エボラEVD@コンゴで展開するストーリー。大都市の近くで発生・・・に続いて、感染者の病院脱走と、2014年西アフリカでの悪夢がよみがえる件もあの時より、一方で希望がみえる要素も。
- 120万都市のMbandaka、Wangata Hospital で感染者3名が医学的指示にしたがわず離院してしまった。5月20日に離院した1例は戻らず。さらに2例は家族とともに離院、うち1例は教会に行き、その後死亡、もう1例は自発的に戻って入院隔離へ。
- コンゴ人が離院したがる理由は、ひとつは施設のひどさ。壁や床は吐物や排泄物で汚染されている。もうひとつの理由は文化的要因。家族の誰かが病気になったとき、医療施設の貧困なこの国では、家族看護が基本。家族のみならず親類縁者などワッと寄ってくる。今回の件以前に(筆者が)コンゴの病院に行ってみたら、病院隣に患者の演者がテントを張ってキャンプしていた。
- また、葬儀では、遺体を清めたりキスしたり(!)して愛情を示す。遺体の隣に一緒に寝るということもある。これらは文化的にも宗教的にも深く根付いたことである。ただ単にやめさせるという事ではなく、最終的に文化的におなじ結果となるような別の手段を考える必こ要がある。
- 幸いなことに、今般、コンゴ政府はそれをわかっている。コンゴ政府担当者は、我々は遺体に触らないよう強制することはない、コミュニティベースの活動を尊重し、宗教的・伝統的リーダーの関与をしている。
いったん隔離された感染者が病院を脱走して行方不明になってしまう(地域にまざりこんでしまい制御不能になる)のは、2014年に再々発生して感染を広めてしまった元凶でした。今回もまた発生(嘆)。
一方で、政府が文化的要因に注意を向けているのは、ワクチンと並ぶ希望でもあります。アフリカにおける伝統文化の影響、管理人もスーダンで、セネガルで、様々にお付き合いいただき、現場に入らせていただき、多文化間精神医学分野を中心に3本ばかし論文が書けたりなぞしたのですが、一般民衆のは医療よりも伝統的治療師に距離が近く、まず伝統的治療師の言う事を聞くのが実際のところ。そのなかで近代医療の側が伝統的医療に歩み寄り、ごく基本的な医薬品を供給し、伝統的治療儀式のついでに渡してもらうということをやっていました。
2014年西アフリカのEVD流行では、ここのところスムーズではなかったですが、コンゴ政府は心得ているようです。ワクチンとならんで、こちらの対策も車の両輪として(宗教リーダーによるリスクコミュニケーションも加えて)制圧に向かっていただきたいです。
写真:本件と直接関係ありませんが、管理人がセネガル在勤中に、その秘儀を見せていただいた伝統的治療師の先生方。その節はありがとうございました。手持ちのお盆に載っている牛角・石・球根の方向で診断します。一般民衆は彼女たちのご託宣を信じます。