***** 神社と災害 No.45 *****
地震を引き起こす生き物と聞いて、
最初に思い浮かぶのが「ナマズ」かもしれません。
「地震鎮めの石」として知られる鹿島・香取神宮の要石も、
「ナマズの頭と尻尾」を抑えていると言われますし、
それらの話を元に描かれたと思われる「地震の鯰絵」も、
地震に関する伝承を調べる中でよく目にする図案です。
ただし、地震と言えばナマズという説が
主流になったのは江戸時代の頃からで、
もともとは日本列島の下に横たわる「龍」、
あるいは日本列島を取り囲む「地震虫」が、
地震を起こすと考えられていたのだそう……。
その証拠に、鹿島・香取の要石と
地震との関連を示したある文献には、
ナマズではなく龍が描かれているという話もあります。
恐らく、昔の人々の目には大地から噴き出るエネルギー、
あるいは地下深くでうごめくエネルギーが、
「長物」や「塊」のように見えたのでしょう。
中央構造線という大断層は、それらの形象が転写した
「巨大な長物の塊」だったのかもしれません。