敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

きりぎりす

2007年04月13日 | 鑑賞
 友人でもある一跡二跳の制作・岸本くんから「自信作」だと言われて観に行ったら、本当に良かったのが、劇団一跡二跳第58回公演『きりぎりす』(原作/渡辺淳一 脚本/山田信夫 演出/古城十忍 シアタートップス 4/6~15)。

北岡雄二役の高久慶太郎が、大爆発 ハットトリックの大暴れで大勝!ってな舞台。
 01年の一跡二跳入団から大器の片鱗を伺わせていたが、今回大役を演じるに当たり、二皮は剥けた感じだ
 もちろんチャラチャラした研修医が、ベテラン医師との救命行為の中で成長するという、いわゆる“美味しい役”ではあるのだが・・・例えるなら、それまで2トップだったチームで「今日はお前の1トップで行く!好きにやれ!!」と監督から背中を押されてピッチに送り出されたストライカーのように、伸び伸びとゴールだけに向かうガムシャラさが良かった。FWが2枚の時は、もう一人とのバランスを考えてサイドに開いてみたり、撃てるのにパスを出していたのが、任されたことで、どこからでもシュートを放つ野性味溢れるゴールハンターに変貌した、みたいな。

 その活躍には、トップ下からキラーパスを出し続けたベテラン奥村洋治(心臓外科医・有津公一郎役)や、鉄壁の守備をみせた二人の客演・・・有津の妻・久子役の木野しのぶ〔朋友〕、久子の父・小西錦一役の林秀樹〔文学座〕のサポートがあってのことだ。
 特に不幸感漂う木野の存在感は、決してスライディングタックルで派手にボールを奪うのではなく、相手に触れずにパスやドリブルのコースをクレバーに消すディフェンダーのカッコ良さがあった

 また、医療機器協力のフクダ電子、医療アドバイザーの尾崎友美(東京女子医大)を含む見事な「医療シーン」の再現も、舞台にリアリティを持たせていた。

 HPによれば、26年前にテレビドラマ化され芸術祭優秀賞を受賞している作品の完全舞台化・・・なんだとか。
 「医療をめぐる命のドラマ」であり、と並行して家族の絆を描いてもいて…。で、なんでタイトルが《きりぎりす》なのか・・・それは観てのお楽しみ。

 ブログの中程をサッカーに例えたので、さらに続けると、確かに快勝した試合ではあったが、11人では戦っていなかったというのが残念でした。他人の劇団のことをいえた義理ではないけれど、若手との力の差が余りにも大きかった。全然ボールに触らずに終わった…とでも言うのか、是非次世代の底上げにも力を注いで欲しいと、素晴らしい作品だったからこその苦言を。

[文中敬称略] 

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