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2015.9.24 17:20
更新
【翁長知事会見詳報(1)】
「多額の振興費をもらっている誤解がある」
沖縄県の翁長雄志知事は24日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、スイスの国連人権理事会での演説や、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題をめぐる見解を表明した。詳報は以下の通り。
【政府との集中協議】
「前回5月20日に(特派員協会で)話をさせていただいた以降、一番大きかった出来事は、8月10日から9月10日まで約1カ月間、(辺野古移設の)工事を止めて話し合いをしたことだ。4、5回の協議で私はいろんな問題をいろいろ角度から話をさせてもらったが、向こうからほとんどそれに対する返答はなかった。菅(義偉)官房長官は(集中協議前の)4月に会ってから一番、沖縄の歴史や私の思いを話した方だが、集中協議の終わりに『私の話は通じませんか』というような話をしたら、(菅氏は)『戦後生まれなので、沖縄の置かれてきた歴史についてはなかなか分かりませんが、日米合意で辺野古が唯一(の解決策)だと。辺野古に普天間飛行場を移すことがすべてだ』と話したので、私自身は『お互いの70年間を別々で生きてきたような気がする』といった話をさせていただいた」
【移設問題の原点】
「普天間飛行場は戦後米軍が、私たちが収容所に入っている間、あるいは『銃剣とブルドーザー』でどかして、土地を強制接収した。私たちが『どうぞ』と差し上げた土地はひとつもない。なので今回、新辺野古基地は初めて、沖縄県側が了解したということになっているが、(仲井真弘多)前知事も4年前の選挙では県外移設で当選した。その後、ある意味では県民との約束を破って、埋め立て承認をした。たが、昨年、名護市長選や衆院選の沖縄の全選挙区、沖縄県知事選で『辺野古に基地は作らせない』と民意が出たのだから、原点は沖縄の強制接収にある」
「それからもう一つは16、17年前に当時の知事などが辺野古移設を了解をしたのは条件付きだった。辺野古には作っても、15年後には返してくださいと。返還後は沖縄振興が形にできるなら、基地負担も受けましょうということだったし、(当時の)橋本(龍太郎)内閣は閣議で知事などが言うことは尊重するとして閣議決定した。だがその7年後、平成18年に小泉(純一郎)首相がそのときの閣議決定を打ち消した。条件付きだったのを全部ほごにした。だから、辺野古移設が原点だというのはおかしいということを菅さんには話をした」
【在日米軍の抑止力】
「中谷(元)防衛相とは抑止力について議論した。中谷氏は中国が大変脅威で、沖縄での自衛隊のスクランブルも2倍、3倍と回数が多くなっているので、ぜひとも沖縄にミサイルを配置したいし、自衛隊も改めて数百名程度配置をしたいと話した。それが抑止力につながると。それに対し、私は今、中国が脅威だといっても、東西冷戦と比べてどれだけ脅威なのか何も説明がない。安保関連法の中では中東のホルムズ海峡での(機雷掃海まで)沖縄の基地を使って抑止力としてやる。あるいは南沙諸島への中国進出でも沖縄の基地が抑止力の役割を果たすというが、なぜ沖縄だけが守らないといけないのか。日本の安全保障は日本国民全体で守るべきではないかと話をしたが取り合わない。沖縄にミサイルが飛んできたらどうするんだと聞いたら、中谷氏は沖縄にこれからミサイルを配備するので、ミサイルがきたらミサイルを打ち落とすという。私はそれを聞いたとき、沖縄県を領土としてしか考えていないなと。140万の人間が住んでいるということ、70年前に日本軍と一緒になって戦い、10万人以上が亡くなった。そういったことを全く今日まで反省がないような形だった」
【日米関係と沖縄】
「過去何回も、歴代の知事含め県議とか、米ワシントンに行ったが、米政府高官は必ずこう言う。話を聞いてもらった後、『これは日本国内の問題だから日本政府に話をしなさい』と。私たちは帰国し、その時々の外相や防衛相に、『米国は日本政府にと言ってます。だからお願いします』と話しても私たちはたらい回しにされてきた。本当に日本が独立国家なのか、沖縄県が米軍基地を預かって、日米地位協定の親密さの中で、日本のあり方がよく見える」
「そして、総理とたくさんの話をしたが、最後の方で、世界一危険だといわれる普天間飛行場は、辺野古移設ができなければ固定化すると。『本当に世界一危険な基地を固定化するつもりなのか』と聞いたら、何も返事がなかった。大変おかしなことだ」
【沖縄振興】
「沖縄は基地を預かっているから、多額の振興費をもらっているという誤解がある。いつも年末に沖縄県の振興予算3000億円確保と報道される。本土の人は47都道府県全て等しく予算をもらった上で、沖縄県が3000億円をもらっているという誤解だ。それは全く違う。沖縄県は27年間、日本人でもない、米国人でもない、日本国憲法の適用もない、当然合衆国の憲法の適用もない。治外法権の中で生きてきた。だから44年前に本土復帰をした時、国会議員も一度も出したことがなく、予算の取り方もわからない。だから県と政府の間に沖縄開発庁が入り、今は内閣府の沖縄担当が入って私たちの気持ちを聞いて、財務省に話をしてまとめて予算を取ってくる。他の46都道府県はそれぞれで政府に要望を出して予算を取ってくるから発表される予算はない。沖縄県の地方交付税は全国で16位、国庫支出金あわせて6位で特段、その突出していない。でも、なぜ上位なのかといえば、沖縄県は戦後、道路も保育園もほとんどない。そういったものを本土並みに是正をするために補助とかいろいろ出てきた。『沖縄さん、まあ基地を置いて、振興策をもらったらいいですよ。うらやましいですね』などといろんな方々が言うが、そういったものに反論するのは簡単ではない」