麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

この二曲、この二人~葵上と卒塔婆小町(三夜)

2016年09月24日 | 制作公演関連
三島由紀夫の『近代能楽集』は
「邯鄲」「綾の鼓」「卒塔婆小町」
「葵上」「班女」「道成寺」
「熊野」「弱法師」の八曲からなる。

タイトルからも判るように、
能楽に想を得た作品群で、
一曲の上演時間は長くない。

演劇において。
一作品の長さに決まりはなく、
昔は三時間を超す舞台もざらで、
かつ当時の技術的な問題から、
幕が降りるや、トンテンカンと
金槌や木槌の音が緞帳の向こうで響き、
次の場まで数十分を要したらしい。

セットの転換が容易でなかった時代で、
勿論私は未体験だけれど。
ただこれは現象のひとつで、
時間の流れそのものが鷹揚だったのだ。
今様のお客様に喜ばれるのは、
一時間半から二時間を切るくらい。

そこに媚びるわけではないが、
三島の『近代~』は二曲上演も多く、
その組み合わせは様々ながら、
第三エロチカ(89年、於スペースゼロ)、
パルコ(96年、於パルコ劇場ほか)など
挙げればまだまだあるが、
葵と卒塔婆での上演は大変多いようだ。

その演出をJ-Theater主宰の小林拓生と
遊戯空間の篠本賢一が担う。
篠本を招くのは2014年の『溟い海』以来。

ともに日本演出者協会会員で
また国際部に籍を置いていた二人が
深く関わったのは日韓演劇フェスティバル。

あうるすぽっとの、劇場は勿論
ロビーでの演目も多彩な構成で、
観る側は楽しく、作り手側にすれば、
ある意味過酷な一ヶ月と言えた。

いや「第一回」ということで気合が入り、
本番は一ヶ月だったが、準備がまた大変で
つまり二人は「戦友」となった。

俳優協会や、僕の所属する製作協など
演劇界あげての大イベントで、
僕もその末席を穢していた。

そんな縁もあっての『溟い海』は
篠本、高橋揃ってのJ-Theaterデビュー作。
また
僕はそのまま居着いた形になっている(^_^;)

と、手前の話は置いておいて。

その、藤沢周平の渋い作品の12年は、
演出篠本、小林はプロデューサーに専念。
今回がはじめて演出で競いあうことになる。

10月3日~5日、近江楽堂。
3(月)15時と19時、4(火)19時のみ、
5(水)15時と19時、計五回公演。

初日昼は残席が僅かです。

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