麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

安楽病棟

2018年06月28日 | 鑑賞
盟友・磯村純の本多劇場デビュー作
『安楽病棟』を観劇した。

劇団青年座第232回公演
原作/帚木蓬生
脚本/シライケイタ
於/本多劇場
時/6月22日~7月1日

演劇界の殿堂と永らく謂われた
紀伊國屋ホールと本多劇場。

拙い小生のプロデュース作品
『空ゆく風のこいのぼり』
作/藤井貴里彦、製作/劇団東演
で、2008年に既に前者での
演出デビューを果たした磯村が、
所属の青年座で堂々の本多デビュー。


とはいえ、まだ公演なかばゆえ、
ちょいと周辺の話をしよう。

2000年、小生は東演の制作末席にいた。
老人ホームを舞台にした二本立てのうち
『楽園終着駅』の演出助手として、
磯村は、演出の越光照文とともに
下北沢の稽古場にやって来た。
大いに意気投合して、02年に
文化庁創作劇奨励賞佳作を受賞した
『温室の花』(作/今井一隆)の
版権を取得、磯村を演出に立て企画。
公演は翌年7月であった。

さらに04年『浄瑠璃の庭』も磯村と。
宮崎在住の劇作家を見い出して、
前作同様、劇団アトリエでの公演。

このあたりから演出家・磯村の才能に
注目が集まり、05年劇団銅鑼に招かれ、
原作/重松清、脚色/青木豪による
『流星ワゴン』。この舞台はのちに
全国巡演を果たす名作へと育った。

そして前述の通り紀伊國屋デビューへ。
さて。話は前後もするが・・・
二人の出逢いなった『楽園終着駅』は
特別養護老人ホームの物語で、
今回の『安楽病棟』は認知症病棟の話。

奇妙な「縁」を感じずにはいられない。
縁といえば。
脚本のシライは磯村と同門の桐朋出身。
そして小生とは、つい三ヶ月前に
「韓国現代戯曲ドラマリーディング」で
一緒に作品を紡いだばかりだ。

最後に。
ネタバレに気をつけて中身を少々。

気づけば座歴13年の小暮智美が、
十数人の超ベテラン老人役の先輩を
向こうに回し、主演を見事に張った、
というのが、まず第一声だ。
on7での経験等、精力的な芝居道が
咲きかけているな~と。
そして、そのベテランの呆けっぷりが
実に味わい深いのである。

高齢化社会と言われて久しい日本。
そう、古巣・東演が老人ホームもの
『楽園~』『僕のメリーゴーランド』
『そして、あなたに逢えた』の
近石綏子の三部作の一等最初は87年、
実に30年以上前なのである……。

様々な進化もあるのだろうけれど、
根本的な解決にはいたっていない。
むしろ深刻になっているような……。

それはさておき。必見の舞台です。
コメント
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