潰瘍性大腸炎で入院40日目第5-9話(7/6)
-うつ病と家族編-
彼女(妹)とは中高校の時から、まともに話したことがなかった。今でも彼女が帰省してきても挨拶程度しかしない。
僕は土日仕事で、昼に起きて深夜に帰る仕事だから大して顔を合わさないのだ。
彼女は昼間でも一人で部屋に閉じこもっている事が多いから、挨拶すら交わさず、一度も顔を合わさないこともあった。
それも、今考えると妙に納得がいく話だ。
病んでいたのだ。母親はそれを知っていたから、子供を預かり、彼女をそっとしておいたらしい。
さらにずっと謎だった疑問が解けた。
数年前に突如現れた『「うつ病」のすべて』という、マジメくさったでかい本のことだ。しかも、いつも台所のテーブルの上に置かれていて、「読んでいる」もしくは「読みなさい」とアピールしているようだった。
「いったい誰がうつ病なのか」
「誰が買ったのか、読んでいるのか」
「なぜ見える位置に置いてあるのか」
読んでいるのは母親に違いなかったが、いったい何のために。
父親の大腸がんが見つかったり、母の姉が亡くなったりと不幸が続き、大変沈んでしまった母親が《鬱》を患っているのか。
家族と全く会話をしないし、すぐ部屋に引きこもる僕を理解するために読んでいるのか。むしろ、僕に読まそうとさりげなく置いているのか。
実は、妹が「私、うつ病だから」と母親に買い与えたのだ。そのときに、一人で抱えてきた自分の過去を話したようだ。
僕は妹の事を何一つ知らなかった。
そして、彼女も僕の事を何も知らない。
今度は、僕が話す番だ。
入院日記40-5シリーズ(妹の心の闇)は終了。次回から、入院日記40-6シリーズ(僕の心の闇)になる。
マジメな話が続きます。
【つづく】
-うつ病と家族編-
彼女(妹)とは中高校の時から、まともに話したことがなかった。今でも彼女が帰省してきても挨拶程度しかしない。
僕は土日仕事で、昼に起きて深夜に帰る仕事だから大して顔を合わさないのだ。
彼女は昼間でも一人で部屋に閉じこもっている事が多いから、挨拶すら交わさず、一度も顔を合わさないこともあった。
それも、今考えると妙に納得がいく話だ。
病んでいたのだ。母親はそれを知っていたから、子供を預かり、彼女をそっとしておいたらしい。
さらにずっと謎だった疑問が解けた。
数年前に突如現れた『「うつ病」のすべて』という、マジメくさったでかい本のことだ。しかも、いつも台所のテーブルの上に置かれていて、「読んでいる」もしくは「読みなさい」とアピールしているようだった。
「いったい誰がうつ病なのか」
「誰が買ったのか、読んでいるのか」
「なぜ見える位置に置いてあるのか」
読んでいるのは母親に違いなかったが、いったい何のために。
父親の大腸がんが見つかったり、母の姉が亡くなったりと不幸が続き、大変沈んでしまった母親が《鬱》を患っているのか。
家族と全く会話をしないし、すぐ部屋に引きこもる僕を理解するために読んでいるのか。むしろ、僕に読まそうとさりげなく置いているのか。
実は、妹が「私、うつ病だから」と母親に買い与えたのだ。そのときに、一人で抱えてきた自分の過去を話したようだ。
僕は妹の事を何一つ知らなかった。
そして、彼女も僕の事を何も知らない。
今度は、僕が話す番だ。
入院日記40-5シリーズ(妹の心の闇)は終了。次回から、入院日記40-6シリーズ(僕の心の闇)になる。
マジメな話が続きます。
【つづく】
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