広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

車内放送広告復活

2014-08-26 23:38:46 | 津軽のいろいろ
7月末の弘前訪問では、久々に弘南バスの一般路線バスを何度か利用した。
秋田の某社と比べると案内や接客への配慮が感じられ、今回も気持ち良く乗車できた。(もう一息の点もなくはないのですが。いずれまた)
個人的には、秋田の某社を本格的に利用するようになったのは、秋田市営バス移管前後のここ10年ちょっと。弘南バスは、乗車回数は多くないものの20年近く利用しているのだから、なじんでしまったのも原因かもしれない。


さて、今回弘南バスに乗って、大きな変化を1つ感じた。
車内放送広告が復活・激増していたことだ。

秋田の事情を中心に以前記事にしたことがあったが、バス停名を告げる放送に続いて、「○○はこちらです」といったもの。
10年以上前は、秋田市でも弘南バスでも広告放送は多く流れていて、日常的にバスを利用する人には耳になじんだフレーズがあったものだ。
その後、秋田市も弘南バスも広告が大きく減少し、弘南バスではおそらくまったく流れなくなっていたはず。全国各地(秋田、静岡、三重で聞いた)で流れていた「ひとりで悩んでいませんか。わたしたち連合がお手伝い。行こうよ連合に」すら聞いたことがなかった。

秋田市については、市営バスから中央交通への路線移管が重なる時期で、それも一因かもしれない。(だとすれば、中央交通は広告収入を得るチャンスを捨てていることになるのだが…)
経済情勢の悪化やバス利用者の低迷・路線縮小など、車内放送に広告媒体としての魅力がなくなったことも原因かもしれない。
さらに、中央交通でも弘南バスでも、車内放送の方式が、磁気テープから音声合成に変更された頃でもある。テープと違って音声合成は技術的な制約(例えば音声データを圧縮してメモリーに保存するとか?)があり、広告を入れづらいのかな? などとも考えていた。

現在の弘南バスでは、知る限り過去にないほど、車内放送広告が増えていた。
ということは、少なくとも音声合成の技術がネックだったのではないだろう。


小栗山線や学園町線などのルートである、弘前駅前から富田大通り経由で三中校前までの広告を見て(聞いて)みる。
昔は、バスターミナル前と住吉入口ぐらいでしか広告が入っていなかったはず。
バスターミナル前では「皮膚科美容形成外科はらクリニック」、住吉入口では「不動産のエキスパートよつば不動産」がスポンサーで、当時は自社録音だったらしく津軽訛りの広告文句にインパクトがあった。

音声合成化後は、ちゃんとした(以前がちゃんとしてなかったわけではないですが)ナレーターに交代しているが、広告も同じ声だった。(バス会社によっては、広告部分だけ違うナレーターだったり、自社で収録する所もあるようだ)
今回、広告がなかったのは、住吉入口と弘大農学生命科学部前、それに弘前駅前(上り終点)だけ。他の停留所では広告が入り、1か所につき複数のスポンサーが付くものもあった。
※聞こえた部分についてはかなり正確に聴き取ったつもりです。
※放送内容の記録・紹介が目的です。各スポンサーとは何ら関係はありません。

まず各バス停の放送の構成。
♪ピンポーン(秋田市営バス→中央交通のように、運賃が変わる告知やチャイム音による区別はなし)
次は(バス停名)、(バス停名)です。
[ここに広告]
[一部バス停]携帯電話使用マナーや回数券発売などの啓発・宣伝のフレーズ
お降りのお客様は降車ボタンにてお知らせください。
[一部バス停]「(バス停周辺の公共施設)にご用の方は、こちらが便利でございます。
放送の最後ではない部分に広告が入るのが、少々珍しいかもしれない。

では、各停留所の広告部分。
弘前バスターミナル前
「髪と頭皮のお医者さん。美容室ロイヤルオーダー。電話弘前38の6565。さんぱちむごむご。」
「理系志望の弘高生諸君。難関大目指すなら数理専門、学導ゼミに集まれ。学問を導く『学導ゼミ』で検索。」

上代官町(下りのみ)
「時計、貴金属、眼鏡、補聴器の専門店、金、プラチナ買い取りの『てん・てん・てん』の天賞堂。」

中央通り一丁目(上りのみ)
「東北女子短期大学、東北栄養コンピュータ専門学校最寄り停留所はこちらです。」
「[聞き取れず]~渡さない。防犯協会からのお願いです。」

住吉入口

富田三丁目
「金、プラチナ高価買い取り。大型家電の出張査定も承ります。あなたのお宝買います。萬屋弘前店。」

弘前大学前
「処方箋のご用命は、スーパードラッグアサヒ調剤薬局富田店まで。」
「ながら歩きは危険です。隙を見せない意識を持ちましょう。警察からのお知らせです。」

弘大農学生命科学部前

三中校前
「東北女子大学、柴田女子高等学校、柴田幼稚園最寄りの停留所はこちらです。」
「三中校旧正門向かい徒歩1分。よしだ耳鼻科・小児科はこちらです。」

広告の言い回しはバス会社ごとで違うものだが、その性格上、「~はこちらです」とか「~前でございます」とか、広告主がそのバス停の近くであることを印象づける言い回しが多いと思う。
弘南バスでも「~はこちらです」があるが、「さんぱちむごむご」「で検索」「天賞堂」とか、名詞で終わる広告も多い。これだと、その店がどこにあるのか分かりづらい。
実際には、富田三丁目の「萬屋弘前店」だけは遠く(奥羽本線を越えた大清水)にあり、他は各バス停の近くのよう。

中央通り一丁目と三中校前で流れる、学校最寄りの広告は、すべて同じ学校法人の経営。中央通り一丁目では「最寄り停留所は」、三中校前は「最寄りの停留所は」と、「の」の有無が異なる。
聞き取れなかった中央通り一丁目の防犯協会は、特殊詐欺(振り込め詐欺等)の防止だろうか。弘前大学前の警察のお知らせは、青森県警が弘大と連携して大学周辺での犯罪被害防止活動をしているので、その一環か。


他路線の状況も少々。
土手町循環100円バスでも、広告が入るようになった。
一般路線と同じバス停では同じ広告が入るようで、実質的終点の弘前バスターミナルでは、弘前バスターミナル“前”と同じ美容室と学習塾。

中央通り二丁目では、「近江整形外科前」に続いて、中央通り一丁目と同じ東北女子短期大学、東北栄養コンピュータ専門学校が流れた。
土手町循環バスは、観光客の利用も多いから、一般路線と同じ広告にしてしまうのはどんなもんだろうか。


個人的にインパクトが強い広告が3つ。
まず、美容室の電話番号の語呂合わせ「さんぱちむごむご」。その通りだけど、美容室っぽくない語呂合わせ。「むごむご」が頭から離れない。

次が、学習塾の「理系志望の弘高生諸君」。弘高生=県立弘前高校生。かなりターゲットを限定した広告だ。放送される路線でどれほど対象者がいるだろうか。富田大通り経由なら弘大生や実業高生、聖愛高生は多いけれど。まして土手町循環バスなんて…
弘高前を通る桜ヶ丘線などと共通で流れているのだろうけど。(でも桜ヶ丘線は下りはターミナルが始発なので、広告は上りでしか流れないはず)
テレビや紙など文字の広告では普及している「~で検索」が、バスの放送広告で流れるのは珍しいが、分かりやすい。

そして、「てん・てん・てん」。銀座にある同名店とは別の、弘前のお店。
数年前(2008年秋には既にあった)から弘南バスに車体広告を出していた。
2枠分を使っている
キャラクターは「てんちゃん」。現在は「耳が大きくなった」バージョンがある。
車体広告では「てん・てん・てん」表記だが、バス以外の媒体では「てんてんてん」と中黒なしで表示される場合がある。
乗り合わせた小さな男の子が、放送を聞いて「テンテンテン!」と喜んでいた。


かつてのバスターミナル前で流れていた「はらクリニック」の広告はなくなったが、城東環状100円バスの弘前駅城東口で広告が流れていた。
皮膚科よりも、脱毛とか美容形成のほうに重点を置いた、かつて秋田市営バスの木内前で流れていたものに近い内容か。
一般路線の最寄り停留所で流すよりも、若い人の利用が多い城東地区のほうが広告効果が高いと判断したのだろうか。(放送回数としては城東のほうが少ないかな)
弘前大学前(上り)の電照式バス停
弘前大学前のバス停では、同じ眼科の広告が2コマ。「はらクリニック」の広告が裏返されているけれど、広告期間が終了したってこと?
ストリートビューより車道側から同じバス停
しかも車道向き(あまり広告効果がなさそう)には別の眼科の広告。※秋田市営バスの車体の広告でも同じようなケースがあった。
※弘大前上りの電照式は、後に撤去・交換された


気になるのが、広告料金。
弘南バスや秋田のものは不明だが、基本的にバス停ごとの便数、すなわち放送回数で決まるようだ。(録音費等は別途)

福岡の西鉄バスでは、安いもので1日25回以内・片道のみ放送で年間8万円、最高額は1日1401~1500回・上下とも放送で年間315万円。
ちなみに、秋田市の平日の運行本数は、通町(片道)約150本、買物広場→駅(一方通行のため片道だが、上下便とも通る路線あり)約700本。西鉄の料金体系では、それぞれ21万円、84万円に相当する。(秋田だともっと安そう)

広告を出す側が値段と広告効果をどう判断するか次第だが、バス会社にとってはいい収入。
おそらく弘南バスの営業部門(系列の代理店)ががんばって広告主を探した成果だろう。広告費の値下げなどもやったかもしれない。
中央交通さんも弘南バスの積極性を見習ってはいかがですか?【27日補足】中央交通でも広告はあるにはある。だけど特定の業者(例えばラッピングにおける秋田プライウッドやNTTドコモ)に偏っていたり、市営バス時代は常連だった複数の業者(沿線のお店など)がぱたりと止めてしまったりしている。そんな点から、裾野を広げたり、継続して出してもらえるような努力が必要ではないだろうか。

弘南バスについては、後日また
※車内放送広告は、2016年末には若干の変化が出ていた(リンク先後半)。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする