TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

ROSIE

2014-01-04 16:05:39 | その他
氷点下だが、青空の一日。

不要になったパゴラを譲るというので、市内まででかける。
80歳のおばあちゃんは、とてもトシに見えない!シワがほとんどないし60歳でも十分通用する。ネットもバリバリやってるし、セキュリティカメラとか最新テクにも詳しくてびっくり。「ひ孫が生まれた記念に入れたのよ」と、小さな刺青も見せてくれた。

日本では、トシの割りに若く見え(整形なしで)元気で頭がハッキリしている「かくしゃくババア」は珍しくなく、私個人も何人か生息を確認している。が、カナダでは珍しい。こっちではたいてい80を越えたら無残にしわくちゃで足腰がヨボヨボ、というのが典型なのだ。

彼女は主治医からすすめられて筋肉増強の健康機器を買ったのだが、専門医から「これは足を痛めるからダメ」と言われネット上で売ることにした。ところが、ヘンな問い合わせのメールがわんさか届いたのでよく考えたら、「バイブレーター売ります」と広告を出したための反響だったことが判明。そこで、「健康機器売ります」と広告を急遽変更したのだそうだ。

彼女は、レスキューから迎えたというチワワとイタリアン・グレイハウンドのミックス犬と暮らしている。このROSIEが私にすっかりなついちゃって、なかなか離れない。帰るとき、玄関先で悲しそうに「ク~ン」と泣かれてつらかったな。

彼女の息子さんは、交通事故で首から下がマヒしたままになり、今は長期療養型施設に入っている。一日ベッドに寝たまま動けず、話す人も少なく、何もできない。まだ五十代だそうだが、これからの長い一生をそうして暮らすしかない。バルビツール誘発昏睡から覚めて以来、個室で一人で過ごしている。重度身体障害と認められ、国からは一ヶ月100ドルが支給されている。が、動けない彼にはそのお金の使い道もない。

「私は娘に言ったのよ。『私がもしあんなふうになったら、頭をガツンとやって一巻の終わりにしておくれ』って」

彼女の孫娘の同級生は、小児ガンが治癒してから一年後、「念のために」と主治医がすすめた検査入院先で、誤って違う薬を注射された。すぐに医師は気づいたが手遅れで、片足の麻痺から始まってじわじわと全体に広がり、一週間苦しみぬいたあげくに亡くなった。この子の父親は、この一件から立ち直ることができず、仕事を辞めて町を去り、消息がわからないという。

強制的に生きながらえさせられる苦しみもあれば、親に先立つ不幸もある。
人生とは、むずかしい。