木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

江戸時代のすかしっ屁

2008年08月03日 | 大江戸○×クイズ
問い:江戸時代では、人前で放屁しても恥ではなかった。ウソ? 本当? 答えは、文末に。

また、渡辺真一郎先生の著書の登場である。
上品な話ではないので、苦手な方は飛ばして頂きたい。
「江戸のおトイレ」は、いつ読んでも面白い。
孫引きになるが、屁について、「和解三才図」には下記のような記述がある。

屁。和名、倍比留(へひる)。児女、於奈良(おなら)と謂う。言は尾鳴(おなら)也。按ずるに屁は人の気、下に排(も)る也。実すれば即ち音高く、虚すれば即ち音卑(ひく)し。食滞れば即ち甚だすえ臭し。人前に於いて放つは傍若無人也

とあり、やはり江戸時代においても人前での放屁は憚られた。
この放屁に関する小噺には思わず吹き出してしまうものが多い。次は『楽牽頭』(がくだいこ)からの引用である。

初会の床にて、女郎ぶいとのしそこない。客「こりゃ、たまらぬ匂いだ」「おゆるしなんし。このおならには訳がありんす。私が母、十死一生の時、毎月一度づつお客の前で恥をかきんしょう、と観音さんへ大願をかけんした」という口の下から、またぶいとしそこない。「オヤ、うれし。来月分も仕廻った

安永期に書かれた『近目貫』(きんめぬき)の中の噺も面白い。

女郎、床の内でおならをし、「千調さん、おまえはわたしをかわゆう有んすかえ」「おうさ、かわゆうなくて来るものか」「そんなら、今のしそこないを御つれさんにはなしなんすかえ」「大誓文、はなすこっちゃない」。女郎「オオ、かわいい」という口の下から、また、ぶいとのしそこない。客、まじめになり、「この女郎はうたぐりぶかい」
川柳にも滑稽なものが多い。

闇の夜の烏に似たるすかした屁
音もなく匂うは多分女房の屁
ひとつの屁を花嫁七つほどにひり
花嫁はひとつひっても命がけ


そういえば、町火消しにも「へ」組はない。語感が嫌がられたためである。


答え:×

参考:「江戸のおトイレ」渡辺真一郎(新潮選書)

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