外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

わかれ

2008年03月18日 07時41分09秒 | 日記

朝早くから電話が鳴った。

「・・・さんが、フラットです。」

 

うちは病院から5分のところなので、顔だけ洗ってすぐにでかけた。

朝早いので車の通りはほとんどなかった。

 

病院に着いたら、患者さんの心電図はやはりフラットだった。

 

この患者さんは、乳癌、骨転移、肺転移、肝転移、脳転移の方だった。

3ヶ月前から体調不良があり、入院。その後、体調の良い時を図って、

抗がん剤を行っていたが、肝転移が出現。嘔気が出現し、脳のCTで

脳転移と判明した。。。

 

手術してからはたったの6年だ。年齢は40歳前である。。。

 

少し、精神発育遅延のある人で、人なつこい人だった。

僕も研修医のころから携わっていたので、付き合いの長い患者さんだった。

 

自分は、この5年の間に何も変わっていないなと感じた。

少しくらい、患者を切れるようになっても、病気に対する知識の発展がない。

本当にこの患者さんに幸せな時間を作ってあげることができたのだろうか?

 

実際に患者を支えていたのはお母さんだと思う。

この2週間はずっと付ききりだった。

いろんな説明もきちんと聞いていたし、けいれんなど様々な症状が出現したが

そのつど理解を示してくれた。

 

最後のほうは意識がなかったが、

患者さんもきっと、お母さんに付き添われ、すごい安心していたと思う。

 

これから、日常の診療が始まる。