
『地震のあとで』
岡田将生が
釧路に着き
車の後部座席に乗って
唐田えりかがいきなりドアを荒っぽくガシーンと閉めるんが
とてもヨイのです
北海道の寒そうなラブホテルに
ケイコ(北香那)とシマオ(唐田えりか)に誘われて泊まり
お風呂から出ると唐田えりかと二人っきりにされて
唐田えりかも「私もお風呂に入っていいですか?」と風呂に行く唐田えりか
この色々な謎めいた とらえどころのない 嬉しい段取りはドキドキする
唐田えりかの
うまいんだか下手なのかあのよくわからない味のある演技力が
功を奏します
村上春樹世界っぽい

唐田えりか×村上春樹をつないだ
「この役は唐田ちゃんにしかできない」の言葉
Netflixドラマ『極悪女王』(2024年)に10キロ増量&丸刈りの体当たりでのぞみ、そのストイックさや熱演ぶりが絶賛された唐田えりか。次なる挑戦はムラカミワールド――阪神・淡路大震災の後、作家・村上春樹が著した短編を原作に据え、震災から30年を迎える2025年の節目に連続ドラマ化した土曜ドラマ『地震のあとで』(NHK)だ。
脚本を手掛けるのは『ドライブ・マイ・カー』(2021年)の大江崇允、演出は『あまちゃん』(2013年度上半期)、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)などの井上剛。
原作の舞台である1995年から2025年の”今“に続く30年の時間と「地震のあと」を描く全4編。
その中でも、最も“ムラカミワールド”らしいキャラクターの1人が、岡田将生主演の第1話『UFOが釧路に降りる』で唐田えりかが演じるシマオという女性だ。
実は唐田はかつて「一番好きな小説は『ノルウェーの森』」とインタビューで語っていたこともある村上春樹ファン。ある意味運命的な出会いとなった本作で、何を思い、何を表現したのか。唐田えりかにインタビューした。
――唐田さんはもともと村上春樹作品ファンだったそうですね。オファーを受けたときにどんなことを思いましたか。
唐田えりか(以下 唐田) もともと大好きな作家である村上春樹さんの世界観に入れるということは率直に嬉しかったですし、この作品の制作統括の山本晃久さんとは映画『寝ても覚めても』(2018年)からのご縁で、今回久しぶりにご一緒できたのも嬉しかったです。実は山本さんも村上春樹さんが好きなんですよ。
――唐田さんが村上さんのファンと知ってのオファーだったのですか。
唐田 いいえ。以前ご一緒したときには、山本さんの熱量がすごいことと、私があまり喋るタイプじゃないことから、山本さんには勝てないと思い、村上春樹さんの話はしていないんです(笑)。それもあって、オファーをいただいたときは驚きました。山本さんや監督の井上剛さんには「この役は唐田ちゃんにしかできないと思ってお願いしたんです」とおっしゃっていただいたのが、すごくありがたくて。それで、自分の感覚でやっていったら良いことが起こるかなと考え、プレッシャーを感じずに挑むことができました。
――原作のイメージにぴったりでした。原作はもともと読まれていたのですか。
唐田 お話をいただいてから原作を読み、脚本も読んだ形です。原作がそのまま脚本に落とし込まれているなと感じました。なかでも私が演じるシマオという女性は、村上春樹さんの作品でも特にムラカミワールドだなと感じるキャラクターで。シマオは、岡田将生さん演じる小村という人物を不可解な言葉で誘っていきますが、シマオ自身がたぶん小村と同じような経験をしていて、小村がどう考え、どんな動きをするのかわかっていると感じたんですね。この作品に登場する人物はどこかみんな不安定なイメージですが、シマオだけは不安定じゃない強さを感じました。
――シマオは小村が釧路で出会う不思議な雰囲気の女性として登場します。ふんわりやわらかな雰囲気なのに、車のドアの締め方が荒々しかったりするところに、読めなさや、つかみどころのなさを感じました。
唐田 あのシーンは、単に私の力が強いからです(笑)。リハーサルでバンっと締めたら、岡田さんがびっくりしていらっしゃって。それで、本番でちょっと力を抑えて閉めたら、「さっきのほうが良かったからそのままやってください」と言われたんですよ(笑)。
――演出ではなく、偶然生まれたつかみどころのなさだったんですね(笑)。淡々と静かに見えて、どこか荒々しさや激しさを感じさせるのが、まさにムラカミワールドだと思いました。
唐田 それは良かったです(笑)。
――岡田さんがどんどん翻弄され、混沌とした渦に巻き込まれていきますが、2人のシーンでどんなことを意識しましたか。
唐田 実はあまり意識していなくて。とにかく岡田さんを観察するように芝居をしていました。監督の井上さんには途中途中で「そこまで温度感を出さなくていいです」みたいなことは言われましたが。
――お2人のイメージの共有はどのようにされたのですか。
唐田 今回はすごくディスカッションの多い現場だったんですね。特に終盤のラブホテルのシーンでは、現場に行くまで動きが全く決まっていなかったので、現場で監督や制作統括や岡田さんと相談し、いろんな動きを試しながら挑みました。岡田さんとは感じ方が似ている部分があるので、やりやすかったですし、岡田さんが委ねてくださる部分も多かったです。
――会見では、岡田さんとご自身の芝居が似ているとおっしゃっていましたが、それはどんなところに感じることだったのでしょう。
唐田 岡田さんは『ドライブ・マイ・カー』で濱口竜介監督とご一緒していて、私は『寝ても覚めても』で濱口さんとご一緒したのが芝居の原点だったんです。同じ現場を経験したわけじゃないですが、お互いにとってたぶん濱口さんという存在がすごく大きなものとして残っている気がしました。私の勝手な想像ですが、濱口組を経験した人はどこか同じ感覚を持ってしまうんじゃないかと思ったんです。
――濱口組での経験は唐田さんにとってどういうものでしたか。
唐田 私は濱口さんにお芝居の根本を教わったんですね。それで、たぶん岡田さんの中にも濱口監督の存在があって、でも、その上で今回は超えていかなきゃいけないという使命も感じていました。岡田さんとはプライベートではお会いしたことがあったんですけど、お芝居で対峙するのは初めてだったので、2人とも濱口組をどう超えていくか、いかに濱口組のメソッドをなぞらずにいくかみたいなことは意識していた気がします。
――村上春樹さんの本をたくさん読んできた経験がお芝居に生かされたところもありましたか。
唐田 そうですね。私はお芝居をするとき、いただいた役についてのノートを作るんです。この作品も1年前ぐらいに撮影したので、当時のノートを見返してみたんですが、演じる上で気をつけることとして「無駄な動きをしない」と書いてあって。村上春樹さんの他のいろんな作品も含め、静けさの中にある恐怖みたいなものを感じるキャラクターが多いので、それを意識していた気がしますね。
――無駄な動きをしないというのはどういう狙いだったのでしょう。
唐田 原作と脚本を読んだとき、シマオは体全体も、黒目もあまり動いていなくて、岡田さんをただ傍観している人という印象を持ったんですね。
――原作にも台本にもシマオの人物像は具体的に書かれていませんが、どんなふうに想像してふくらませていくのでしょう。
唐田 まず原作を読んで、好きだなと思う文章などを全部ノートに書き写して、この文章は何ページのどこにあったみたいなことを細かくメモするんですね。それをまとめた上で、自分の想像とその人物に対して抱いた感想を結びつけて、イメージを完成させる感じです。これは私がお芝居する上で、演じる役への不安をなくしていく作業としていつもやっていることで、『寝ても覚めても』のときに感じた芝居の感覚とかを忘れちゃいけないと思ったときから、ずっと続けています。
――奇しくも唐田さんの原点となった『寝ても覚めても』も、震災後の日常を描く作品でしたよね。今回再び震災後の日常の物語を演じる上でどんな思いがありましたか。
唐田 私にとって震災は、千葉に住んでいたときの3.11の体験くらいで、ニュースなどを見てもどこか遠いものと思ってしまっていました。でも、自分自身が経験していないことを、作品を通して経験したことで、それが今では「いつ起こるかわからないもの」という認識に変わっていて、「日常」に対する考え方も変わった気がします。昔は家族みんなで仲良く幸せにまったりゆっくり暮らしているのが「日常」でした。でも、何が起こるかわからないのが「日常」で、地震や自然災害はいつもそばにある、日常に潜んでいるものであって、起こったときにどうするべきなのかを常に考えるようになりました。
――そうした経験を踏まえて、今回新たに挑戦してみたこともありますか。
唐田 山本さんと久しぶりにご一緒することになって、「唐田ちゃんにもこの作品をきっかけに、もう一歩変わるきっかけや刺激になるものを持って帰ってほしいから、今回は感覚じゃない部分でもトライしてみてほしいし、違うアプローチを知ってほしい」みたいなことを言われたんです。それで、みんなでディスカッションしながら作り上げたシーンがいっぱいあるんですね。結果、これまで自分がいかに感覚的にお芝居をやってきたかを思い知らされました。
――新たなアプローチを身に着けた感じでしょうか。
唐田 いろんなトライによって、考えてお芝居をするということがいかに自分に向いていないかがわかりました(苦笑)。でも、岡田さんとの芝居はすごく刺激的で楽しかったですし、難しいからこそのお芝居の楽しさ、わからないからこその楽しさを味わわせてくれた豊かな現場で、豊かな経験になりました。
岡田将生、2度目の村上春樹作品も苦労、
「まだすべてを理解できていない状況」。
4月5日スタートNHK
『地震のあとで』
村上春樹原作のドラマ『地震のあとで』(NHK総合、毎週土曜午後10時〜、全4話)が4月5日、スタートする。
1995年に起きた阪神・淡路大震災後に村上が発表した4つの短編を、震災から30年を迎える今年、ドラマ化。
岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が各話の主人公を務める。
時代設定を、1995年だけでなく2025年に至るまでに変更。地震だけなく地下鉄サリン事件やコロナ禍など人間社会を襲った圧倒的な暴力と、被災地から遠く離れた場所で震災の影響を受けた人たちの4つの物語を通し、地震の後から現在に至る30年を描くという。
阪神・淡路大震災から30年 第1話は、「UFOが釧路に降りる」。
舞台は1995年の東京。オーディオ機器専門店の営業、小村(岡田)が主人公。阪神・淡路大震災のニュースを見続けた小村の妻(橋本愛)が、突然家を出て行ってしまう。 小村は、職場の後輩に頼まれて中身のわからない箱を届けに釧路に行くことに。ケイコ(北香那)とシマオ(唐田えりか)という2人の女性に出会い、奇妙な旅にいざなわれる。
人生とは何か、人とは何か 3月13日に行われた完成試写会には、1話に登場する岡田、橋本、唐田が出席した。
岡田は、村上作品への出演は映画『ドライブ・マイ・カー』に続き、2作目。 撮影は去年だったが、「まだすべてを理解できていない状況。未だに自分の頭の中をぐるぐる回っている感じがしまして、答えが出ないまま皆様に提示するのがいいのかどうかという迷いもありました。前回、村上さんの作品をやらせていただいたときもそうだったんですが、答えがない。人生とは何か、人とは何かということをずっと自分に問いかける作品になっていると思いますし、そういう風に見ていただけたら嬉しいです。小村の内部にある痛みというものが、どこで出てくるかっていうのが多分このドラマの見どころだと思う」と話した。
阪神・淡路大震災の翌年に熊本県で生まれた橋本は「自分の生活感覚や人生感覚そのものが、揺らいだ後に形成されたものだなとすごく実感しました。日々生きているこの景色も世界も諸行無常で、常に移り変わりのあるものだなっていう感覚は物心ついたときからある。地震の後の余波の上に、私たちの命や人生があるということに改めて気づかされました」と語った。
不思議な雰囲気の女性・シマオを演じた唐田は「この作品を全部理解できたかといえば、そうはっきり言えない。この難しさ、わからなさ、不安定なもののなかで演じる、だからこそのおもしろさを今回感じることができました」とコメントした。
脚本は、映画『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允。演出は、ドラマ『その街のこども』『あまちゃん』でも震災を描いてきた井上剛。










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