麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

ダモイ

2008年08月06日 | 鑑賞
 8月6日、ヒロシマの日。
 
      *      * 
                  【文中敬称略】

 我々も毎夏『朗読劇/月光の夏』にこだわって上演を続けているけれど、同じように、長く多くの人に届けようとする意思を感じた舞台のひとつについて、今日は書きます。

 トム・プロジェクト『ダモイ~収容所から来た遺書』
 原作/辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」
 作・演出/ふたくちつよし
 出演/平田満 新納敏正 荒谷清水
 2008年7月30日~8月3日 紀伊國屋ホール

 出口の見えないシベリア捕虜収容所内の三人の男の生き様を描いた舞台は今回が三演目になります。

 原作となる、辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)~』は、第21回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回講談社ノンフィクション賞を受賞した名著。
 第二次大戦後、戦犯として理不尽な刑を課せられ、極寒地の過酷な条件下でも光を見出そうとした人々。その先頭に立っていた実在の人物を描いています。

 実は弊団も『妻よ、母よ、子供等よ!』というタイトルで1994年に上演したことがあります。
 僕の入団前で詳しくは知らないのですが…。
 東演では、たった二人の俳優とギター1本で演じたようです。

 話を『ダモイ』に戻しましょう。

 ラーゲリの中、極限状況の心を支えたものは何か。
 それが俳句であったり野球であったりしたことは、納得いくことでもあるし、我々「演劇人」を勇気づける“事実”でもある。

 そして何より、原作タイトルからも解るように、この作品の凄みは、敗戦から12年目に遺族が手にした4通の遺書にある。ソ連軍の目を免れるため、彼を慕う仲間たちは驚くべき方法で持ち帰られのだ・・・完全に記憶する、という手段で。
 舞台『ダモイ』はそれを、声高にせずに淡々と会場に響かせた。

      *      * 
 
 今日、銀座小劇場では、以前弊団演出部に所属していた鷲田照幸演出による『広島にチンチン電車の鐘の鳴る』(作/きむらけん)が上演されます。
 19時開演。(弊ブログ05年8月7日付に詳しく書いています)

 この作品も、8月6日にこだわって上演を続けること、9年目となる作品だ。

 あの日から、63回目の夏です。
コメント
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