木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

一九先生からの便り

2007年02月04日 | 一九じいさんのつぶやき
おい、おめえさんかい。
「十返舎一九のような偉大な物書きになりたい」だなんて、随分うれしいこと言ってくれるじゃねえか。
わっちは「偉大な」てなもんじゃねえんだが、まあ職業作家としての先駆けだったことに関しちゃあ、多少たりとも自負はあるわな。
しかしだな、ちっと高いところから見てると、神様にお参りしていんときのお前さんの姿は肩に力が入りすぎってもんだ。気合も時には必要かもしれねえが、四六時中気合さえ入れてりゃいいってもんじゃねえ。何だか知らねえが、おめえは寝てる時まで力が入っているようじゃねえか。それが、この時代の人間の生き方ってもんなのかい? 四角い豆腐を丸くしようたって、そいつは無理な注文ってもんだ。長い人生、なるようにしかならねえ時期もある。後から振り返ってでねえと、なかなかそんなことも言ってられねえが。
「膝栗毛」を書くまで相当な時間を要したが、書いているときは、おめえさんみたいに力みかえって書いていたわけじゃねえ。
まあ、こうやって袖振り合ったのも何かの縁だ。
書いたものがあるなら、見てやる。
その合間に知りたがってた江戸の話でもしてやろう。
その代わりと言っちゃなんだが、平成とかの世もちいと見物させてもらうぜ。
それじゃ、また近いうちに。
一九