Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ニキータ

2023-02-06 | 映画(な行)

◼️「ニキータ/Nikita」(1990年・フランス)

監督=リュック・ベッソン
主演=アンヌ・パリロー チェッキー・カリョ ジャンヌ・モロー ジャン・ユーグ・アングラード

リュック・ベッソンが日本で知られるようになった頃は、フランス映画の新しい波"ヌーヴェルヌーヴェルヴァーグ"と呼ばれた映画作家たち、レオス・カラックスやジャン・ジャック・べネックスらとひとくくりで紹介されていた。型破りな「サブウェイ」もあったけど、「グレート・ブルー」の映像美と作家性で語られることが多かった時期だったし。

90年にベッソンが放った大ヒットが「ニキータ」だ。フランス映画には珍しい激しいアクション、スタイリッシュな映像に世間が沸いた。そしてアクションが話題の映画なのに女性客が多いと、当時伝えられていたのを覚えている。

ハリウッド映画で見られる天下無敵なレベルの戦うヒロイン像とは違って、もっと個人的なレベルで成長するヒロイン像が示される。そもそも主人公は麻薬中毒のストリートギャングの一人。警官殺しに関わったことがきっかけで国家組織の下で働く暗殺者となる。その大きな転身には、暗殺者としての教育、訓練が科される。指導するのは「狂気の愛」のチェッキー・カリョ。

それだけでなく女性としての魅力を高める術をも学ぶ。その指導役として現れるのがジャンヌ・モローというキャスティングが素晴らしい。女性の生き方や恋愛観について数々の名言を残してきた人だけに、そのパブリックイメージが役柄に説得力を与えてくれる。リメイク版の「アサシン」でアン・バンクロフトがキャスティングされたのも見事な人選だ。そうした指導の下でジャンキーの小娘は華麗な仕事人として開花する。女性客の変身願望をくすぐらずにはおかない。

そして映画後半、ニキータと名乗ることになったヒロインは恋愛と仕事の間で苦悩することになる。それはスクリーンのこっち側の僕らの共感にもつながる。個人レベルの成長と葛藤がある。この映画のキャッチコピー。
「泣き虫の殺し屋、ニキータ」
「凶暴な純愛映画」
女殺し屋をこんなに身近に感じさせる宣伝文句が他にあるだろか。そして本編はヒロインが戦うだけじゃない。血の通った一人の人間のエンターテイメントに仕上がっている。







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