燈子の部屋

さまざまなことをシリアスかつコミカルかつエッセイ風に(?)綴る独り言的日記サイトです

デスノート

2006-07-19 17:01:43 | 漫画
 今、『DEATH NOTE』(デスノート)を読んでいるのだが――

 これは面白い!!

 あっという間に引き込まれてしまった。
 そこに名前を書かれた者は死ぬという「デスノート」の突飛な設定、
 そのノートを巡る追いつ追われつのスリリングな駆け引きとテンポのよさ、
 劇画らしいうまい画、そして――人間の普遍的な心理やテーマ。

 例えば推理小説で、ただトリックが巧みで独創的なだけでは、
 一度読んで感心し、それで終わってしまう。
 けれども、結末で真犯人がわかってもなお再び手にとり、
 何度でも読み返してしまう……という感じなのだ、『デスノート』は。
 読みながら悔しくてたまらないのだが、それがまた心地よい(笑)

 で。

 正義とは、いったい何か?――とついつい考えてしまうのだ。

 『デスノート』の主人公である夜神月(やがみ ライト)は、
 自分の一存でデスノートに犯罪者の名前を書いては次々に消していく。
 消されて当然と思われる犯罪者だけでなく、自らを脅かす存在をも……。
 (ここで誤認逮捕や冤罪というケースについて書くのはやめておく)
 ふと、『シティーハンター』の冴羽(さえば)りょう(けものへんに寮)を思い出した。
 普段はボディーガードや探偵をしている彼は、裏で始末屋をしている。
 この二人、悪人を消すという点では一緒だと思うが、
 そのスタンスには天と地ほどの差がある。

 正義を考えていくと、どうしてもねじれが生じる。
 明治時代に法律で復讐が禁止されたのは、よかったのだと言わざるを得ない。
 その代わり、司法がしっかりしないと、闇での復讐がやまない。
 冴羽は、いわば司法の網のセーフティーネット的存在だ。
 もちろん現実には決して容認できないけれど、理解できる。
 それに対し、ライトは新世界の神ならんとしている独裁者の卵だ。
 彼の正義は、国家的正義のなれの果てに見える。
 現実なら吐き気が、いや、違う形で現実に存在している……か。
 これは漫画だから楽しめるけれど、その思想は理解したくない。
 ああ、もう、こう書いている時点ですでにねじれている。

 正義というものに何の疑いも抱かなかった頃が懐かしくもあり、恐ろしくもある。
 今では思考停止に陥りそうになる言葉の一つだ。
 世界を変えようとするから間違えるのであって、自分が変わればいい……
 なんて、言うは易し、だし。

 それにしても――(←やっぱり思考停止か)

 死神リュークがかわいい(笑)

 『デスノート』に描かれている死神は、皆どこか人間臭くて、
 その分だけ人間の醜さが強調されるわけで、
 どうかするとつい『悪魔(デイモス)の花嫁』を思い出すのだけど、
 それはまた別の機会に^^


4 コメント

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私も持ってます (たれぞ~)
2006-07-19 21:30:32
相手の心理の先の先を読むという心理戦に焦点をあてているせいか、理解し難いところがあるけど面白いですよね~



正義とは・・・と言うことを考えさせられるこの漫画ですが、どんな事はあってもやはり殺人は殺人というラストにやっぱりか~といのと同時になんだか切ない物もあったけど・・・



映画も凄い人気のようですね~見た人によると主役の藤原くんもいいけど、L役の松山ケンイチくんがとてもはまり役立ったとか・・・私も見たい~!!



とここまで書いてふと思った

結構人が死んでいく漫画(映画)だけど、こういうのが子供たちが嬉々として見るのもどうなんだろう・・・・バーチャルな残酷さを氾濫していると麻痺しないのかな

現実とごちゃにしなければいいけど・・・



外国ならR18指定になれそうなんだけど・・・(苦笑)
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突飛な設定 (とほ)
2006-07-19 22:19:22
好きです。

蜘蛛の糸とかもかなり突飛ですよね。

ゾンビとかも良かったし。

もし、○○だったら・・・・で展開していく世界

をSFって呼ぶのかしらん。
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気になっていたんですが・・・ (みかんず)
2006-07-19 23:07:28
やはり友達に借りることにします。

うちの子は怖がって読まないみたいです。
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♪コメントありがとうございます♪ (燈子)
2006-07-20 16:03:50
たれぞ~さん



 >私も持ってます

 >相手の心理の先の先を読むという心理戦に焦点をあてているせいか、

 >理解し難いところがあるけど面白いですよね~

 おお、たれぞ~さんも♪

 私は三連休に書店通いをしたんですが、9と10だけ品切れ……。

 現在8巻目で足踏み状態なんですが(しくしく)

 それ(=理解し難いところがある)もあって読み返してます(笑)

 これには物書き志望としてがっくり。。。

 もしも天才を登場させるなら、

 書く側もそのくらいでないとダメだと再認識しました(爆)



 >どんな事はあってもやはり殺人は殺人というラスト

 ああ、やっぱり……。

 原作者さんの意向はわかりませんが、少年ジャンプだから、

 なんとなくそういう結末を迎えそうな気はしていました。



 >映画も凄い人気のようですね~

 >見た人によると主役の藤原くんもいいけど、

 >L役の松山ケンイチくんがとてもはまり役立ったとか・・・私も見たい~!!

 松山君、はまり役ですか^^

 映画の公式HP(←重い!)を見て私も気になっていました。

 もちろん藤原君は言うまでもなく楽しみなんですけど(笑) 見たい~!!



 >結構人が死んでいく漫画(映画)だけど、

 >こういうのが子供たちが嬉々として見るのもどうなんだろう・・・・

 >バーチャルな残酷さを氾濫していると麻痺しないのかな

 >現実とごちゃにしなければいいけど・・・

 人がバタバタ死んでいくという作品は昔からありましたね。

 推理小説などはそれがないとダメなのか?と言いたくなるくらい(笑)

 私は『デスノート』が特に残酷だとは思わないんですけど(汗)

 すでに麻痺しているのかなあ(汗)

 こどもたちが「嬉々として見」ているのだとしたら、

 その対象は人の死ではなく、駆け引きのほうであってほしい……。

 残酷さに対する麻痺は、一時的に自分を護るため、

 もともと備わっている防衛反応だと思っていますが、

 度重なればいつしかそれが当たり前になるかもしれませんね。

 それが逆に残酷さを求める気持ちを生じさせるのでしょうか。



とほさん



 >蜘蛛の糸とかもかなり突飛ですよね。

 確かに!

 ウィキペディアを引くと、

 雑誌「赤い鳥」に発表した子供向けの短編小説――とあるんですけど、

 芥川龍之介さんの考えるこどもって、かなり大人?



 >ゾンビとかも良かったし。

 中南米に行くと、今でもいるんですよね?(怖)



 >もし、○○だったら・・・・で展開していく世界

 >をSFって呼ぶのかしらん。

 今では、科学的でなくてもSFと呼ばれているような気がしますね。

 はて、科学とは何ぞや?

 ちょっと気になってグー辞書を引くと、

 個別の専門分野から成る学問の総称――という意味もありました。

 それなら納得できるなあ。

 原点は「もし、○○だったら・・・・」の発想ですよね^^



みかんずさん



 >うちの子は怖がって読まないみたいです。

 死神が出てきますからねえ……。

 そういえば、私は怖い話が大好きなこどもでした。

 デスノートにはそういう怖さを感じませんでしたが、

 それは大人だから??



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