★YUKAの気ままな有閑日記★

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【本】重力ピエロ

2007-11-25 10:18:45 | 本【小説・日本】

          『重力ピエロ』     伊坂幸太郎     新潮文庫
【comment】
遅れ馳せながら(汗)、近年稀に見る才能のキラメキに出会った気がした―
魅力溢れるキャラクター、惹き込まれる題材、深遠で切なく考えさせられるテーマ、そして心地良い文体のリズムとセンスの良いユーモア・・・とても面白い小説だった―

「由香ちゃんはきっと好きだと思うよ―」
今回私にこの本を薦めてくれたのは、敬愛するお友達の娘さん、中学3年生の女の子だ。
どうやら私は、中学生にまで見抜かれるくらいの単純構造人間らしく、彼女が思った通り心底物語を楽しんだ。
で・・・ちょっぴり悔しくなったので、来年の目標を決めたりして。
「もっと複雑な人間になってやる―」

   -story-
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。
連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。
謎解きに乗り出した兄が直面する真実とは―

はじめ、↑のあらすじを読んで、「あまりパッとしない話かな・・・」と疑ってかかった。
そして目次をみたら58項目もあったので面食らった。「なんじゃーこりゃ」と。
だが、読み始めてすぐに筆者のセンスの良さを好きになった。
本作で味わった感覚を何と表現すればいいのだろう。
『透明感のある優しさ』か?・・・陳腐だな(汗)
とにかく物語には『透明』っぽい雰囲気があった。
そのせいか、不思議なことに愛すべきキャラクターの顔があまり浮かんでこず・・・
それでも彼らは本の中にいて、そして私の心とリンクした。ちょうど良い距離で―

さて、ここで物語について少しだけ触れておく。
これは簡単に言えば、『放火と落書きと遺伝子を巡る家族愛の物語』だ。
母は亡くなり、父は癌の闘病中である泉水と春。
2人は仲の良い兄弟だったが、小さい頃から大きな苦悩とともに生きてきた。
弟の春は、母が強姦魔に襲われた時に出来た子どもだったのだ。
それ故、世間の誹謗中傷を受けてきた。残酷な世間は容赦ない。
「何で産んだのかねぇ~」と白い目で見られてきた家族―
ある時、放火が頻発する事件が起きる。
春は、放火事件とグラフィティアート(落書き)には関連性があると言い、ミステリ好きの入院中の父と泉水は謎解きに乗り出すことになるのだ。

物語は、ミステリという点ではあまり複雑なものではなく、少ない登場人物の役割にも謎が用意されているわけでもない。いたって単純なのだ。
だが、キャラが非常~にたっており、泉水も春も父親も・・・とてもいいのだ。
特に、小さい頃から色んなことを考えなければならなかったであろう春が、様々な書物にすがり、ガンジーを敬愛したり、ピカソと自分を重ね合わせたりする件は切なかった。
最後の方で決定的な大事件が起きてしまうが・・・それについてと、そこから先については・・・どう考えていいのか分からなかった。今でも分からない。
だが、別にモヤモヤしたのではない。
おいおい考えてみようと思う。泉水と春の選んだ答えを―

それにしても・・・根本的な問題だが、春の両親が『産む』と決断したのは良かったのかどうかと考えてしまう。
その決断によって親が重荷を背負うのはいいが、息子2人が背負うには可哀想過ぎる。
『産む』ということに反対なのではなくて、何処か別の場所に引っ越して、子どもを育てれば良かったのになぁ~と理想論をかましたくなった。

本作は、マメ知識の宝庫と言っても過言ではなく大変楽しませて頂いた。次から次へとさり気なく現れる引用文も面白かった。
こういう作風はとても好きだ。他の作品もドンドン読むぞ―

    ~どんなに陳腐な犯罪でも、それによって、一度きりの人生が
                     ぐらぐらと揺すられることには変わりない。
      いくら事件が陳腐でも、人を不幸にするには充分だ~   (本文より)
       PS.なっちゃんサンキュー   (4.5点)
      ★映画『重力ピエロ』の感想です


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18 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (masako)
2007-11-25 21:18:25
こんばんは。TBありがとうございました。
伊坂幸太郎は前から結構好きで良く読んでいたのに、この本を読んだのはわりと最近。それまでも伊坂さん作品は面白いと思っていましたが、これは群を抜いていました。

春がお兄ちゃんに絶大な信頼を寄せているところがとても好きです。「俺たち兄弟は最強じゃないか、兄貴」

本当ストーリー展開や伏線のはり方が上手いですよね。今週新作「ゴールデンスランパー」が発売なので楽しみです。
こんにちは (hito)
2007-11-26 12:34:47
いいですよね~伊坂作品!大好きです~

伏線の張り方がいつも見事で、作品ごとにちょとずつ色々リンクさせているのもファンには嬉しいところです。

他の作品もドンドンアップされるの楽しみにしていますね~
masakoさんへ^-^* (由香)
2007-11-26 22:00:47
こんばんは!
masakoさんは伊坂作品を色々お読みなんですね♪
私は初めて読みましたが(しかも中学生のススメで・笑)、センスの良いお話にとても惹かれました~
今日は『オーデュポン~』を読了しましたが、なかなか面白かったです。
でも、やっぱり『重力ピエロ』が好きかなぁ~
兄弟の関係がとてもいいですよね。
春の真っ直ぐな考え方も好きです。あの後もずっと兄弟支えあっていくんだろうなぁ~って思います。何があっても。
まぁ!新作が発売されるんですか?
私は、新作に手を出す前に・・・色々読んでおかなくちゃーと思っています。
hitoさんへ^-^* (由香)
2007-11-26 22:04:07
こんばんは!
TB&コメントありがとうございました^^・
hitoさんも伊坂作品がお好きですか~
hitoさんは色々なジャンルの本を読まれるんですね~
伊坂作品は作品同士がリンクしているようですね。
その点に気が付いた時はちょっと嬉しかったです♪
これから何冊か伊坂作品を読もうと思っていますー
こんにちは。 (asitahatennki)
2007-12-09 17:37:09
見つけてしまいました。

この本も読まれていたんですね。
東野圭吾さんに対してのコメントを入れさせていただいて他のページも見せていただき
この本のコメントも読ませていただきました。

私は大分前に読んでいたので
話しの内容を忘れかけていましたが
由香さんのブログを読んで想い出しました。

私も えっ!と思いながら 読みはじめたのですが、
最後はどっぷりつかってしまい
兄弟の優しさに感動したことを思い出しました。
asitahatennkiさんへ^-^* (由香)
2007-12-10 09:22:39
こんにちは!
TB&コメントありがとうございました。
この本は中学生の女の子にススメられて読みました(笑)
最初は面白いのかなぁ~と、半信半疑だったのですが、すぐ夢中になりました(笑)
兄弟愛が良かったですね~
センスのいい文体にも魅せられました
読んでみました (くまんちゅう)
2008-03-30 20:37:28
記事の中にリンクさせてもらいました、毎度の事後報告ですがお許しを・・・
独特の雰囲気の言い回しでしたけど、読みやすくてよかったです、不思議な余韻もありましたね。
しつこくない豆知識も楽しめました、ってフェルマーも出てきたじゃないですか!ビックリ!!
くまんちゅうさんへ^-^* (由香)
2008-03-31 17:06:08
こんにちは!
読まれましたか~♪
記事にリンクして頂いたようでありがとうございます^^・
こちらこそいつもスミマセン!!

私はこの作品が伊坂ワールド1冊目でしたが、とても気に入ったんです。
その後も何作か読みましたが・・・1番好きなお話かもです。

フェルマーが出てきましたか?わ~気が付きませんでした。
そういう事に気が付くと、読んでいて楽しいですよね♪
TBありがとうございます (悠雅)
2008-05-04 22:17:03
こんばんは。
この人のデビューの頃に『オーデュボン~』を読んで以来、
娘に何年も、何回も薦められたのに、ようやく最近になって
他の作品も読み始めた次第です(恥)
それもこれも、映画絡みなのが更にお恥ずかしいですが。
この作品も映画化されるらしいですが、
『アヒルと鴨のコインロッカー』くらい頑張って作ってもらいたいです。

>あらすじを読んで、「あまりパッとしない話かな・・・」と疑ってかかった
もし、娘の強力にして長期のプッシュがなければ、
わたしもこのあらすじだけでは、眉唾だったかもしれません。
でも、読み進むうちに、次の展開への興味に、自分の読む速度がついていかず、
まどろっこしい思いで、あっという間に読んでしまいました。
やっと読み終えました・・・ (マリー)
2008-05-04 22:53:54
こんばんは~♪
コレ、ゆっくりゆっくり読みました。
泉水くん、春くん との別れが辛くて・・・後半になったら、読み進めたくなくて困った。

こういう「家族の形」が存在するとは、とても思えないけれども・・・もし、もし存在していたら~なんと素晴らしいんだろう。と・・・
登場するキャラ全てがいとおしかったです。
私にはとてもじゃないけど出来ないことだ・・・
そしてそんな両親に育てられ、おそらく「絆の力」だけで心身ともに成長した子供たち。
彼らが選択した答えは、世間的には許されないことかもしれない。
けれど私は許します。涙が止まらなかった。

伊坂さんって「文を操る」のが、本当に上手いですねぇ。色々な本からの引用も、嫌味がなく~素直に入ってくる。遅ればせながら「オーデュポン・・」読み始めました。


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