普段はひっそりとしているこの商店街もこの日ばかりはにぎわう。
コーヒーサロン「はら」は商店街の中にある上品な喫茶店だ。
わが町大牟田は炭鉱が閉山して、急激に元気がなくなり、老人ばかりの町になりつつある。私もすでに立派な老人になり、「ただのおじさん」という名がふさわしくないくらいになってはいるが、この町ではまだまだ、見捨てたものではない。
実はフルス普及活動の支援者である「はら」さんから「ミニコンサートをしませんか、お礼はコーヒー一杯ですけど………」とお誘いがあったのが7月ごろ。
それで、11月には泰安に行くことになっているが、その前か、帰ってきてから来年2月以降にぜひ願いしますと、たのんでいたのが、10月10日に決まっていた。
コーヒーサロン「はら」は、毎年行われる日本フィルの公演の事務局も務め、また、小さなクラシックコンサートの会場として貸し出すなど、この町では珍しく文化の香りの高い喫茶店である。
「はら」さんは私の駆け出しのフルス普及活動の意義をよく理解していただき、支援してくださる。昨年の私のフルス紹介コンサートでは全面的に支援してくださり、大成功を収めることができた。
今回のミニコンサートは毎月十日に行われる街の中央地区商店街連合を会場とした定期市で、一般の商店はそれに合わせて大売り出しなどをするが、「はら」は大売り出しする物はないので、ちょっとおしゃれなミニコンサートをして、買い物帰りのお客さんに立ち寄ってもらおうという企画である。
全然おしゃれではない私をお誘い下さるのはおかど違いではあるが、大変うれしいことである。
「はら」さんもフルスの音色と歩き始めたばかりの日本のフルスの将来に期待をかけておられるのだと思う。