TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Discretion

2013-09-13 07:54:53 | カナダ話題
is the better part of valor.

アメリカやカナダで暮らす際に忘れてならないのは、ここは責任の所在がどこに(誰に)あるかを非常に厳しく追求する社会であるという点だ。日本ではそういうことが比較的あいまいなので、慣れていないと驚くことがあると思う。

例えば、近所の子供がボール投げで遊んでいて、それたボールが我が家の庭に入ったとする。子供はそれをとろうとしてフェンスを越えようとしたが、ころんで足を怪我してしまった。これは日本であればなんでもないこととして終わる。

しかしアメリカやカナダでは、我が家の敷地内で起きたことは全てうちの責任となり、その子供の親から損害賠償の請求をされる。足の治療費から、もしその子が歩行困難となったらその補償まで請求される。そうしたことがあるから、みな家屋保険に加入しているのだ。家屋保険は、なにも自然災害で家屋にダメージがおきた場合だけを想定しているのではない。

日本的に考えると「そんな無茶苦茶な」と思われるだろうが、そういう無茶苦茶が日常的に横行しているのがこの北米社会である。

私自身も最近、もう少しでそんな無茶苦茶に遭遇するところだった。

近所の奥さん連中と週に一度集まって、ヨガの練習をしていた。練習のあとはお茶を飲みながらおしゃべりしたりして、けっこう楽しかったのだが、その中の一人が「ヨガの練習中に、背中を痛めた」と言い出した。「棚のコーヒーカップをとろうとしたら、背中が痛くて腕があがらないことに気づいた」と言う。そしてその痛みは、あとから考えると数週間前のヨガの練習から始まったと主張する。

彼女は60代半ばで、もともとあっちが痛い、こっちが痛いと言ってるタイプの人だったので、その時はそれほど気に留めず「じゃあ、背中に無理がかからないポーズを練習しましょう」とみんなで話し合い、承諾した。

が、次の週に彼女はまた背中の痛みが続いていることを訴えた。そして私に向かい「あなたが首をねじれと言ったから、そのとおりにしたら痛くなった。間違った方向にねじったのが痛みの原因だ」と言う。

まさに寝耳に水である。そんなことを言った覚えは全くない。

私はインストラクターでもなんでもないから、ポーズを教えたりはしない。みんなで集まって一緒に練習しているだけである。もう一人参加している奥さんもビックリし、そんな事実はなかったことを証言してくれた。

その後彼女の弁護士からは何も言ってこないので(苦笑)、いちおうセーフ。ま、私の保険は過失傷害もカバーするから、いざというときには助かる。だけど身に覚えのないことを訴えられるのは不本意だ。次回はどんなことを言われるかわからない。私は秋の休暇をとると言って、このヨガのサークルをお休みすることにした。その間に、他のサークルを探すつもり。

危険を感知したら近寄らない、というのも処世術である。