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表現の自由を巡る自民党と百田尚樹氏周辺の倒錯、大西議員のさらなる問題発言
渡辺輝人 | 弁護士(京都弁護士会所属)
2015年6月30日 17時26分安倍首相に近い自民党の若手がつくる「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)という勉強会が6月25日に開いた会合が波紋を広げ続けています。
講師の百田尚樹氏の発言は特に物議を醸し、その後、百田氏はマスコミ報道や国民世論から大きな批判を浴びている状況です。興味深いのは、その後「百田氏には表現の自由がある。」というような議論がごく一部で見られることです。代表例はかつて雑誌『マルポコーロ』の編集長を務めているときにいわゆる「マルコポーロ事件」が起き、雑誌を廃刊に追い込まれた経験を持つ花田紀凱氏の下記雑記です。
百田氏には言論の自由はあるでしょう。実際、上記会合における講演の後も、「私が本当につぶれてほしいと思っているのは、朝日新聞と毎日新聞と東京新聞です」などと好きなように喋りまくっており、それについて、特に言論弾圧(権力によってツイートを消されたりとか)は受けてませんね。このように、世間を敵に回してでも、自らの主張を展開できるのが表現の自由なのです(なお事実誤認の発言や所謂「ヘイトスピーチ」については別の問題があります)。花田氏は、自らが編集長を務める雑誌で言論封殺をされた経験を持っているのに、好きなように喋りまくっている百田氏について言論の自由云々するのは奇妙というほかありません。
いうまでもないですが、言論の自由とは、批判の自由でもあります。百田氏のように、社会的な知名度と影響力を持った人物が、誤った発言や、不相当な発言をしたときは、他から批判を受けるのはやむを得ないことで、(特に著名人であれば)自分の言論が原因となり、その言論を批判する言論でボコボコにされるのが、正に言論の自由なのです(もちろん百田氏を誹謗中傷をして良い、ということではないでしょう)。憲法の勉強をするときは、このような社会的な作用を「言論の自由市場」などと言ったりもします。ボコボコに批判される百田氏を見て「百田氏の言論の自由・・・」などと言うのは、言論の自由を理解していないか「強者による放言が批判を受けない自由」というありもしないものを想定していることになります。なお、もちろん、百田氏がこの件で放言するほど、百田氏を招いて講師にした、自民党や議員ら傷口は大きくなるわけですが。
議員の発言は別
しかし、国会議員の発言は別です。国会議員は公務員であり、憲法99条で「憲法尊重擁護義務」を負っています。権力者である国会議員は、新聞社やテレビ局などの報道機関の「報道の自由」(これは表現の自由の一形態です)を侵害するような発言をしてはならないのです。マスコミにとって広告料収入は生命線です(この点に関しては上記マルコポーロ事件を例に江川紹子氏が説明した「報道規制を語らう、不自由で非民主的な自由民主党」が大変参考になります)。実際にやらなかったとしても、そういう力を持っている国会議員が「オレはやるぜ、オレはやるぜ」と言うだけで、マスコミにとっては大きな脅威になります。前回も書きましたが、暴力団幹部に「夜道は気をつけなよ。冗談だけどな。」と言われるだけで、夜に出歩くのが怖くなるのと一緒です。
議員たちが会合でした発言は以下のようなものです。
議員たちが会合でした発言は以下のようなものです。
●大西英男衆院議員(東京16区、当選2回)
「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないと思うが、不買運動じゃないが、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」
●井上貴博衆院議員(福岡1区、当選2回)
「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、広告の提供(スポンサー)にならないということが一番(マスコミは)こたえる」
●長尾敬衆院議員(比例近畿ブロック、当選2回)
「沖縄の特殊なメディア構造を作ったのは戦後保守の堕落だ。沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくためには、どのようなアクションを起こされるか。左翼勢力に完全に乗っ取られているなか、大事な論点だ」
出典:朝日新聞長尾敬議員のツイッターより
この発言自体が十分に恫喝的なものであり、憲法尊重擁護義務に違反する発言であり、すなわち、これ自体が現法違反の発言と言えるでしょう。国会議員には、憲法に反する発言を放言する自由があるわけではないのです。
マスコミによる上記発言の記録状況については、部屋の内側にいた長尾敬議員が写真撮影しています。筆者は、国民に奉仕し、議員らの邪悪な本音を聞き出した記者の記者魂に感謝したいと思います。この耳が、国民の耳となったのです。一部では、この記者の行動を「盗聴」であるかのように扱おうとする向きもあるようですが、もともと、国会議員がその活動上行った発言について、プライバシーが成立する余地は極めて狭いと思われます。冒頭部分をマスコミに取材させて百田氏にマスコミ批判をさせた上で(つまり自分たちで種をまき)、そう広くもない部屋でマイクを使ってやり取りを行い、窓に耳が張り付いているのが分かっていて発言したんだから、もはや喋った方の問題でしょう。
党内処分は処分になるのか
自民党内部では、この会合を主催した木原稔議員が党青年局長を解任され、上記3議員は「厳重注意」を受けたとのことですが、憲法を侵害した議員らに対する処分としては甘すぎるでしょう。彼らは権力者でありながら、冒してはならない国民の権利を侵害したのですから。もはや議員の資格はありません。この点、安倍首相は「発言した方に成り代わって勝手におわびすることはできない」と述べ、謝罪をしませんでしたが、誰も、成り代われとは言ってないでしょう。自民党は「政府」と「与党」を恣意的にわけ、幹事長の谷垣氏が汚れ役となって頭を下げることで乗り切ろうとしていますがおかしな話です。総裁と幹事長の役割分担は党内部のもので、国民に対して役割分担を言い訳にできる性質のものではないからです。安倍首相は、こういう議員を擁する政党の代表者(総裁)としての責任が問われているのです。この発言を軽視する自民党の体質は安倍首相の発言に最もよく現れていると思います。
全く反省していない大西英男議員の新たな暴言
今日の午後、言論統制3人組の一人である大西英男議員が、さらに下記発言をしました。
自民党の大西英男衆院議員は30日午後、安全保障関連法案に批判的な報道機関について「懲らしめなければいけないんじゃないか」と述べた。また、「誤った報道をするようなマスコミに対して広告は自粛すべきじゃないか」とも語った。国会内で記者団の質問に答えた。
繰り返しになりますが、権力者である自分の立場も、国会議員に課された憲法尊重擁護義務も、表現の自由を守ることの必要性も、何一つ理解しない極めて悪辣な発言です。このような人物に国会議員を続けさせて良いのでしょうか。根本的な疑念を抱かざるを得ません。そして、このようなさらなる暴言を招いたのは、このような人間を処分することすらできない自民党の体質であり、安倍政権の体質そのものです。安倍首相は自らの責任を明らかにすべきでしょう。
追記
産経新聞で大西議員の発言の詳報が出ました。確信に基づいて発言しているように見えます。
自民党の報道圧力発言(1)注意受けた大西氏「朝日報道、懲らしめないといけない」
自民党の報道圧力発言(2)大西氏「民主主義社会の根本を否定する発言はしてません」
自民党の報道圧力発言(3完)大西氏「誤解と言ってもマスコミも国会も許さないじゃないですか」

弁護士(京都弁護士会所属)
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なの何でもこなせるゼネラリストを目指しています。残業代を軸に社会と会社を分析する『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』(旬報社)発売中。
百田尚樹氏「朝日新聞の英字ニュースがひどい捏造」とFacebookで主張
2015年7月1日 12時28分ざっくり言うと
- 百田尚樹氏が6月30日、Facebookで朝日新聞の英字ニュースについて述べた
- 朝日の英文記事について「mustなどという言い方もしていません」と百田氏
- 「あまりにも、ひどい捏造です。良心が痛まないのでしょうか」と主張した
朝日英字ニュースが「ひどい捏造」 百田氏が主張
作家の百田尚樹氏が2015年6月30日、フェイスブックで「朝日新聞の英字ニュースがひどい捏造をしています」と主張した。百田氏は、朝日の英文記事で「百田尚樹は、沖縄の二つの新聞社は、どんな手段を使っても、つぶさないといけない!と言った」と報じられたと指摘した上で、
「私は、あらゆる手段を使って、などとはまったく言っていませんし、mustなどという言い方もしていません。あまりにも、ひどい捏造です。こんな記事を書いて、良心が痛まないのでしょうか」
と主張した。百田氏は、該当する朝日の英文記事にファイスブックからリンクを貼っている。その記事では、沖縄県の2紙について百田氏が「must be closed down by any means」と語ったと伝えられている、と報じている。
朝日新聞の日本語の記事では、百田氏は「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と発言したと伝えており、「絶対」を「by any means」と訳したことが適切かが焦点になりそうだ。

暴力団幹部のやらないまでも言うだけで圧力になると言っているが、例にあがっている暴力団幹部は、圧力をかけたい人に向かって言っている。
はて? 勉強会を開いていた議員達は圧力をかけたい人達に向かって言ったでしょうか。
言っていません。
作戦会議を開いていただけ。
作戦会議の途中経過を切り取って、それも正確に聞いていた訳でなく、耳をドアに着けての盗み聴きだから不明瞭なところがあったかもしれない内容に基づいて、圧力をかけたと、言っている。
勉強会なのだから、法律に違反すること、しないこと、効果的な策、駄作、色々自由に意見をだして、揉んで、これは、法律違反だから、駄作だから使えないと意識を高めて、当然でしょう。
勉強会の途中経過を盗み聴きして批判することを正当化するなら、議員に勉強する機会を与えないと言っていることになるから、議員は質の向上を図ってはならないということだ。
ところで、盗み聴きは、罪になりませんか?
盗んだだけでなく、盗んだ物で記事を書くのは盗んだ物を売ったことになり、罪になりませんか?
弁護士様よ。
読まれているからといって内容が支持されているかは別だが、読まれているということは、保守系の
見方に飢えているということは、言える。
既存のメディアの見方以外を欲しているのだ。
欲している人達は、既存のメディアが保守系の意見を封鎖、排除していることも知っている。
ここですよね、問題は。
既存のメディアが「言論の自由」を保証していないことを知っている。
右も左も、知っている。
右は「言論の統制」で戦争に駆り立てる。
左は「言論の自由」を死守して、戦争への道を塞ぐ。
「嘘」に気づいている。
被害者の立場に回り込むつもりでしょう。
>渡辺輝人弁護士(京都弁護士会所属)
弁護士の言い分、一つの見解、つまり「言論・表現の自由」として認めるとして、
有名な国民と一般国民のの違いで憲法が保障する「言論、表現の自由」に違いがある??
そのの趣旨の物言いのようであり、異議ありです。
有名人国民と一般人国民も同じ国民、憲法上、違いなぞないというべきところ、
百田氏の発言より「壁ガラスの盗み聴き」は「国民の知る権利に応えている!!」
たから、昔から弁護士の中には「三百代言人」と言われる者がいる。
新報、タイムスが手を叩いて飛び上がって喜ぶベンゴ士の論考だ。
弁護費だせるなら、裁判所に共同原告として訴えらよろし!!
朝の日課から戻ってあらためて読ませていただきます。
http://www.afpbb.com/articles/-/3004471
>12月4日 AFP】米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)に勤務していたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者から入手した機密情報を公表した英紙ガーディアン(Guardian)のアラン・ラスブリッジャー(Alan Rusbridger)編集長(59)が3日、英議会で証言し、議員からの激しい質問攻めに対し同紙スタッフは「愛国者だ」と反論した。
>ガーディアン紙はスノーデン容疑者から入手した資料のうち1%分しか公表していないと述べ、それ以外の情報は安全な場所に保管されていると語った。
>監視問題の核心とは関連がないことから、今後も公開するつもりはないと付け加えた。
>一部の議員は、英国の機密情報にあたるGCHQ職員の個人情報を、ラスブリッジャー編集長がニューヨーク・タイムズ紙の記者など国外に伝えたことは犯罪にあたるのではないかと編集長に詰め寄った。
盗聴したことを「われわれは愛国者だ」と正当化しているでのはなく、盗聴した内容を暴露あるいは他所へ流したことを糾弾されての言い訳。
なぜ、日本のメディアや弁護士は、盗聴を正当化とそれを暴露したことを正当化するんでしょうね。
大体弁護士なんてそんなご立派なものか!
「宮崎強姦事件」でなんと!「加害者側の弁護士から『示談に応じれば性犯罪時のビデオを処分する』と持ちかけられた」そうです。
>https://www.change.org/p/宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士懲戒請求-ならびに被害者に対する不当な圧力をなくす仕組みの構築
まるで出来の悪いエロビデオみたいな話です。しかもさらにあきれるのは
>「盗撮ビデオを交渉材料に使うことは妥当」~弁護士によるシンポジウム
>https://www.change.org/p/宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士懲戒請求-ならびに被害者に対する不当な圧力をなくす仕組みの構築/u/11035847
>宮崎弁護士会は「被害者に対する不当な圧力をなくす仕組みの構築については対応できない」
>https://www.change.org/p/宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士懲戒請求-ならびに被害者に対する不当な圧力をなくす仕組みの構築/u/10257106
もう弁護士は二度と「人権」等と言う事を口にするんじゃねぇ!