敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

短い言葉と高い建物のはなし

2018年11月02日 | 身辺雑記
父の故郷・津軽の言葉(に限らず
東北全般かも知れないが…)で
「どさ」「ゆさ」という会話がある。
「どこに行くの?」「銭湯にいく」
の意味が、とても短い音で通じる。

※※※

山形県に遊佐という町がある。
「ゆさ」ではなく「ゆざ」なのだが。

2009年に東演を退団しフリーに。
その初めの頃にいただいた仕事が、
『池袋わが町』という作品を、
池袋(東京)から遊佐(山形)、
南箕輪(長野)、名張(三重)と
巡演するツアー制作だった。

豊島区の事業で、三市町は、
友好都市はもとより、災害協力、
物産や教育の交流等、それぞれに
豊島区と関連を持っていた。

町で一番高い建物が町役場で、
その高さは三階だった遊佐は、
自然の豊かな長閑な所だったが、
図書館のシェイクスピアコーナーは
彼の故郷ストラッドフォード
お墨付きだったり、公演会場
(町役場の一階にあるホール)から
歩いてすぐに巨大スーパーもあり、
不便さもない良いところだった。

そうそう。
場当たりなど本番前の準備を終え、
町役場の二階で開いていただいた
歓迎の宴も温かくありがたかった。

そんな「遊佐」という音を
久しぶりにニュースから聞いて
反射的に目を向けたのは昨日。
残念なことに不祥事であった。

だからといって。
善き思い出は褪せることはない。

本格的な演劇作品を掛けるような
構造に元々ない小屋だけに
工夫して上演したのだけれど、
その分バラシには手こずった。
そして。
まだ遊佐の空は明るかったが、
新幹線で帰京するリミットとなり、
舞台監督、舞監助手と制作の僕、
三人だけを残して本隊を帰した。
我々はローカル線で酒田まで出、
ホテルを確保するや・・・
皆まで言う必要はないだろう。

これもむしろ楽しき思い出だ。

※※※

北の言葉にはさらに短いものも。
「これ食べなさい」「食べます」
が、「け」「く」の、たった二音。
なのに、とっても優しい。


『池袋わが町』
作演出/ジェームス三木
案内人には寺田農。
初演に愚妻が出演していた。
再演は他の公演と重なり降板。
再演から偶然にも制作につく。
同じく再演から加わった
演出助手Tと役者のKが、
のちに夫婦に……など、
思い出テンコ盛りの芝居だった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大きな窓から刺さるのは何色... | トップ | それぞれの現在地 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿