病院に着くと、母は、先週私が渡しておいた手提げ紙袋3つに
冬物衣類をてんこ盛りにして待っていた。
今日は寒の戻りみたいに肌寒い陽気なので、
こうして衣替えをするのが何やら天邪鬼みたいな気がしたけれども、
どうせまたすぐに汗ばむ陽気に戻るのだ。
でも、後で病院の職員に聞いたら、
ゴールデンウィークの間も通常どおり面会できるということだったので、
それなら何も今日でなくともよかったかも…と思った。

2人でアパートへ行き、春物パジャマやコットンパンツなどに取り替えて詰め直すと、
荷物を置きに一度病院へ戻った。
本当に、なぜアパートから歩いてすぐ行ける距離に精神科の病院があるのだろうと
不思議に思う。こうなる運命だったのかしらと思わずにはいられない。
少し雨が降ってきたので、運良く車寄せに入ってきたタクシーに乗って
駅までお昼を食べに出かけた。
今日は少しまともな定食にするつもりだった。
居酒屋はわりと多いものの、お昼時にやっているような定食屋が少ない。
あまり探しても疲れてしまうので、とあるお店に入った。
母は松花堂弁当のような和定食、私は鉄火丼定食にした。
私は外でお昼を食べるとなると、どうも刺身系のものを頼む傾向があるらしい。
しかし、ここの鉄火丼定食には参った。
「丼」の字がつくからにはドンブリでくるものと思ったが、普通に箱入りできたのだ。
まぁ、確かにご飯は酢飯だし、
マグロ(ブ厚い! 鉄火の場合は薄く切るものではなかったか?)のお刺身を
自分で乗せて食べれば一緒かもしれないけれど…なんか違う。
きっともう二度と来ないなぁ。

それにしても、いつも母と何を話しているのだろう。
こうして振り返ると、大した話をしていないことに気づく。
薬のせいで饒舌とは言い難い母は、あまり自分から話さないので、
いつの間にか私ばかり話していたりする。
それに気づいていろいろと水を向けたりするのだが、話が続かない。
せっかく会っているのに何か話したいことはないのかな、と言葉を待ってみても、
母は何か考えていたりして、私もしまいにはぼんやりしたりする。
一緒にいることに意義があるのであれば、これでもいいのかもしれない。

タクシーで病院へ戻ったが、母がまだ話し足りない(!)というので、
しばらくロビーの椅子にかけてなんとなく取り留めのない話をした。

間もなく、サイレンが病院中に鳴り響いた。
なんと、火災避難訓練が始まったらしい。
やがて続々と人がロビーに集まってきた。
点呼を取るためにみんなが椅子に座り始めたので、
母と私はいつまでもそこに座っているわけにもいかず、母の病棟へ戻ることにした。
外に出ると、雨が少し強くなってきていた。
私の持ってきた長い傘で相合傘をして戻る。
なんのことはない、せっかく乾いた折り畳み傘を母は使いたくなかったのだった。
そうして、今日の面会は終わった。


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