TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Fearmongering

2017-10-06 15:53:52 | カナダ話題
ちょっと前の話だけど。

市の水道局の検査で基準以上のばい菌が検出されたので、水道水の飲用及び調理用使用が突然禁止された。町中のスタバやTimsなどの喫茶店には、「水道水の使用禁止のため、コーヒー紅茶のサービスを一時中止します」という張り紙が。

近所では、ちょっとした騒ぎ。
ある年配の女性は、「そういえば私、おとといあたりから体調が悪いのよ。きっと水のせいだわ。。。」と青い顔。うちのお隣の旦那さんは、「こういう時が来ると思って、我が家には家じゅうの水を消毒するプロ級フィルターをとりつけてあるんだ。紫外線で消毒するから、ばい菌なんかこわくない!」と、大得意。このおっさんは、まるでテレビのDooomsday Preppersに出てるような人で、あらゆる天災・戦災・この世の終わりに生き残れるように敷地内にあらゆる仕掛けを設置している。たぶん、地下にはシェルターがあるんだろう。

地元紙にはこの件に関する記事が載った。「当分、水道水の使用を禁止するように」と書かれていた。でも私は「こりゃ眉唾だよ」と思った。

第一に、ばい菌が出たというが一体なにが出たのか、具体的な名前や数値などが一切書かれていない。

第二に、家庭用消毒装置のない人への指示として、「水道水をヤカン等で1分間沸騰させてから飲用するように」と言っているが、ちょっと沸騰したくらいで大丈夫なばい菌なんてたいしたことない。

第三に、市当局はこの事件に関してはチラシを配るとかの情報伝達の努力をしていない。テレビでも報道してないし、たまたま喫茶店へコーヒー飲みに行った人とか新聞を読むヒマがある人じゃないと気が付かないのだ。なので、初めの報道から数日たってから「えっ、そうだったの?!知らなかった、うちじゃずっと水道使ってたもん」という人もいたのだ。

こういう報道が出たとき、まず一歩下がって全体を見渡すべきだと思う。
「これによって、誰が恩恵をこうむるのか?」と考えてみよう。まず、ミネラルウォーターのボトルが飛ぶように売れる。案の定、スーパーに行ったらボトルを箱ごと買いこむ人がレジにずらっと並んでいた。それと、家庭用浄水器が飛ぶように売れる。水道工事屋さんも、大忙しだ。

うちのお隣のおっさんは、その自慢の消毒装置を知り合いみんなにすすめたので、問い合わせの電話が一日中鳴りっぱなし。うちも強くすすめられたが、その話をしている間も彼のスマートフォンが鳴ってる始末(苦笑)。

我が家は、とくに気にせずフツーに水道水を使っていた。私達二人は健康だし、ちょっとぐらい汚染水を飲んだところでどうってことない。実際、二人ともなにごともなく過ごした。

数日後、地元紙にすごーく小さい数行の記事が載った。水道水を飲んでも大丈夫、という内容だ。やっぱね。しかし結局なんのばい菌だったのか、の説明はない。市役所のウェブサイトにも、なんの説明もなし。そんなこったろうと思ったよ。典型的なFearmongeringだね。ちゃんちゃん。