TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

縁(えにし)というもの

2006-07-04 13:12:26 | インポート
South Central地区大会の最終日。

朝方曇ってたので、こりゃちょうどいいと思ったのに、私たちが走るころには
雲がひっこみすっかり夏日。TABIは、0.94秒の差でNQ。っく?や?し?!
1秒足らず、まばたきする間だよ!ま、そういうこともあるさ。

でもこの大会にはアジのセレブが世界中から来ていて、地区大会なのにまるで
世界大会みたいな賑わい。評判のわりには彼らの成績は芳しくなかったが、
ハンドリング・テクはじっくり見学させてもらっておもしろかった。

ミニチュア・シュナウザーを連れた上品な老婦人から、「カナダからいらしたの?」
と声をかけられる。夫がノヴァ・スコシア/ニューファンドランド地区大会の
Tシャツを着ていたからだ。去年こっちに引っ越したんですよ、と言うと
「私、毎年秋にハリファクスに行くのよ」と言う。

彼女の娘、Julieは、8年前のスイス航空事故で亡くなった。事故現場となった
ペギーズ・コーブに、毎年訪れて花をたむけるのだという。地元の人々とは
すっかり仲良くなり、「まるで第二の故郷みたい」と笑う。

あの事故は、私もよく覚えている。人口100人にも満たない小さな漁村が、
一晩にしてメディアの注目する地点となった。乗客乗員全員死亡、遺体も
あがらないケースが多かった。

音楽家として活躍していた娘を記念し、彼女は娘の出身校Butler大学に娘の
名前で奨学金制度を設けた。娘と同じように音楽を専攻する学生を補助する
ためだ。アジリティを始めたのも、娘が好きだったスポーツをやってみたいと
思ったからだという。「あの子が生きていたらこうするだろうな、と思った
ことをやってみるのが心の慰めになるのよ」と笑う。「おかげで70歳になった
今でも、こんなに健康なの」

孫とインディアナから参加した彼女は、Benson Parkに塑像を見に行くと言った。
子供たちが輪になって踊っている像があり、その輪が一つだけ欠けている。
その欠けた子供は、彼女の亡くなった娘を表しているのだそうだ。

思いがけなく、彼女のような人と今日会えたのも、夫がたまたま着ていたシャツ
から。縁とはまことに不思議なものである。娘さんの魂が安らかでありますように。