読書日記

いろいろな本のレビュー

ワンちゃん  楊 逸  文藝春秋

2008-08-30 07:26:52 | Weblog

ワンちゃん  楊 逸  文藝春秋


 今年度芥川賞受賞作家、楊逸の処女作品。表題と「老処女」の二作品を収める。ちなみに「ワンちゃん」は2007年度文学界新人賞を受賞している。一読してある種の爽やかさを感じた。中国の女性が日本人男性と結婚のため、或いは学問のため来日して、様々な苦労をする中でうまれる人間どうしの交流をセンスオブユーモアで描く力量はすごい。来日二十年でこれだけの文章が書けるということは才能ばかりか、つぎ込んだ努力の量を思うに付け感慨深いものがある。
 今回認識を新たにしたのは、中国人女性の古風さで、今風の日本人女性とは一線を画している。また自分の人生を豊かなものにしたいという強い意志とそれを実現するための真摯な努力を惜しまない姿勢に感動した。傍目からはなりふりかまわぬと見られるところも、その根の部分が分かればなんとなく安心できる。
 日本語を母語にしない作家と言えば、リービ英雄が有名だが、今回の受賞で楊逸も加わって日本語の国際化が実現すれば結構かなと思う。

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