TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

数字のマジック

2015-02-10 15:19:58 | カナダ話題
「カナダはアメリカに比べて犯罪が少なくて、安全なんですってね」と、日本の知り合いからよく聞かれる。

安全?カナダが?

両国に住んだ経験からいって、個人的にはアメリカのほうが不安がなかったというか、警察がすごく頼もしかった。もちろん、居住している地域によっても大きな幅があるだろう。が、私達が住んでいた典型的な共和党ミドルクラス界隈は、セキュリティカメラの設置など必要ないほど安全だった。

今住んでいるのはカナダの典型的なミドルクラスだが、放火や器物破損、車上あらしなどの青少年の軽犯罪が頻繁に起きる。うちも何度か被害を受けた。

犯罪率統計の数字などアテにならない。
以前にも書いたがカナダでは12歳未満の子供は何をやっても罪にならないし、18歳未満も警察は見てみぬふりをするのが普通。一般市民が警察に訴えたところで、警察がやる気にならなかったら記録にも残らない。だから、実際に起きた犯罪件数は統計に反映しない。

今日も井戸端会議でこの近所の悪ガキの話が出たが、ある初老の女性がこう言った。

「うちの息子だって高校生のころは、悪友とつるんで留守の家にしのびこんで冷蔵庫や冷凍庫の食べ物を食べあさったり、車上あらしをして煙草代をかせいだり、さんざん悪いことしてたわ。でも一度も警察につかまらなかったから、犯罪歴は全くないの。今じゃ結婚して立派な二児の父よ。オホホホホ(笑)」

さらに、彼女はこう付け加えた。

「今は悪ガキだって、いつかはちゃんとまともなオトナになるわ。反省しろとか、他人がガタガタ言うべきことじゃない」

そうだろうか?
じゃ、一昨年、悪ガキに家を放火されて真冬に毛布一枚で逃げ出さなければならなかったお年寄り夫婦は、「子供のイタズラだからしかたない」と泣き寝入りするべきってこと?あの事件は、もちろん今でも未解決だ。

一般市民がこの程度の認識では、統計に出ない隠れた犯罪がどんどん増えるのも当たり前だ。これまでは、カナダ人が「若いころは悪ガキでねえ」などと話すのを聞くと「万引きとかやってたのかな」と単純に想像していた。しかし、実際のところは万引きどころか、麻薬密売、放火や婦女暴行、殺人ぐらいは平気でやってたのかもしれない。それでも警察につかまらなかったから、今では「結婚して立派な二児の父」とかになってるのかもしれない。

いやはや、とんでもない国に永住しちまったもんだ。