昨日の「サンデープロジェクト」の影響なのか、今朝のワイドショーも小倉さんを筆頭に「安倍、麻生の強硬姿勢による外交の失敗」に話をもって行きたいようだった。
むりやり「拘束力がない」とか「骨抜き」、「アメリカに梯子を下ろされて」と田原総一郎の後追いをしたが、結局自分の愚かさを暴露するだけ。
一方今朝の全国五紙の社説は全紙「北朝鮮非難決議」についての揃い踏み。
朝日から産経に至るまで程度の差こそあれ「日本外交の成果」として、珍しく一致して「安倍麻生外交」を評価している。
落ちたりとは言え新聞ジャーナリズムは、田原総一郎等のテレビワイドショージャーナリズムよりはまだマシだと言う事か。
毎日、読売、日経、朝日、産経の意見が「安倍、麻生の国連外交」を一致して評価したところで、各紙社説の抜粋と日頃意見が全く違う朝日と産経の社説全文を以下に記す。
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「第7章への言及が削除されたことで強制力が弱まったことは否めない。しかし、拘束力がなくなったから効果がない、と考えることもない。加盟国は安保理決定に従う義務がある。]
「全会一致の決議だから、安保理で北朝鮮問題を協議する土台が出来た。」
「今回の決議に中露も加わったことで北朝鮮は逃げ道がなくなった。」
「中国は日米など8カ国が共同提案した憲章第7章を明記した決議案に拒否権行使を明言して反対した。ならば、今後は今まで以上の力を注いで北朝鮮説得に当たる責任がある。」
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◆読売新聞社説 2006年7月17日
[対「北」決議]「単なる非難に終わらせるな」
「国際社会の平和と安全を脅かす行為は許さないという意思表示にはなっただろう。問題はどう具体的な行動を取るかだ。」
「8か国案を主導した日本は、中露との厳しい駆け引きの中で、国益に立って一定の役割を果たせたと言えよう。」
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◆日本経済新聞社説1 国際協調強め北朝鮮に決議順守迫れ(7/17)
「決議は妥協の産物である。だが、安保理の議論を日本が主導し存在感を示したことの意義も大きい。中国は当初、意思表示としては決議よりも格段に弱い議長声明を出すことでお茶を濁そうとしていた。決議採択にこぎ着けたのは日本の強い主張と日米連携があったからだ。」
「国連憲章第7章への言及がなくなったがこの決議に拘束力はあるというのが日米などの見解である。すべての国連加盟国が決議を厳守すべきである。」
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朝日新聞社説2006年07月17日(月曜日)付
弾道ミサイルの発射実験を強行した北朝鮮に対し、国連の安全保障理事会が強く非難する決議を採択した。
それも全会一致である。北朝鮮はその重みを真正面から受け止めなければならない。
今回の発射は地域の平和と安定を脅かす。北朝鮮はミサイルに関するあらゆる活動を停止せよ。すべての国連加盟国に対し、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器の計画にかかわらないよう求める。北朝鮮に6者協議に戻るよう強く促す。決議の内容は当然のことばかりだ。
98年の最初のテポドン発射では、安保理議長が報道機関あての声明で、北朝鮮に自制を促すのがやっとだった。93年に核不拡散条約からの脱退を表明した際に採択された安保理決議は、単に再考を求めるものだった。
それらに比べると、今回ははるかに強い調子で北朝鮮を非難した。核開発をはじめ国際ルールを無視する北朝鮮の行動がいっそう深刻になっている。各国がそう考えたからだ。
日本と米国は軍事や非軍事の制裁につながる文言を入れようとこだわった。これに対し、中国とロシアは拒否権を使うことも辞さないという構えをとった。
いま最も避けるべきことは安保理の亀裂だった。国際社会の結束を示すためには、非難決議に落ち着いたのも仕方がないだろう。
制裁決議でなく非難決議になっても、その意味は大きい。中ロを含めて国際社会がそろって北朝鮮の外堀をひとつ埋めたからだ。北朝鮮がミサイルで挑発し続けたり、核開発をさらに進めたりすれば、国連はもっと強い態度をとる。そういう警告を突きつけたことになる。
ロシアで始まった主要国首脳会議でも、北朝鮮問題を深く討議し、強いメッセージを発してほしい。
国連で北朝鮮代表は決議を受け入れないと述べた。本国の外務省も自衛のための抑止力を強めるとの声明を出した。
しかし、中国やロシアも非難決議に加わった以上、北朝鮮の選べる道は狭まった。みずから活路を見いだそうとするならば、6者協議に戻るしかあるまい。
ミサイル発射を受けて、日本は独自の制裁にすでに入っている。北朝鮮に同情的な韓国も、コメ50万トンと肥料10万トンの支援の凍結を決めた。南北の閣僚級会談は決裂という結果に終わった。
北朝鮮が世界に背を向ければ向けるほど、自らを苦しめる状況になっている。
北朝鮮を6者協議に引き戻すには、議長役の中国の役割が大きい。制裁決議に反対したのは、北朝鮮をかたくなにさせては解決につながらないと思ったからだろう。非難決議にとどまった分、北朝鮮への説得の責任が増したといえる。
北朝鮮の態度が肝心なのはもちろんだが、日本も米国も話し合いの門戸をいつも広く開けておくことが必要だ。
北朝鮮の問題を解決する基本は対話と圧力であることを忘れてはいけない。
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産経新聞 主張 平成18(2006)年7月17日[月]
北朝鮮非難決議 成果だが終わりではない
北朝鮮によるミサイル連続発射について、国連安全保障理事会は10日間に及ぶ激しい駆け引きの末、全会一致で非難決議の採択にこぎつけた。日米などが強く求めた決議案より表現は弱まったが、拘束力はあり、中露を含めた国際社会が一致して北朝鮮に強いメッセージを送った意義は大きい。 日本が安保理決議で最初から強い姿勢を貫き、主導的役割を果たしたのは初めてで、日本外交にとって画期的なことと評価したい。日本政府の決然とした姿勢がなければ、1998年のテポドン1号のときと同様、拘束力のない声明で終わっていただろう。 中露が拘束力のない議長声明案から拘束力のある非難決議に歩み寄ってきたのも、日本の確固たる姿勢があったからこそといえる。 一方、日本も妥協を余儀なくされた。日本は決議の内容に関し、最後まで制裁を可能とする国連憲章7章への言及の重要性を主張し続けたが、中露が拒否権発動の方針を示したため、7章への言及を削除する代わりに、「安保理の特別な責任の下に行動する」という強い表現を明記した修正案を受け入れた。 中露、とりわけ中国の特権的な拒否権発動の姿勢は理不尽としか言いようがないが、最終的に、拒否権発動による否決より採択を優先させたことは正しい判断だった。国際社会の足並みの乱れほど北朝鮮が期待したものはなかったからである。 それに、安保理決議はそもそも加盟国に拘束力を持つ。最終決議内容も、7章言及以外はほぼ日本案通りで、「わが国が求めていた『制裁を含む拘束力のある決議』を反映したもの」(安倍晋三官房長官)だ。 主要国首脳会議(G8サミット)の本格討議開始前に採択された意味も大きい。サミットでさらに一致した強いメッセージを出すべきだ。 しかし、国際社会の対応はこれで終わりではない。北朝鮮の国連大使は決議採択の直後に「決議を全面的に拒否する」と宣言した。北が今回の安保理決議の求めに応じなければ、次は強制力をもった制裁決議以外にない。 国際社会は、核、ミサイル、拉致、ニセ札、麻薬と無法の限りを尽くす北朝鮮をこれ以上許してはならない。
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