TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Van Gogh

2003-05-30 02:01:42 | インポート
前に通っていたアジリティクラスのMLに、里親募集の情報が流れた。

ここはよくレスキュー情報を流すのだが、今回の子はメスのピットブル。
添付画像を見ると、片耳欠損、出産の痕跡あり。説明文には「闘犬として育ち、
耳もドッグファイトで失った」とある。それで名前がVan Goghなのだな。
闇の闘犬場に警察が入り、押収物件の中にこの犬がいたのだろう。
一緒にレスキューされたブル数頭は、すでに里親が引き取った。

バカなことを。
なぜ里親を探すのか?なぜこの子を安楽死させてやらないのか?

夫に転送したが、彼も全く同感だと言う。
私たちは、ピットブルには偏見はない。上手に育てられたブルは、そのへんの
ワガママ放題な小型犬よりずっと扱いやすく、甘えん坊でかわいい。
迷子のピットブルの里親になろうとしたこともある。
Van Goghも、きっと愛すべき性格の犬なのだろう。

だが、この子は闘犬として育ち相手の犬の息の根を止めることを生業にして
生きてきた。すでに片耳を完全に欠損する重傷をドッグファイトで経験している。
この子は、人間にはなつくかもしれないが、自分と同じ種族、つまり犬とは
一生、絶対に絶対に相容れない。「愛情」とか「訓練」などではそれを変える
ことはできない。この子の里親になるなら、この子を連れて散歩に出たり、
犬友達を家に呼んだりの社交的な生活を一切あきらめなければならない。
万一、よその犬やその飼い主に大怪我をさせたら、結局処分になるのは目に
見えている。

それに世の中には「ピットブルじゃん!」と飛びつくバカがいる。闇で麻薬密売
やってる連中なんかだ。そういうのに引き取られたら、また悲惨だ。

Van Goghには、これまでつらい生涯だった。今フォスターのもとでやっと穏やかな
暮らしを経験している。もういいではないか。静かに彼女をおくってあげても。

犬好きのなかには、「犬はみんな天使」とか言ってなんでもかんでも救済すれば
いいと信じている連中がいる。だが、それが果たしてその犬にとって良い結果を
生むかどうか、見極めることが大切だ。命を救うことだけが、レスキューの役割
ではない。