じょいフルデイズ

おいしいとか、いい匂いとか、手作りとか、覚悟とか

何かいいことあるんですか

2006-07-20 21:25:10 | お仕事ですよっ
今月まわって来ているローテーターの女の子は
やる気があってノリもいい。
朝、一緒に回診をして、
私なんかよりうんと丁寧にカルテを書いてくれます。
外来の見学もまじめだし、
ちょっと気になったことはどんどん聞いてくるので
こっちも教え甲斐があるってものです。
こういう子は他の科でも
どんどん吸収して力をつけていくのでしょう。


午前の外来がようやく終了。
「おつかれさまでした!
 先生、お腹空きましたねっ」
こういう素直なところもまたいいねぇ。
さ、お昼食べに行こうか。
「いやー、今日は外来多かったですねー、
 ところで先生、今日みたいな日は
 午後は何してるんですかっ?」
おっと、遊んでると思われちゃ心外だ。
ちゃんと教えてあげよう。
じょいフル先生は勉強してるんだよ、勉強。
専門医の試験がもう今月末だからね。
「大変ですねー、
 その専門医ってのになったら、
 何かいいことあるんですかーっ?」
え…
そりゃ専門医になったら……

別に何も…

ない。


専門医にしか出来ないって
決められてることもないし、
給料があがるわけでもないしねぇ。
専門医になったからっていいことは
別に何もないかもね。
万一今の病院をクビになっても、
専門医ですって言ったら
他で雇ってもらえるくらいかな。

「じゃーどうしてそんな試験
 受けるんですかーっ?」
うーん、それはだねぇ。
こらこら、オトナを困らせるんじゃない。
もっと医療のことを聞きなさい。
明日のオペのこととか、
今一緒にみてる患者さんんのこととか。


でも素直でやる気もある子だから
教えてあげようかな。
ねぇねぇ、彼氏はロマンチスト?
ひょっとして将来、
カツオ漁師になりたいとか言ってない?
専門医になれたらね、
医者としては何の箔もつかないけどね、
あちこちの漁村の医院で
働けるようになるからね。

彼氏を日本一の漁師にしたかったら、
専門医、とっておいて損は
ないと思うけどなぁ。