TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

お気楽老人の最期

2012-10-30 09:01:38 | その他
実家の父に死期が迫っており、彼の死後に必要な手続きについて調べている。

まだ生きてるのに縁起でもない、などと寝ぼけたこと言う連中は、熊に食われちまえばいい。遺族がしなければいけない手続きというものは何十種類とある。一人娘で海外在住の私は、葬儀の合間にそれらを全て超短期間の里帰り中に失態なくこなさねばならない。カナダを出る前に日本の在外公館でもらわなければいけない書類も複数あり、今から何が必要か熟知していなければ、とても手続きが終わらない。

父は、こういう手続き関係に全く疎い人であった。
自身は三男で、自分の親の介護や葬儀、相続等の面倒は経験しなかったため、元気なうちに全く何も準備しなかった。今のうちにせめて重要書類の保管から、と私がすすめても、うるさがるだけ。

晩年は認知症による性格破壊が著しく、ここ十年ほどは私にとって実家での楽しい思い出など一つもない。自宅で倒れて救急車を呼べば、搬送先の病院で意識が戻った父は「馬鹿野朗!なんで医者を呼んだんだ!」と暴言を吐き、暴れまくった。

一人娘なら財産もらえていいね、とひとは言う。
しかしうちの父は、生命保険は解約、預貯金は使い果たし、何も全く残さなかった。お墓や葬儀費用さえ準備しなかったから、それら費用は私達夫婦の持ち出しだ。実家に残った家財道具は、九割以上が価値のないガラクタの溜め込み。ガラクタでも電化製品や家具などそのまま捨てるわけにはいかず、リサイクルに連絡して引き取りに来てもらわなければならない。リサイクルとゴミ処理費用だけで、もうすでに何十万円も費やした。

まだまだ実家は、ガラクタの山。
とても私一人では、処理しきれない量だ。
プロのゴミ処理業者やお掃除サービスを雇えば、さらに数十万円の出費。

私に残されたお金がないということは、面倒な相続の手続きがいらないということでもあり、時間の節約にはなる。しかし、それでも各種の届出や滞納した税金類の支払い等はあるし、そしてなにより遺体は最低でも火葬してしかるべく処理しなければならない。それができるのは、残念ながら私しかいない。

苦労したあげく、なんのお駄賃もない、むなしい作業である。

が、唯一の利点を挙げれば、涙が全く出ない。
これだけ実の親から苦労させられたら、親の死を悲しいと思えない。
ごく冷静に、全ての処理を行えるだろう。

父のことも、かわいそうと思わない。
誰の言うことも聞かず、周囲に迷惑をかけ通しで、最後まで自分のやりたいようにやってきたのだ。いい人生だったと思う。


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