▼日本では「不潔な国々」「くそったれ国家」などと訳された。仏メディアは「礼儀正しさで知られる日本のメディアはそろって読者の気分を害さない表現を選んだ」と評した。発言自体は人種差別で許されないが、疑問が一つ。うんこはなぜタブーなのか

▼京都大学長の山極寿一(やまぎわ・じゅいち)さんによると、ゴリラの子は1日に6~12回うんこをする。おかげで、植物は種をあちこちにばらまいてもらえる。人類も定住と農耕を始めるまでは同じで、赤ちゃんの頻繁なうんこはその名残だという

▼うんこのタブー視を鋭く批判するのは茨城県の伊沢正名(まさな)さん。1974年から野ぐそを始め、普及の「糞土師(ふんどし)」活動のため写真家を辞めた。いわく「野ぐそは命の返し方」

▼命を奪って食べる。それは生きる権利であり、宿命である。だからこそ、うんこを自然に返し菌類の栄養にしてもらう。命を循環させる責任があると説く

▼それぞれの「正義」がぶつかって争いが生まれる。だから正義はやめ、責任を問うとも。私も、米国流の正義を振りかざすトランプ氏も(たぶん)水洗便所を愛用し、命の循環を断っている。伊沢さんにかかれば一刀両断である。(阿部岳)