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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

洪水地図/高い三角点

2012-06-19 23:58:38 | 秋田の地理
先週、秋田市の広報紙に折り込まれて、新聞紙大の大きな地図が配られた。※市内全地域で配布されたものではないと思われます
こんなの
僕は最初見た時、「ハザードマップ」というタイトルの一部だけを見て、川が氾濫した時に浸水する地域を予想したものだと思った。
たしかに、市内の一部には色が塗られているし、避難場所なども掲載されている。

でも、よく考えてみれば、色が塗られたエリアがずいぶん少ない。
それなりに川があって平坦な秋田市なら、もうちょっと広範囲で浸水してもよさそう。

そういえば、新屋地区の電柱に、雄物川が氾濫した場合の「想定浸水深」が表示されていた(この記事下のほう)。
その部分はこの地図ではどうなっているだろう?
雄物川の下が新屋地区
新屋には、まったく色が塗られていない。

それから、地図は裏表になっているが、土崎地区など秋田市北部は出ていない。
おかしい!



改めてタイトルや説明を見て納得。
「秋田市災害ハザードマップ(旭川洪水避難地図)」
旭川の洪水に限定したハザードマップだったのだ!
この地図は、旭川流域で100年に1度程度の大雨(24時間総雨量が195mm)によって堤防が決壊した場合を想定しているという。
旭川にはキャパシティがあるのか、浸水する地点は思いのほか少ない。流域よりも山王、川元、卸町近辺で広域な浸水が想定されているのも意外。



秋田市総務部防災安全対策課のホームページ(http://www.city.akita.akita.jp/city/gn/ds/h_map/default.htm)を見ると、旭川以外の河川のハザードマップも既に作成されていた。
2006年には雄物川・旭川・太平川・草生津川の4つの浸水想定区域を重ねて示したハザードマップ、以降年ごとに新城川、猿田川など河川単独のハザードマップを作成していた。(いずれもホームページに掲載)

4河川のハザードマップは我が家にも保存してあったので、以前配布されたらしい。「秋田市災害ハザードマップ(洪水避難地図)」というタイトルで、河川名は入っていない。
こちらはいろいろ塗られていて、新屋の電柱に表示があった部分もぴったり一致


まとめたハザードマップも、各河川単独のハザードマップも、それぞれ必要なのだろう。無駄なものだとは思わない。
年ごとに少しずつ作成するのも、人員や予算などの理由があるのだろう。

でも、4河川と河川単独の地図が、数年空けて配布され、タイトルも紛らわしくて誤解されそう。
我が家の老人は、今回配布された旭川の地図が、以前配布された2006年の4河川版の改訂版だと思い込んでしまい、危うく4河川版を捨てるところだった。
冒頭の通り、僕も一瞬見た段階では、誤解した。

もう少し誤解させない努力が必要ではないだろうか。例えば、
・どの河川が対象の地図なのか、タイトル等で明確にする
・地図の掲載範囲を工夫する
上記の通り、旭川のハザードマップにも新屋地区の地図が掲載されている。
しかし、旭川と新屋の間には、大きな雄物川がある。旭川が氾濫しても雄物川を越えて水が新屋にやって来ることなど、あり得ないのではないだろうか。(同時に雄物川も氾濫すれば話は別だが、この地図はあくまでも「旭川の氾濫に限定した」地図なのだから)
だったら、新屋地区を地図から外すとか、塗りつぶすとかしたほうがいいと思う。
・バラバラでなく冊子でまとめて配布する
我が家ではそのほうが保存しやすい。張っておけとは言うけれど、場所もないし劣化するし。
津波の地図なども合わせて掲載し、これ一冊で防災対策がすべて分かるようなものがあってもいいかもしれない。

【8月6日追記】8月3日付秋田魁新報秋田市面に、このマップの記事が出た。
「流域約2万1千戸に配布した」「旭川について浸水区域が雄物川や太平川と重なって見づらかったことなどから、単独のマップを作ることにした。」とのこと。
【2014年3月28日追記】2014年3月には、津波のハザードマップがほぼ同じ形式で作られた。各世帯へは、クリアファイルに入れて届けられ、他のハザードマップもいっしょに収納できるようになった。
【2023年7月22日追記】その後、いつの間にか、秋田市サイトにスクロールできるハザードマップがアップされていた(https://www.city.akita.lg.jp/bosai-kinkyu/index.html)。水害ハザードマップでは、複数の河川を選択したり重ねたりして表示でき、かなり使いやすく分かりやすくなった。



ところで、このハザードマップの地図そのものは、国土地理院発行の2万5千分の1地形図を元にしている。
この地図、古いんだか新しんだかよく分からない。
築山小横~愛宕下橋、茨島・大住アンパスといった、2010年に開通した新しい道路は掲載されている。(国土地理院のオンラインサービス「ウォッちず」では未開通になっている)
一方、
秋田市役所周辺(山王中辺りは膝くらいまで浸水するようだ)
2008年に秋田駅東口に移転していった、NHK秋田放送局が、まだ市役所東隣に存在している!
「ウォッちず」でも、名称は出ていないがそれらしき建物がまだ残っている。※現地の現状は市役所の駐車場で、間もなく新庁舎が建てられることになっている


さて、上の地形図において、秋田市役所の裏(北西)に三角点がある。
ウォッちずより
その標高は29.1メートル。

このほか、秋田市中心部では、秋田駅南西の中通四丁目の秋田市民市場の向かいにも存在する。
こちらは46.9メートル
※ハザードマップでは、それぞれ29.0メートル、46.8メートルと1メートル低くなっている。基準の高さが変わったのだろうか。

この2つの三角点、高すぎる気がしません?
だって、千秋公園のいちばん高い地点の標高はおよそ40メートル。そこより市民市場前が高いはずはない。
実際、任意の地点の標高が分かる地図サイト「Mapion」で調べる(右クリックすると表示される)と、市役所裏は5メートル、中通は7メートル。
どういうこと?

答えは「三角点が地面より高い所にあるから」。
三角点といえば、その土地の地面(地表)にあって、そこの標高を示すと思い込んでいた。
ところが、三角点は建物の上(屋上)に設置されることもあるそうで、この2つの三角点もそのようだ。

つまり、ビルの屋上の標高を示していることになる。
市役所の裏といえば、秋田市消防本部や秋田消防署などが入る、1985年築5階建ての秋田市役所の消防庁舎。(ちなみにハザードマップを担当する、防災安全対策課もこの庁舎に入っている)
秋田市消防庁舎(右のグレーの建物)
1フロア4メートルとして計算すれば、もともとの標高5メートルと合わせると屋上(5階の上)で25メートルくらい。その上にさらに塔屋があるから、その辺にあるのだろう。
ちなみに、消防庁舎には地震計(震度計)も設置されている。※気象庁とは別に旧自治省消防庁が設置したものか?

市民市場の向かいといえば、NTTのビル(NTT東日本-秋田本社なのかな)。
向こう側の建物
6階建てに見えるが、ややかさ上げされている感じだし、屋上に突出した部分もある。それでも47メートルもなさそう。屋上に大きなアンテナがあるので、そこに三角点があるのかもしれない。

国土地理院の「基準点成果等閲覧サービス」を使うと、各三角点などのデータが分かる。
 
消防庁舎は、二等三角点(8キロ間隔で全国に5000箇所)でズバリ「秋田」という名称。
NTTのほうは、四等三角点(2キロ間隔6万9千箇所)で名称は「電々公社」と昔の名前。(一般には電“電”公社と表記したようだが、“々”にされている)
ちなみに、大森山頂上の展望台にある一等三角点は、なぜか「赤山」という名前。

どちらのビルもできる前は、三角点が地上にでもあったのだろか。
それから、三角点には重そうな標石が設置されるが、ビルの上にも同じ物があるのだろうか。ちょっと見てみたい。
【20日追記】三角点は重い石とは限らず、金属製の鋲みたいなものが埋め込まれる場合もあり、屋上の三角点にはそちらを設置することも多いようだ。

※その後、2022年までに電々公社の三角点が廃止され、鉄塔も撤去された
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