”佐藤多一”

豊橋市のイベントなど

鬼の住む島

2015-04-28 17:37:11 | つれづれ草
鬼の住む島 
 
 日本の各地で鬼が祭られ、様々な伝説が残っています。一般的な鬼の姿は、牛のような2本の角が生えており、トラの皮の「ふんどし」をしています。この鬼の姿は、トラが日本に生息していないことなどを考慮すると、中国など外国から伝わったものと思われます。三国時代の蜀の丞相、諸葛亮「孔明」は、方位に動物を当てはめて、分かりやすく庶民に広めた、と言われており、北から順に、子、丑、寅、兎、辰、巳、馬、羊、申、酉、戌、亥となっています。東北の方角が丑寅に当たります。家相で言う「鬼門」の方角が丑寅(東北)で、鬼に「牛、トラ」を当てはめたのではないか、言われています。当時、蜀の国から見て東北の方角には、魏の国がありました。この魏の国との戦に備えるため、東北の方角には「牛のように角が生えて、トラのようにどう猛な人々の恐ろしい国があるから」門を造らないようにと指導していたものと思われます。
 また東北に門を設ける者は、魏に通じる門として疑念を抱かれた。南西側の門(裏鬼門)も直線的な攻めに対して(逃げても、逃げても追いかけられることになり)逃げにくく、せめて来る方向に対し90度の角度で逃げるのが逃げやすく、南東(辰巳)、北西(戌亥)の方角に門を設けることを奨励した。特に辰の方角には、呉の国(友好国)があり、最適としたものと思われます。
 鬼にまつわる伝説は各地に残っています。姿もさまざまで「隠れる」という意味の見えないものをさしたり、一つ目や大男であったり、各地に「鬼が島」が点在しますが、南方から渡ってきた海賊(土民)という説も聞かれます。
日本には、縄文時代から「大陸や海から渡ってきたアイヌ人やサモア人など」様々な人種の人が住んでいたのではないかと思われます。それぞれ弥生時代まで住み永らえ、一部「鬼」として恐れられていたのではないかと思われます。  
 古来から、人々に恐れられているものに魔があります。特に邪悪なものを悪魔といい、魔の手、魔術など様々な誘いの罠を使って人を惑わし、「魔が差すという言葉のごとく」人々に寄り付いてとんでもない行いをさせてしまいます。この魔から身を守るために様々な「魔除けの手法」が用いられてきました。
 鬼神とは人々の災厄を除く鬼であり、建物の隅々の鬼瓦は、忍び寄る「魔」をはね除けるためのものであります。鬼祭りや「なまはげ」など鬼が市中を暴れ回って、魔や厄を追い払う、厄除けの祭なども受け継がれてきています。「鬼さんこちら手の鳴る方へ」鬼ごっこの遊びですが、鬼を市中に引きずりまわすことによって魔を掃う神事であったとも考えられます。鬼が一つ目で視野が狭かったのか、「各地におにごろしという地酒がありますが」鬼を酔わせて、赤ら顔になった鬼を手招いて、市中を練り歩かせたのかは、定かではありません。鬼は怖い存在ですが、人なつっこい面もあり二面性が見受けられます。

夢の途中

2015-04-08 07:57:11 | つれづれ草
夢の途中
 
 人は、睡眠時になぜ夢を見るのか、夢を見る理由については現在のところ不明であります。いつ夢を見るか、については浅い眠り「レム睡眠」中に見るとされていますが、最近、「ノンレム睡眠」時にも見ることが確認され、フラッシュバックのような悪夢はノンレム睡眠時に見ると考えられています。睡眠の目的は、心身の休息であり、記憶の再構成などにも係わっているとされています。
 子どものころトイレに行った夢を見て、もらしてしまった記憶があります。現在でも同じような夢を見て目が覚め、トイレに行くことがあります。尿が膀胱(ぼうこう)に満タンとなり、脳が膀胱(身体)の危機を察知して、夢を見させることによって、目を覚まさせようとする行為ではないかと思います。
 怖い夢、気持の悪い夢など不快な夢を見ることがあり、ほとんどの場合、夢の途中で目覚めます。このような夢を見て目覚めたときは、心臓が激しく鼓動して冷や汗をかいているときがよくあります。トイレの夢と同様に脳がどこか身体の異常を感じて、不快な夢を見させ、目覚めさせようとしているものと思われます。
 人の睡眠は、一般的に6~8時間が多く、7時間の場合に平均寿命が最も長くなると言われています。食事してすぐに寝ると体によくない。といわれますが、睡眠の目的が心身の休息であり、最初に脳と体の疲れをとるような作用が働くと思われ、食べた物の消化は後回しになります。睡眠中「胃にもたれる」状態になっているものと思われます。私の場合ですが、就寝後2~3時間で目が覚める場合がよくあり、目が覚めたあと胃が働きだすような気がします。1~2時間ウトウトして、また深い眠りに入ります。2~3時間で体の疲れが取れ、1~2時間で消化が終わると次は循環器系(心肺機能)が休息するような感じがします。呼吸は最小限に抑えられるものと思われ、脳が低酸素状態になり、体の異常を感じます。こうした異常を知らせるため、夢を見させて、目覚めさせようとしているものと思われます。睡眠時間は6~7時間が最も目覚めがよく、疲れも取れるように思われます。7時間以上寝ると明け方に何回も夢を見ます。9時間以上寝てしまうと目覚めも悪く、体が重く、疲れが残る感じがします。

ぶり返す

2014-05-02 19:10:38 | つれづれ草
ぶり返す

 「ぶり返す」よく耳にする言葉ですが、辞書によると「一度よくなりかけていた病気・気候・事柄などが再び元の悪い状態になる。」と説明されています。
 近年、夕立が少なくなりました。山が乾燥してきているのが原因の一つであるかと思います。我が国は、木材を資源として利用するため、植林し森を育ててきました。人工的に育てた森は、手入れをしないと森林の多面的な機能が低下してしまいます。森の保水力が低下しているものと思われます。水を蓄え、窒素やミネラル分などを下流域に供給するのが、山であり森であります。山が豊かになれば、里にも作物が育ち、海も豊かになります。
 出世魚のブリは、水温14~15度あたりを好み、日本各地を回遊しています。ブリは、定置網漁で水揚げされますが、定置網は、魚の通り道に漁網を設置して捕える漁法であります。ブリなどの回遊魚は、おもに決まったルート「魚道」を通って泳いでおり、魚道をふさぐように網を設置することで捕獲しています。
 「寒ブリ」は、富山湾の氷見が有名であり400年の歴史がありますが、過去、何度か不漁の時代がありました。近年では、1970年代から1980年代にかけて低迷し、富山では、漁獲高ゼロという年もありました。江戸時代には数十年周期で豊漁と不漁の時代が繰り返していたようであります。相模湾でも1950年代までは、ブリが大量に水揚げされていましたが、次第に減少し、2000年以降は、激減してしまいました。
 小田原市では、「ブリが帰ってくるような森と町をつくろう。」という運動が始まっています。他にも各地で、市民や漁業者が森林管理に関心を持ち協力する取り組みが行われています。流域の豊さは、森林によって育まれるものであり、海辺の人々は、森の恵みを受けています。
 江戸時代、ブリが再び帰ってくる思いを胸に不漁の時代を耐え抜き、ブリが再び帰ってくる海を待ち続け、「ぶり返す」の語源になったかは、定かではありませんが、いい状態に戻る場合にも使えるかもしれません。

分が悪い

2014-04-25 19:45:37 | つれづれ草
分が悪い
 
 形勢が悪い、不利な状況の時に使う言葉です。逆に形勢が良い、有利な状況の時には、分があるといいます。
 草木は、根から水と養分を吸収し、光合成を行って成長しています。根から吸収した水は、幹を通り枝・葉まで運ばれて行きます。木を伐採した時点では、幹にも多くの水分を含んでいます。春から夏にかけては水分が多く、一般的に比較的含水率の少ない冬の時期に伐採します。水分を含んだ木材を製材しますと乾燥したときに収縮します。木は、外側の部分と心に近い部分では、含水率に差があり、外側の部分のほうが、多く水分を含んでいます。
 「分」は、尺貫法の単位で、1尺の100分の1、1寸の10分の1に当たり3.03mmであります。水分を含んだ状態で製材しますと収縮して、板が薄くなったり、分がそろわない「分が悪い」製品になってしまいます。分がそろわない製品では、精密な工作はできず、乾燥させてから、再び加工しなおすことになります。15mm(5分)の板では、1~2mm薄くなることがあり、分引きして13mmの製品として、取引することも多くみられたものと思われます。「分がそろわないから分引きしろ」「分が悪いから負けろ」と言われ、値引きしたこともあったかと思います。
 分引きは、割引するときに使う言葉ですが、「分が悪い」「分引き」という言葉は、このような木材の取引から生まれた言葉であるかは、定かではありません。


ひなたぼっこ

2013-03-14 17:59:47 | つれづれ草
日向(ひなた)ぼっこ

 縁側で、冬の柔らかい暖かな日差しを浴びて、居眠りをする。昔のおばあさんの姿が思い浮かばれます。
子どもの骨折は、30年間では2倍以上、10年間では約1.5倍に増加しています。原因は、様々ですがカルシウムやビタミンDの不足により、骨が弱く、脆くなっているという指摘や、運動不足による体力不足や反射神経が鈍くなっている、という原因が挙げられています。魚より肉を食べるなどの食生活の変化により、カルシウムも不足がちですが、特に日光に当たらなくなったことによるビタミンDの不足が原因であると思われます。ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を良くし、骨や歯への沈着を助けます。また、血中カルシウム濃度を一定に保つ働きがあります。ビタミンDは、人の場合、食物から5割、太陽光(紫外線)を浴びることで、5割を賄っていると考えられています。食物中に含まれるビタミンDは、魚介類に多く含まれ、魚を食べなくなった現代では、食物の割合が低くなっていると考えられています。ビタミンD が不足すると骨は骨軟化症という、骨粗鬆症よりひどい状態になってしまいます。また、ビタミンD不足になると、筋力、特に下肢の筋力が衰え、転倒しやすくなることも明らかになっています。骨折の原因であります。

 豊橋動植物公園のゾウの赤ちゃん「マーラ」が骨折しました。アフリカやインドなどで生息するゾウは、一年中、強い日差しの中で紫外線を浴びて暮らしています。生まれて1年ほどで、4倍の体重に成長するゾウは、体重を支える足の骨の成長が欠かせません。日本では、冬場において日光の照射時間が少なく、おもに屋内で飼育されているゾウは、紫外線に触れることが少なくなり、ビタミンDが不足して、骨折に至ったものと思われます。

 最近の子どもたちは、外で遊ぶことが少なくなり、外出も車に乗ることが多く、冬は特に日に当たることが少なくなっています。紫外線による皮膚でのビタミンDの生成が、不足しているものと思われます。地上に降り注ぐ紫外線はA波とB波の2種類があります。波長の短いB波はエネルギーが強いため細胞を傷つけ皮膚がんの原因になります。可視光線に近いA波は肌を黒くする日焼けを起こしますが、あまり皮膚がんの原因とはなりません。B波は、ガラスで遮られますが、A波は、60%程度が通り抜けます。ビタミンDを補うには、20~30分程度外で太陽に当たるか、室内で1時間程度、ひなたぼっこするのが良いでしょう。

お盆とお彼岸

2012-08-10 12:55:11 | つれづれ草
お盆とお彼岸 

 お盆には先祖の霊をお迎えし、春と秋のお彼岸には、お墓参りに出かけます。盆は仏教の故事で盂蘭盆経が基になっていますが、彼岸は、他の仏教国には習慣がなく、日本独自の行事であると思われます。なぜこのような習慣が定着したのか、様々な説があります。彼岸の語源については、仏教用語の到彼岸からきているそうですが、煩悩の現世、此岸(シガン)から解脱した悟りの世界、亡くなった先祖の霊が住む世界を彼岸(かの岸)と考えるようになったことから彼岸の習慣が生まれたものと言われています。
 彼岸は、春分の日、秋分の日にあたり、太陽が真東からのぼり、真西に沈みます。西方浄土の思想があり、この時期、その方角に向かって念仏を唱えれば、必ず「先祖の霊が住む」極楽浄土に往生できると考えられています。

 お盆の頃は、大変暑い時期であります。暑さの中では、体を冷やそうとする生理的な作用が働いています。逆に冬は体を温めようとする作用が働いています。人の体は、こうした働きによって夏には体温が低く、冬は体温が高くなっています。年齢的には、赤ちゃんの頃が、一番体温が高く、年を取ると次第に体温が下がってきます。怪談やお化けの話は、冬にはあまりなく、夏場によく語られます。暑い夏は体温が低くなっており、特に寝苦しく汗をかいているときなどは、より低くなっています。体温が下がると霊が近寄って来るものと思われます。こうした時は、霊などの夢をみることも多く、そうしたことからお盆の暑い時期に、先祖の霊をお迎えしてお祭する習慣になったものと思います。最近においては、冷暖房などが完備しており、季節的な体温の変化は一定でなく、したがって霊が現われないかも知れません。

 彼岸の頃は、人がよく亡くなります。季節の変わり目といわれますが、この頃は移動性の高気圧、低気圧が交互にやってくる時期であります。1年のうちで気圧の変化が大きい時期であります。また春分の日の頃は、干満の差が大きい時期であり、潮干狩りなどに適しています。干満の差が大きいということは、それだけ月や太陽の引力、地球の遠心力の影響を強く受けています。この気圧の影響と引力の影響で、普段よりも多く人が亡くなるものと思います。生命は細胞分裂によって生まれ成長しています。こうした細胞分裂は、引力の力を利用していると考えます。カニの産卵などに見られますが、地球上の多くの生命は大潮の満ち潮のときに生まれています。人も一般的に満ち潮のときに生まれ、引き潮のときに亡くなるといわれます。彼岸の頃には、近所で人が亡くなることから、彼岸に墓参りに出かける習慣が生まれたものと思います。

気をつけ

2012-04-04 17:05:14 | つれづれ草
気をつけ
 
 最近の子どもは、姿勢が悪くなったと言われています。テレビゲームをしている姿勢を想像しますと、腕を前に構え胸を縮めて、あごを突き出し、背筋が曲がる。そんな姿勢が思い浮かびます。むかしの子どもは、姿勢が良かったように思われます。昔は、外で遊ぶことが多く、公園や土手など自然の中で走り回ったり、木に登ったり、外で遊んでいました。土手を駆け下りたり、縄跳びなど飛び跳ねることで、背筋力が付き、姿勢が良くなったものと思われます。

 「気をつけ」という号令をかけて、不動の姿勢をとります。背筋を伸ばし、胸を張り、あごを引き、両足の踵をつけ、まっすぐ前を見ます。背筋を伸ばし、まっすぐ前を見ることで、集中力が増し「聞く姿勢」になります。命令の伝達に適しています。姿勢をただすと良い気が出ます。まさに心身に「気力をつける」事だと思います。座禅の時の姿勢も「頭を正しく首の上において、青竹を立てた如く垂直に座る」としています。気は、鋭気・根気・元気のもとであり、気が備われば力強く、粘り強くなります。

 姿勢が良くなると運動能力が上がり、体力がついてきます。背筋が伸びていないと走っていても転びやすくなりますし、不安定で心に不安が生まれます。哺乳類の中で二足直立歩行できるのは人だけであり、地球の重力に対し、二本の足でしっかり体を支えるためにも背筋を伸ばすことが大切であります。背筋が曲がり前かがみになっていると腹部が圧迫され、内臓の働きが悪くなったり、血行が悪く疲れが残ってしまいます。「気をつけ」の姿勢は「聞く姿勢」であり、椅子に座って良い姿勢を保つと授業・講義などでよく聞きとることができ、学力の向上に繋がります。

 生きる力とは、気力、体力、知力であります。良い姿勢を身につけることによって、良い気が生まれ、気力が付きます。良い姿勢を保つと、背筋力が付き体力が向上してきます。気力・体力が付いてくると、良い姿勢を長く保つことができ、集中力が増し、知力が備わってきます。運動するときも学習するときもよい姿勢を保つことが大切であり、生きる力は、良い姿勢を保つことによって、身についてくるものと思います。家庭でのファミコン座りや学校での体育座りなど背中を丸めた姿勢はよくないと思われます。
 
 また、絆という言葉に代表される、協調性、団体力も生きる力として、必要であります。「歩調を合わせる」・「足並みを揃える」という言葉で表現されますが、人と共同作業をするときには、協調性が大切であります。たとえば、数人で「重いものを持ち上げる」とか「大きなものを運ぶ」などという時には、足並みがそろわないと失敗をしてしまう恐れがあります。足並みをそろえて、行進をする。そうした教育も必要であるかと思います。個性も大切でありますが、姿勢と足並みを揃える教育も、生きる力を育む教育であるかと思います。

うまみ

2012-03-31 14:14:13 | つれづれ草
うまみ                      

 うまみの成分には、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどがあります。グルタミン酸ナトリウムは、昆布に含まれるうまみ成分、イノシン酸ナトリウムは、煮干・鰹節に含まれるうまみ成分であり、グアニル酸ナトリウムは、干ししいたけに多く含まれるうまみ成分であります。この様なうまみ成分は、同時に使用することで、うまみが増加するといわれています。

 グルタミン酸は、昆布のほかチーズやお茶、トマトやジャガイモ、豆類など、乳製品を除いて一般に植物性食品に多く含まれています。イノシン酸は、魚類や肉類など動物性食品に多く含まれています。グアニル酸は干ししいたけのほかマツタケやえのきだけなどきのこ類に多く含まれています。トマトソースやシチュー、肉じゃがなど煮込み料理において、動物性食品と植物性食品を組み合わせて用いられるのは、グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果引き出すため、工夫され調理されてきた組み合わせであります。これらのうまみ成分は、塩類として存在しており、料理における塩加減が一層のうまみを引き出す決め手となります。

 人にはミネラルが必要であります。34種の必須ミネラルが必要であると考えられています。地上の動物の全ては、海の生物から生まれてきており、進化の過程で様々な食性を備えてきたものと思われます。人を含め、動物の肝臓は化学工場であると言われています。馬や牛などの草食動物は、植物しか食べていないのに肉がつき脂がのってきます。肝臓で炭水化物などから、たんぱく質や脂質が造られ、余分になったものが肉や脂肪となって体に蓄えられます。その他のほとんどの有機物も肝臓で造りだすことが出来るといわれています。

 特に若いうちは肝臓が活発に働いており、ある程度偏食しても不足する栄養素は肝臓によって造られています。しかしミネラルなどの無機質は造られません。水や食物によって外から取り入れなくては不足してしまいます。当然、体に不足しているミネラル分は、取り入れたいという生理的作用がはたらくはずであり、そのミネラルが含まれている食物は、食べたいと思うはずであります。したがって食べればおいしく感じるはずであり「うまみ」であると言えると思います。
 
 

春眠

2012-03-25 08:50:35 | つれづれ草
 
 "春眠暁(あかつき)を覚えず"唐の詩人、孟浩然の詩「春暁」の一節であり、「春の眠りは心地よく、夜が明けるにも気づかない。」といった詩であります。"金の輪の春の眠りにはひりけり"高浜虚子の俳句であります。春の眠たさを歌った詩や句であります。少し意味が違いますが与謝蕪村の句に"春の海ひねもすのたりのたりかな"という句があります。春の海は一日中、ゆったり波打っていると言った意味で、ボーっと海を眺めていて読んだ句のように思えます。
 
 春先、花粉症で体調を崩したり、新入社員や新入学生が5月病にかかりますが、昔から春は眠かったり、体がだるかったようであります。なぜ春になると異常に眠かったり、だるさを感じたり、体調を崩すのか、様々な説があります。「春は日照時間の変化が最も大きく生体のリズムがうまくいかなくなるため」という説や「冬の間、日照時間が少なく春先の頃、最もビタミンDが不足するため」と言った説も聞かれます。また冬の間は植物の光合成が活発でなく、部屋も締め切っていることが多く酸素が不足しがちになるため、春先、眠かったり、だるさを感じる。といったことも原因の一つであるかと思われます。
 
 春になると植物が花を咲かせ、いっせいに新芽を吹き始めます。この時を待っていたかのように冬眠から目覚め、昆虫が孵化し活動を始めます。海の中でも植物プランクトンが発芽し、魚介類も卵を産み孵化(ふか)します。食物連鎖によって"食うか食われるか"の戦いが始まります。ジャガイモの芽には毒があります。初夏、草むらや茂みに入るとかぶれる人がいます。春から夏にかけて植物は、芽や葉に毒気を帯びてきますが、昆虫や動物から身を守るためであります。動物は捕食者に対して動いて逃げることができますが、植物は動かないため捕食者に対して毒性を持って身を守ったり、竹のように一気に伸びたり、雑草などは根をしっかり張ることによって捕食者と戦い、生き延びています。人も例外ではありません。春は特に植物から攻撃を受けているのではないかと思われます。

 春先、大量に飛散する花粉は、花粉症の人のみならず様々な負担をかけているかと思われます。血液中に取り込まれ循環器系、腎臓や肝臓の機能に影響を与えているかもしれません。春は体内の水が滞りがちになるように思えます。植物は草食動物や人間に対して、「しっかり葉を茂らせるまで眠っていなさい。」といった成分を発散して、眠気(ねむけ)を誘い動物たちの食欲を減退させているのかもしれません。秋になると果実は、甘い香りを発散して鳥や動物の食欲を誘っています。自然界の戦いの中で動物も植物も進化し変化に対応しています。春の"ねむけ"は植物によってもたらされているように思えます。