taimuのひとり言

毎日の生活の中で感じた事を 徒然なるままに・・・。

読書日記 10 今月読んだ本 2月 その2

2008-03-01 14:24:20 | 読書


 昨日の続きです。
 2月に読んだ本
 
 「靖国への帰還」 内田 康夫著

 久しぶりの内田氏の新刊ということで
 何の予備知識もなく 手にとって読み始めました。
 いつになったら 浅見探偵が登場するのか、期待して・・・。

 しかしこの本は 内田氏の著書のなかで
 異色の1冊ではないでしょうか。
 題名から想像できるように、第二次世界大戦中の話と
 現代とをつないで 靖国神社についての問題を 
 あらためて提起しています。
 ミステリーではありませんが 現代にタイムスリップ
 してしまった「武者中尉」という人物を通して
 62年前に戦争に駆り出されてしまった人々の思いを
 直球で私に投げてきたように感じました。

 これは 現代によみがえった武者中尉の言葉を借りて
 内田氏の思いが語られているのでしょうか。
 しかし 内田氏も戦争中は小学生くらいだったと 
 思われますので、実際に戦った方々の思いとは違うのではないか
 とも思いました。
 
 女性の立場としては、作中の沖有美子の

 「武者さんが一つだけ勘違いしていらっしゃることがあります」…
 「靖国神社のことですけど。軍人さんが『死んだら靖国神社へ還る』って
  おっしゃってらした気持ち、とてもよく分かるんですけど、
  それはやはり男性の考えですわね。女のわたくしは、そうではなく、
  その方のご家族や恋人や愛する人たちの心の中に還って来て
  欲しかったのだと思います。心の中に、いつまでも消えることのない
  蝋燭のように、灯りをともしていていただきたかったわ」
 
 という言葉に同感でした。

 現代の人気作家の内田氏の著書ということで
 若い人たちが 手軽にこの本を読んで
 「靖国問題」の背景にあるものを、少しでも
 考えるきっかけになればと思いました。

 いつもの推理小説と思って 読み始めた私は
 肩すかしをくった感がありますが それなりに面白かったです。

 いとも簡単にタイムスリップして現代に来て
 また元の時代に戻って行くという設定に
 安直な感じはしましたが・・・。

 一緒にタイムスリップして その後死んでしまった
 「柳操縦士」について 亡骸はどうなったのかなど
 語られていないのが 最後まで気になりました。