瀬崎祐の本棚

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ココア共和国  7号  (2011/08)  宮城

2011-08-18 21:29:32 | 「か行」で始まる詩誌
 「津波」秋亜希羅。
 この作品はタイトルで容易に判るように今回の東日本大震災をモチーフにして書かれている。秋は自身のブログ「ココア共和国」で自らの被災状況をリアルタイムで発信してもいる。それは記録である。この「津波」は詩作品である。
 130行あまりの長い作品。「昨年の夏祭りで/恋人といっしょに買った/一匹の赤い金魚」を入れていた金魚鉢に海が近づいてきて、水平線が飛び込んできたのである。
 秋が実際に恋人といっしょに金魚を買ったのかどうか、死を思わせるような記述がなされている恋人が実際にどうなったのか、いや、実際に”恋人”が存在しているのかどうか、それはどうでもよいことであるだろう。これは作品なのだから。

   太陽がいっぱい

   帰りたくないのでハサミで切った世界地図の日付変更線は
   波にさらわれることなどないだろう

   太陽がいっぱい

   瞬きをすれば真似をする恋人の見つめるような瞬きは
   波にさらわれるようなことはないだろう

   太陽がいっぱい

   沈む一瞬好きなひとを思い浮かべた恋人のくちびるは
   波にさらわれることなどないだろう

 やや感傷的とも取れる詩行も混じってくるのだが、作品は作者を越えてうねりはじめている。それでいて、たしかに秋の詩作品になっている。
 こんなことを書くのは、当事者の方々には心ないことであるのかもしれないのだが、作品であるからには、こうして”現実ではない時点”で詩を書いて欲しいと思う。詩は”日記”ではないし、”忘備録”でもない。それは現実に凭りかからない地点で、それ自身で立ち上がっているものべきであると思うから。それでこそ、風化されない作品になると思うから。
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