燈子の部屋

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統合失調症の診断基準

2001-04-20 00:00:00 | 健やかにいこう
以前から私の拙い日記をお読みくださっている方はすでにご存知の通り、
私の母は統合失調症と診断されています。
そこで、今日は統合失調症の診断基準について、
この分野での先進国であるアメリカの基準を取り上げて書いてみます。

アメリカのDSM-Ⅳ(精神障害の診断および統計マニュアル第四版)では、
以下の基準を満たしたときにだけ、統合失調症の診断が下されます。

(1)病気の症状が少なくとも六ヶ月間にわたって存在する。
(2)仕事の能力や社会的な役割、身の回りの世話などの面で、
   以前より機能が低下していること。
(3)器質性精神障害(注1)や知的障害による症状とは考えられない。
  (注1)脳腫瘍や脳炎などはっきりした脳の障害による精神障害
(4)躁うつ病を示唆する症状は認められない。
(5)以下a、b、cのいずれか一つがなくてはならない。

  a 以下のうち二つが少なくとも一ヶ月間ほとんどいつも認められる。
    妄想
    幻覚
    まとまりのない会話(例:頻繁な脱線や支離滅裂)
    ひどくまとまりのない行動、あるいは緊張病性の行動
    陰性症状(例:感情の平板化、極度の無関心など)

  b 当人が属する文化集団にとって、思いもよらない奇抜な妄想。
    たとえば、自分の考えが頭から抜き取られ、
    ラジオを通して広まっていると信じることなど。

  c 行動を絶えずあれこれ批評される幻聴、
    あるいは二人かそれ以上の人の声が会話している幻聴が顕著に見られる。

統合失調症を診断するためのこれらの基準は、アメリカで広く受け入れられているそうです。
逆にいえば、これらの基準を満たしていない限り、統合失調症であるとの診断は下せません。
こうしてみると、統合失調症は比較的診断しやすいように見受けられますが、
初期の段階では確実に診断するのが難しい場合もあります。
そのため、DSM-Ⅳでは、統合失調症様の症状が六ヶ月間以内であれば分裂病様障害、
一ヶ月間以内であるならば短期精神障害と診断するように勧めているそうです。

ただし、まだいくつかの問題点があります。
患者の行動と経験を精神科医が聞いて主観的に評価することで診断が下されているに
すぎないからです。
ですが、いずれ血液検査や髄液検査などの客観的な診断基準が確立されて、
より正確に診断できるようになりそうです。

【参考文献】
 分裂病がわかる本:私たちはなにができるか
(原題:SURVIVING SCHIZOPHRENIA
 副題:A Manual for Families,Consumers and Providers)(Third Edition)
  著者  E・フラー・トーリー,M.D.(E.Fuller Torrey)
  監訳者 南光進一郎、武井教使、中井和代
  発行所 日本評論社

                              2001.04.20


※すでにご存知の方が多いと思いますが、
 「分裂病」は「統合失調症」に名称が変わりました。
 それを受けて、過去の日記の文言を訂正していますが、
 引用文などは原本のままとなっておりますので、ご了承ください。

                              2004.09.22


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