山の散歩道で、一匹コヨーテを見る。
夫とTABIとで雪を蹴散らしながら歩いていたら、前方100メートル先くらいに
うす茶色い動物が。「狼かな?」と夫は聞くが、このへんの狼ならもっと
大きいし、彼らは人間が通るこのあたりに姿を見せることはまずないだろう。
ふさふさした尻尾を下げて歩く歩き方、体型、私たちを見ても驚きもしない
態度から、コヨーテだと感じた。前にもこのあたりで、姿は見えなかったが、
特徴あるコヨーテの鳴き声をよく聞いたものだ。
「ほら追いかけろ、TABI」とけしかける夫をあわてて止める。
野生動物を追うクセがついてしまっては困る。コヨーテは子馬でも狙えば必ず
仕留める。繁殖期の今はメスならお腹が空いているはずで、TABIなんか簡単に
獲物になってしまう。そうでなくても、野生動物と喧嘩になると生き延びても
怪我がすごい。一昨年だったか、カナダでクーガーにやられたハスキーが結局
怪我がもとで死んでしまった。このあたりでは猫などの小動物も、外に出して
おくとよくコヨーテの餌食になる。
「TABI」と呼ぶと、私のもとに来てきちんとお座りして前方のコヨーテの姿を
目で追う。コヨーテは、そんなTABIをしばらく見ていたが、森の向こうへ去って
行った。私たちは回れ右をして、止めてある車のほうへと向かった。ところが
ふと振り向くと、森の木々の間に隠れながらさっきのコヨーテがついてくる。
私たちは、一瞬顔を見合わせたあと、歩調を変えずに黙々と歩きだした。
山の日暮れは早く、どんどん暗くなる。真っ暗闇では、野生動物に有利だ。
走るなよ、と心で命じたのが通じたか、TABIも、私たちにぴったりついて歩く。
やっと車に戻ったが、夫はすぐそばの凍った湖で石投げをして遊びたいと言う。
このボケナス、狼に食われちまえ!コヨーテは、あいかわらず森の中から
こちらをうかがっている。私は車に残る。ライトをつければ、そう近くには
来るまい。数分後、湖から上がってきた夫とともに車で走り去った。
その時にはあたりは完全な闇で、コヨーテの姿は私たちには見えなかった。
これから山歩きには、ショットガンの携帯が必要かもしれない。
夫とTABIとで雪を蹴散らしながら歩いていたら、前方100メートル先くらいに
うす茶色い動物が。「狼かな?」と夫は聞くが、このへんの狼ならもっと
大きいし、彼らは人間が通るこのあたりに姿を見せることはまずないだろう。
ふさふさした尻尾を下げて歩く歩き方、体型、私たちを見ても驚きもしない
態度から、コヨーテだと感じた。前にもこのあたりで、姿は見えなかったが、
特徴あるコヨーテの鳴き声をよく聞いたものだ。
「ほら追いかけろ、TABI」とけしかける夫をあわてて止める。
野生動物を追うクセがついてしまっては困る。コヨーテは子馬でも狙えば必ず
仕留める。繁殖期の今はメスならお腹が空いているはずで、TABIなんか簡単に
獲物になってしまう。そうでなくても、野生動物と喧嘩になると生き延びても
怪我がすごい。一昨年だったか、カナダでクーガーにやられたハスキーが結局
怪我がもとで死んでしまった。このあたりでは猫などの小動物も、外に出して
おくとよくコヨーテの餌食になる。
「TABI」と呼ぶと、私のもとに来てきちんとお座りして前方のコヨーテの姿を
目で追う。コヨーテは、そんなTABIをしばらく見ていたが、森の向こうへ去って
行った。私たちは回れ右をして、止めてある車のほうへと向かった。ところが
ふと振り向くと、森の木々の間に隠れながらさっきのコヨーテがついてくる。
私たちは、一瞬顔を見合わせたあと、歩調を変えずに黙々と歩きだした。
山の日暮れは早く、どんどん暗くなる。真っ暗闇では、野生動物に有利だ。
走るなよ、と心で命じたのが通じたか、TABIも、私たちにぴったりついて歩く。
やっと車に戻ったが、夫はすぐそばの凍った湖で石投げをして遊びたいと言う。
このボケナス、狼に食われちまえ!コヨーテは、あいかわらず森の中から
こちらをうかがっている。私は車に残る。ライトをつければ、そう近くには
来るまい。数分後、湖から上がってきた夫とともに車で走り去った。
その時にはあたりは完全な闇で、コヨーテの姿は私たちには見えなかった。
これから山歩きには、ショットガンの携帯が必要かもしれない。