TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Brevity of Life

2013-01-10 08:33:56 | カナダ話題
カナダの北に、何千年も前からバイソン狩をして生きのびてきた狼の群れがある。

狼の中でも大柄なこの個体は、群れのメンバーが協力して大柄なバイソンをしとめる。バイソンは決して弱い草食獣ではないから、狩はいつも双方にとって死闘となる。標的になるのは、逃げ足の弱い赤ちゃんバイソンや老いたり病気で足腰の弱い個体だ。

自らも乳飲み子が巣で待っているアルファ雌の狼は、群れから離れてしまった赤ちゃんバイソンを追い詰める。母親が探しに来る前に、仕留めてしまおうとあせる。そこへ、母親バイソンが群れを離れる危険をおかしながらも子供を救いに来る。

母親VS母親。

どちらも、自分の子供のために譲れない。この気持ち、わかるな~。私も、TABIのためなら闘うもの。

結果は、母バイソンの勝ち。
雌狼は一時退散。しかし、重症を負った赤ちゃんは動けない。母は、丸一日そばを離れない。が、赤ちゃんの命はやがて尽きる。母バイソンが群れに向かって去るのを見届け、雌狼は獲物を口にする。バイソンの犠牲は、狼の宴。双方を救うことはできない、野生の掟。

一方、二週間以上も獲物を仕留めることができないでいる群れのアルファ雄狼は、成人した息子達を連れてバイソンの群れを探す。ついに見つけた大きな群れ。狼達は、後方から追いかけてバイソンを混乱に誘う。

するとアルファは、突然追うのを中断して一目散に走り出した。

カメラマンも、この不可思議な行動に首をひねる。その先にあるのは、一体何か?

森の向こうには、群れから離れた二頭のバイソン。老いた雄と、若い成人の雄。たぶん、父子だろう。

狼達は彼らを追いかけるでもなく、ただ見守っている。
翌日、息絶えた老バイソンの肉をむさぼる狼の群れがいた。若いバイソンの姿はない。

アルファ狼は、老バイソンの命が尽きるのをかぎつけたのだろう。獲物が逃げることもできない状態なのを確認し、死が訪れるのを静かに待った。老バイソンに争った痕跡はない。彼は、自らの死が近いこと、その死が狼の群れを救うことも承知していたのだ。アルファ狼は、狩に無駄なエネルギーを費やさないことと、老バイソンの死を敬うことを選択した。おそらく、彼は彼の父からこうしたことを学び、さらに彼の息子達へ伝承したかったのだろう。

獲物とハンターという関係にありながら、双方を尊敬する野生動物たち。

生きていくということは、他者の命をいただくことである。それは人間も同じ。そこに驕りがあってはならない。野生動物の群れに、そうしたことを学ぶ。