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ラッシュ プライドと友情

2014-02-23 | 映画(ら行)

■「ラッシュ プライドと友情/Rush」(2013年・アメリカ)

●2013年英国アカデミー賞 編集賞

監督=ロン・ハワード
主演=クリス・ヘムズワース ダニエル・ブリュール オリヴィア・ワイルド アレクサンドラ・マリア・ララ

 1977年頃、少年だった僕らはスーパーカーに夢中だった。テレビで特集番組があれば欠かさず見て、エンジン音が収録されたレコードを友だちの家で聴き、近所で外国車のショーがあれば親に連れて行けとせがみ、池沢さとしの「サーキットの狼」に夢中になり、学校の図書館でモーターカースポーツの本を繰り返し借りた。大分オスカーで上映されたドキュメンタリー映画「ポール・ポジション」(78)は、確か友だちと一緒に観て大興奮したっけ。

 77~78年のF1グランプリを記録したイタリア映画。ジェームズ・ハント、ニキ・ラウダ、マリオ・アンドレッティにカルロス・ロイテマンら名ドライバーたち。フェラーリやマクラーレンはもちろん、僕のお気に入りだったジョン・プレイヤー・スペシャル仕様の真っ黒なロータス、6輪タイレル。迫力あるレース場面はもちろん、76年西ドイツグランプリでのニキ・ラウダのクラッシュシーンも映し出された。誰しもが生還はできないだろうと思ったラウダ、奇跡の復活劇。その執念と勇姿にニキ・ラウダは僕らの間でヒーロー視された。その後、横浜タイヤのCMでハンドルを握るラウダの姿に感激したもんだ。前置きが長くて申し訳ない。

 映画館で予告編を初めて観たときはちょっと驚いた。ニキ・ラウダの復活劇がハリウッドで感動作として映画化されてしまうのか。僕ら世代のヒーローが安っぽく描かれはしないのか?。しかも映画会社のコピーが「あなたの生涯の1本を塗り替える。」と大上段で来やがった!。正直に言う。僕は、日本題にサブタイトルがついて、かつ、コピーが大げさな映画宣伝は信じないことにしている(笑)。だから最初は観るつもりはほぼなかった。しかしだ。ジワジワと気になってきた。だって、少年時代に好きだった頃のF1の映画だぞ。「ポール・ポジション」のチラシにもあるフェラーリが走る勇姿が見られるんだぞ。結局、映画館に来てしまった。

 小中学生の頃のように「車が見たい!」という欲望に完璧に応えてくれた。ありがとう、ロン・ハワード!。トップを争う熾烈な争いはド迫力だし、撮影はさぞかし工夫と苦労をしたんだろうな、と思う。それがちゃんとハイスピードでブッ飛ばしてるんだから。小学生のときに観た実写版「サーキットの狼」(77)とは比べものにならない!(比べるなっ)。あれは富士スピードウェイでスーパーカーが徐行運転する映画だったもん!(笑)。スタート最前列にいるハントとラウダの後ろには、ちゃんとロータスもタイレルもいる。順位を示す縦長の電光掲示板もそのまま。クラッシュシーンまで再現してくれるこだわりに、男子として感激。「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュールはニキ・ラウダのしゃべり方まで徹底して研究したなりきり演技。

 しかし、人間ドラマの方はなぜだろう、どうも物足りなさを感じてしまう。ハントとラウダは確かに好対照の性格だ。しかしサブタイトルにあるような"友情"を感じさせるエピソードは、事故後のラウダの容姿を悪く言った記者をボコボコにする場面くらいしか印象に残らない。F3からF1へと活躍の舞台を移す展開は物語をさらっと流してるようにしか感じられなかった。確かにそこに時間は費やせないのだろうけど。しかし、細部においてはサーキットの舞台だけでなく、"あの頃"を再現する数々の仕掛けがうまい。ハントの妻スージーが心を移す相手がエリザベス・テイラーと別れたリチャード・バートン(初めて知りました)というエピソードもそのひとつ。ロン・ハワードは監督作「アポロ13」で、「ビートルズが解散しちゃったよ」という子供のひと言で映画で描かれる時代を納得させた。こういう細部が観客を取り込む巧さなんだよね。でも全般的にはどうも引き込まれず。

 ともあれ、レースの映画は難しい。ヘルメットに包まれた顔では銀幕スタアは見栄えしないから、それ以外の部分でやたらええかっこしいになる(例えば「デイズ・オブ・サンダー」)。派手な見せ物としてレースを描くとロックをBGMとして過剰に流してしまう(例えば「ドリブン」)。人間ドラマを重視するとちょっと地味になる(例えば「栄光のル・マン」)。そういう意味では「ラッシュ」は、職人監督ロン・ハワードによってそれなりに手堅くまとめられてるようにも思えるのだが。

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