参院選の一日前の沖縄タイムス朝刊は「集団自決」関連の大きな見出しが躍っていた。
記事は1面と29面を使って大阪地裁で係争中の「沖縄集団自決冤罪訴訟」の大きな山場の一つ証人喚問の傍聴記を派手に報じていた。
特に座間味島の「集団自決」生き残り故宮城初枝さんの娘で女性史研究家の宮城晴美氏の証言が注目を集めていた。
宮城氏は『母の遺したもの』の著者としても知られる「平和運動家」で地元では数々の講演等でも知られる有名人でもある。
沖縄タイムス 2007年7月28日(土)朝刊の1面と26面 は県内サヨク学者安仁屋沖縄国際大学教授、高嶋琉球大学教授を使っての膨大な量のキャンペーン記事だった。
「命令主体は戦隊長」/裁判の核心著作 宮城さん証言 「集団自決」訴訟/助役妹証言「決定的」
(略)座間味島の「集団自決」について記した「母の遺したもの」の著者で、女性史研究家の宮城晴美氏(57)が被告側の証人として出廷。宮城氏は「住民の『集団自決』は軍の命令や指示によるもので、その最高責任者は部隊の指揮官。戦隊長命令がいつどこで具体的に出されたかは分からないが、命令の主体は戦隊長」と証言した。 (略)
勿論「集団自決」では沖縄タイムスとタッグを組む、琉球新報も負けてはいなかった。
「集団自決」直前に軍命 岩波訴訟・大阪地裁 (琉球新報7/28 10:00)
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で、その翌日29日の参院選投票日。
勝負はあっけなく、しかも大差で極左候補が圧勝した。
糸数・西銘両候補とも教科書検定意見書については「撤回」を公約にしていた。
が、自民党は県議会の議決では最後まで反対した経緯がある。
大方の見るところマスコミによる一連の「集団自決」騒動は自民党候補の西銘候補にとっては「逆風」とされていた。
そうでなくとも安倍政権の数々の「不始末」は沖縄でも西銘にとって逆風だった。
■「集団自決」現場の投票率■
それで沖縄県内の投票率はどうだったのか。
沖縄選挙区⇒60・32%(58・64%全国平均)
沖縄比例区⇒60.23%(58・63%全国平均)
両方とも1.6ポイントほど全国平均より上回っているものの新聞が騒ぐほどの投票率の高さではなかった。
だが、“問題”の両島、渡嘉敷島、座間味島の投票率は異常に高かった。
選挙区で見ても
渡嘉敷島⇒75・12% (74.70 比例区)
座間味島⇒76.77% (78.77 比例区)
ひょっとして選挙直前の県議員団による現地調査や一連のマスコミキャンペーンが影響したのか。
■「集団自決」現場の得票数■
糸数・西銘両候補の両島の得票数を調べてみた。
・渡嘉敷島 糸数候補⇒191票
西銘候補⇒253票
・座間味島 糸数候補⇒366票
西銘候補⇒246票
何と驚くべきことに、渡嘉敷島の結果は地元マスコミの狂騒的キャンペーンとは逆の結果だ。
沖縄全体の投票に「集団自決」が決定的な影響を及ぼしたは思えないが、少なくとも「集団自決」の現場である両島で選挙直前のマスコミの大キャンペーンが影響なかったとはいえないだろう。
特に選挙日の一日前の証人尋問の宮城晴美氏は座間味村出身の島出身の有名人である。
講演などでも地元マスコミの露出度は大きい。
「集団自決」の証言者 宮城晴美さん講演
同氏の法廷証言をセンチメンタルに報道した地元紙の影響が座間味島の得票数にも大きく影響したといっても不自然ではないだろう。
座間味島の結果をどう読むかは難しいところだ。
座間味出身の有名人で女性史研究家の宮城氏の選挙日直前の証人尋問が座間味島の票にどう影響したか。