朝日新聞 2010年1月3日9時47分
米軍普天間飛行場の移設先とされた名護市など沖縄県北部の振興事業費70億円が、2010年度政府予算案に計上された。移設受け入れの事実上の見返りとして始まった事業で、09年度で終了する予定だったが、当面継続されることになった。鳩山由紀夫首相は名護市辺野古に代わる新たな移設先も探る考えを示しているが、現行計画も選択肢として残すためとみられる。
内閣府によると、70億円の具体的な使い道は、名護市を含む北部12市町村の要望を踏まえ、関係省庁間で調整して決める。11年度以降は国の財政状況を踏まえ、継続するかどうか検討するという。
北部振興事業は1999年12月、名護市の移設受け入れ表明を受け、閣議決定された。2000年度から10年間で総額1千億円を投じる計画だった。
だが、県と名護市は09年8月、当時の自公政権に継続を要望。政権交代後も前原誠司・沖縄担当相が10月に「基地の問題とは切り離し、行っていきたい」と述べていた。
鳩山首相は普天間の移設先の決定を今年5月まで先送りする一方、10年度予算案には、普天間移設が条件とされる沖縄の米海兵隊員のグアム移転にかかる経費の日本側負担を計上した。辺野古での環境影響評価の手続きを進める考えも示している。移設と引き換えの振興事業も続ける姿勢を示すことで、辺野古移設の可能性を残したといえる。
12市町村でつくる北部広域市町村圏事務組合によると、北部振興事業で実際に投じられた予算は00~08年度で約687億円。09年度分も含めると約790億円に上る見込み。